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先進安全技術を搭載した二輪車の研究車両 「ヤマハASV-2」について

2000年11月06日発表



1)四輪運転者に二輪車の接近を伝える"車車間通信"システム

 

【研究開発の狙い】
  交差点近くで四輪運転者に対して、二輪車から積極的に情報を発信し、二輪車の存在や接近を認知させることで、四輪運転者の判断ミスや見込み違い運転を抑止することを狙いとしました。
 二輪車の死傷事故は国内で年間17万件に及び、このうち四輪車との出合い頭事故が32%、右折四輪車と直進二輪車の事故が19%、左折時巻込み事故が10%で、これらで全体の6割を占めています。この中で、直進二輪車と右折四輪車の交差点での事故の場合、ドライバーが「二輪車に気づかなかった」という見落としや、「二輪車に気づいたが走行は大丈夫だと思った」という判断ミスの要因が大半を占めています。つまり、二輪車の実際の位置や速度の走行状況が、四輪ドライバーに正しく認識されていない事が、大きな事故要因となっています。((財)交通事故総合分析センター資料より)


【システムの特徴】



"車車間通信"システムによる事故防止の例


 "車車間通信"では、交差点手前(約100m)に設置するマーカー、及び二輪車・四輪車双方前部に搭載する赤外線レーザー通信ユニットで構成されます。二輪車はマーカー通過時に交差点までの距離情報を入手し、自車走行情報から交差点までの到達時間(車間時間)を計算して発信します。四輪車側のシステムはこの「車間時間」情報を受信することで、四輪運転者に情報提供・警報を発信し、車両の停止や発進など運転者の適切な対応を支援するものです。
 また、四輪車が左折しようと交差点にさしかかり、巻込み等の可能性のある後続の二輪車に気づかないような場合も、同様のシステムが働き、危険な場合は四輪運転者に警報を発します。


2)夜間のカーブ走行を支援する"アクティブヘッドライト"

 

【開発の狙い】
 
ヘッドライトが車体に固定されている二輪車の場合、カーブを走行する際に車体を傾けると光軸も同時に傾き、カーブ内側の路面への照射範囲が変化してしまいます。この現象に対しアクティブヘッドライトは、常に路面に対して水平な照射を維持することで照射範囲の変化を減少し、夜間カーブ走行時の運転を支援する事を狙いとしました。

 

【システムの特徴】
 車体に装着したヨーレイトセンサー(車体垂直軸回転センサー)と車体速度の信号をECUが読み取り、走行中の二輪車のバンク角を計算し、ヘッドライトが路面に対し水平になるようモーターを駆動し光軸を逐次調整するシステムです。また、ヘッドランプ本体にはHID(高輝度ヘッドランプ)を採用し、照度の向上と併せて夜間のカーブ走行時の照射範囲を拡大します。特に、連続するカーブ走行でカーブ内側を含め前方を平均的に照射できる点が特徴です。


アクティブヘッドライト作動イメージ(左カーブ走行時)

アクティブヘッドライト
アクティブヘッドライト

3)運転者に視覚/聴覚で情報提供する"マルチインフォメーション"システム

 

【研究開発の狙い】
走行中の二輪運転者に対し、少ない負荷で各種の周辺情報を「視覚情報・聴覚情報」として提供し、運転操作の負担を低減することを狙いとしました。

 

【システムの特徴】
 二輪車の左右側面と後部1ヵ所の計3ヵ所にCCDカメラを装着、自車両の周辺の映像とナビゲーション等の画面を手元スイッチにより、メーターパネルに装備したモニター画像で随時切り替えながら見ることができます。通常のバックミラーに比較し視野が広く死角が少ないこと、モニターが中央(スピードメーター部)にあるので視線の移動が少ないなどの利点があり、後写鏡の補助装置として自車両周辺情報の正確な認知を支援するシステムです。
  また、ナビゲーションシステムの音声や1620kHzの交通情報などを赤外線通信により、ヘルメット内蔵のスピーカーを通じて運転者に提供する機能もユニットに収め、これら視覚・聴覚両面での情報支援を行なうシステムとなっています。



●ヤマハ「ASV-2」1号車に搭載の安全技術

ヤマハ「ASV-2」2号車に搭載の安全技術

 

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