価格と機能を高次元で両立させた接着剤塗布機　ヤマハディスペンサー｢HSD｣新発売

　ヤマハ発動機（株）では、サーフェスマウンターの高速機に対応する世界最高水準の速度、停止位置精度と塗布安定性を達成しつつ、画期的な低価格を実現したヤマハディスペンサー｢HSD｣を8月1日より新発売します。

ヤマハディスペンサー｢HSD｣

　ディスペンサー（接着剤塗布機）は、プリント基板に電子部品を搭載するサーフェスマウンター（表面実装機）の前工程で、プリント基板へ電子部品を固定させるための接着剤をプリント基板に塗布する機械です。現在、ディスペンサーは主に両面実装(*1)する基板の接着剤塗布のために幅広く使用されています。また、クリームはんだの塗布にも使われていますが、近年、電子部品や基板の多様化に伴い、表面実装工程も多様化していて、ディスペンサーの使用法自体も多様化しつつあります。
　最近、サーフェスマウンターには機能として、高速、高精度、多様化する部品･基板への高い対応力が求められていますが、ディスペンサーに対しても同様の機能が要求されてきています。加えて、ディスペンサーには塗布する接着剤やクリームはんだを安定的に定量塗布することが要求されます。
　今回、新発売の｢HSD｣は、当社の最新型のサーフェスマウンターに採用している、32ビットCPUによる高速処理の新設計の高速サーボシステムを採用し、高速、高精度な軸制御を可能とし、1点あたりの最速塗布時間で0.085秒を実現しました。また、安定した定量塗布のため、プランジャーポンプを採用した塗布ヘッドを新規に開発しました。これらの採用により、速度、停止位置精度、塗布安定性において世界最高水準の性能を達成し、しかも価格的には高速マウンターに対応する既存の高速ディスペンサーが2,000万円以上するのに対して1,280万円と画期的な低価格を実現しました。

◎塗布ヘッドには温度やシリンジ(*2)内の液量変化による接着剤の塗布量の変動を最小限に押さえることが可能なプランジャーポンプ（筒内をピストン状に押し下げて圧力をかけるポンプ)を採用、安定した定量塗布を実現しました。

◎新設計の高速サーボシステムによりX、Y、Z(*3)、R(*4)の全4軸の高速･高精度制御を可能とし、特にZ軸は使用する接着剤やはんだの特性と接着剤の要求ドット径(*5)にあわせて最適な上下スピードと軌跡を制御し、生産上有害となる接着剤の糸引きの発生防止を可能としました。

◎フレーム一体型鋳物ベースを採用してフレームの剛性を確保。高速サーボシステムによる高速･高精度な軸制御とあわせて、+-0.01mmの高停止精度を確保しました。また、プランジャーポンプタイプのヘッドによる高速塗布能力と合わせ、1点あたりの最短塗布時間で0.085秒を実現しました。

○安定塗布のためにシリンジ(*2)内液温コントロールにファジー制御を採用しました。

○全軸ACサーボモーターを使用しているため、モーターはメンテナンスフリーとなっています。

○CCDカメラによるビジョン認識による塗布量検査システムを採用し、稼働中に塗布量の異常を検出し稼動を自動停止します。

○平面度の良好な基板であれば、専用ノズルによる非接触塗布(*6)も可能としました。

　なお、｢HSD｣は、6月4日より東京ビッグサイトで開催されるJPCAショー'97に出展の予定です。