技報【バックナンバー】
ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
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| 技術論文 | 佐藤 彰 産業用無人ヘリコプタR-50の運動解析を行い、自己回帰モデルを用いて動特性モデルを導出した。これをもとに応答モデルを決定し、モデルフォローイング制御を4自由度で行った。モデルは「上級者モード」、「中級者モード」、「初心者モード」の3モードを設定し、安定性を損なうことなく、操縦性を操縦者の技量にあわせて変更できるようにした。操縦者の官能評価により制御性能の評価を行ったところ、初心者から上級者まで満足できるレベルであることが確認できた。また、操縦者の操舵量の周波数分析を行ったところ、制御することにより操舵量が半分以下になることが確認できた。 |
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自動車エンジン用高速めっき装置-ライナレスアルミシリンダブロックヘの採用- 磯部 正章/池ヶ谷 裕彦 地球環境問題に関心が高まり、自動車メーカーは排ガス削減や燃費向上に向けたエンジンの軽量化の研究にしのぎを削っている。シリンダブロックのアルミ化が進み、当社においてもライナレスシリンダへのニッケル複合めっきの高速化技術(めっき品質)の開発により、従来のめっき方法に比べ10倍以上の析出速度とアルミ素地上への強固で安定した密着性が得られるに至った。一方、長年培われてきたヤマハ高速めっきシステム(YRPS:YAMAHA Rapid Plating System)は、インライン設備として多くの生産実績があり、従来のめっきランニングコストを約50%削減可能な量産技術(システム)として確立している。これらのYRPS技術・ノウハウは、めっきシリンダブロックの普及に貢献できるものと考えられる。 | |
五十川 敦/藤本 博昭/松本 直人/中山 学/鈴木 雄久 2ストロークマリンエンジンの排出ガス浄化を図る手段として触媒を採用する場合、従来の自動車技術に加え新たな課題として
1)海水の触媒性能への影響度合い
2)マリンモードにおける触媒劣化のレベル
を取り上げ、特に排出量の多いHCについてV6、2.6Lの船外機を用いて検討を行った。その結果、触媒への海水の直接的な接触により急激な性能低下をきたす。これは触媒表面層へのNaClの物理的付着によるものと判明した。これより、マリンエンジンにおいて触媒が海水に接触しないレイアウトが必要となる。次に、マリンモードでの耐久運転の結果、劣化係数を得て、生涯HC排出量からみた低減割合を示し、触媒適合の見通しについて述べる。 | |
都竹 広幸/土田 直樹 コネクティング・ロッド大端部における限界設計を行う上で、把握が必要な影響因子について考察を加えた。実験には、大端部形状および大端ボス部・ボルトの材質を変更したコネクティング・ロッドを用意し、比較テストを行った。その結果、外力(慣性力)作用下における大端ボア変形およびボルト発生応力は、大端形状・ボルト軸力・材質等により大きく左右されることがわかった。また、三次元FEMを工夫して用いることにより、設計初期段階でこれまで予測が困難であったボルト曲げ応力など、コネクティング・ロッド設計に不可欠な情報を比較的精度良く求めることが可能となった。 | |
| 技術紹介 | 岡 龍祐/山田 利治 ボートのブリッジは、FRP成形→窓部開口→トリミング→サッシはめ込みと作業工程が多く、また開口精度の管理も問題で、量産化を図る上で改善すべき課題となっていた。今回、これを解決する一案としてブリッジ全体をアルミで溶接組立し、窓ガラスを接着取り付けする方式を’95モデルのFC-24に採用したので紹介する。 |
稲毛 秀行/大城 昌夫 近年のマリンにおける商品開発は、艇体だけでなく艤装品の充実と本物志向が望まれてきている。これら艤装品の中でも、特に直接ユーザーが長時間接するドライバーシートは、座り心地、ホールド感、耐久性向上が強いユーザーニーズである。このニーズに対し、ヒューマノマリンシートは座り心地を向上しながら、高い耐久性と信頼性を兼ね備えたドライバーシートである。 | |
阿部 晃志/恒川 弘之 従来、船外機用マニュアルハンドルは、船外機を操縦する簡便な手段として、小型機種や業務市場を中心に使用されてきた。しかし近年、北米を中心としたスポーツフィッシング、プレジャー市場において、中型機種(40~100PS)にマニュアルハンドルの装着頻度が高まってきており、今回その市場ニーズに応えるべく、プレジャー向けに操作性を大幅に向上させた機能集中ハンドルを開発した。 | |
中村 大介 中大型船外機には、パワートリム&チルト装置(通称PTT)が装備されており、艇の性能/機能上、非常に重要な役割を果たしている。その基本構造はここ十数年変わらずだったが、近年、中小型機種へもPTT装着の市場ニーズが高まってきたため、同等機能で大幅な小型化と低コスト化を狙った世界初のシングルシリンダPTT(SPTT)を開発した。 | |
石川 公一 従来、油圧式や機械式では実現できなかった中大型ボート用エンジンのスロットルとシフトレバーのワンレバー操作を、電子システムの採用により実用化したエンジンリモコン「ヤマハPSコントローラ」について紹介する。 | |
大野 敦史/嶋中 勝則/山本 伸行 94TZR250Rでは市場での用途に合わせて、市街地走行性能を重視したTZR250RSと、SPレースの基本車としてのTZR250R・SPが存在していたが、本稿では、これら2つのバリエーションをひとつにモデル統合し、かつ町中での乗りやすさとレース性能向上を両立させるべく、’95TZR250SPRに新たに採用されたトリプルYPVSについて紹介する。 | |
丸山 美大 国内における騒音規制(道路運送車両保安基準)は、昭和46年改正時に追加された加速走行騒音を皮切りに、51年の2区分化、54年の第1段階規制、59年から車種別に適用され始めた第2段階規制など、数度にわたり厳しい強化が実施されてきた。特に第2段階規制強化では、既に第1段階規制で3~4dB(A)強化されて、さらなる3dB(A)の規制強化であるため、もはや一部の対策で大きな効果を得ることは望めず、エンジン・エアクリーナ・マフラなどを構成する個々の部品に様々な低減対策を施し、全体として初めて効果が現れてくるような状況に至っている。計測分析手法についても、各種の音源探査やシミュレーション、実験モード解析、有限要素法解析などのツールを駆使した騒音源あるいは振動源の把握などは、適切な低減対策を行う上で必要不可欠となってきている。こうした開発手順・手法に対応するために要求される騒音測定システムは、如何に効率良く適確なデータを処理できるかが重要なポイントであり、ニーズであると考える。従来の測定システムにおいても、騒音値/速度/気象などの数値を自動計測できたが、本システムでは開発効率に主眼を置き、測定区間内の騒音実効値推移および最大騒音点の周波数解析を、測定と同時に演算処理可能とした更新システムである。 | |
木村 隆昭/西 賢悟 エンジンの出力向上を行う時、エンジンスピードの高速化は有効な手段である。特に現在のFIエンジンのような自然給気エンジンにおいては、空気量の増加には物理的な限界があり、出力向上にはエンジンスピードを増加することが必須となる。その結果、当社においても最高エンジン回転数を毎年5~6%上昇させてきており、昨年度においては最高エンジン使用回転数は15000rpmを達成している。このようなエンジンスピードを可能とするために、バルブスプリングのリフト荷重を増加させる方法がとられるが、必要なバルブリフトを確保しながら、サージング等により発生するバルブスプリングの応力増加に対する安全性を確保することが非常に困難となる。そのため、近年は圧縮空気を用いたエアスプリングが動弁系に使用されるようになってきている。 | |
三沢 誠/有村 正嗣 GHP(Gas Heat Pump)は、今までの電気エアコンにおける駆動モータの替わりにエンジンを使用することにより、省電力、高暖房能力、ランニングコストの低減等の特長をもって、現在、GHP全体として年間2万7千台以上の販売を行っている。ここに紹介する「Y-HOT」システムは、電気エアコンの最大の欠点である外気温度低下に伴う暖房能力の低下(外気温度が下がるほど暖房能力が必要であるが、逆に能力が低下する。いわゆる「ヒートポンプの逆特性」と呼ばれる現象)を、高性能コンパクト熱交換システムにより、エンジン排熱の高効率利用を図り、逆に暖房能力が向上する特性を可能とした。さらに、冷房運転時に今まで有効に利用されなかった排熱を利用することにより、外気温−10℃での冷房運転を可能にした。 | |
| 製品紹介 | 河野 俊平/伊庭 照雄 近年、東京をはじめとして日本各地において、多くの屋形船が運行している。現在、東京には約200隻、また名古屋、大阪、広島、福岡等においても多くが運行している。屋形船とは、船のほぼ全長に渡って居室を持つ船であり、水辺の風情を味わいながら、その居室内において食事や宴会等のいわゆる舟遊びを楽しむための舟である。手軽に日常から逃れられる都会のオアシスとして、屋形船は根強い人気を持っている。そこで我々としては、注文生産艇分野の需要の拡大・安定を狙って既存の屋形船とは一線を画した豪華な「御座船」型屋形船を提案・開発した。御座船とは、江戸時代に大名が用いた自家用船のことで、大名の居室である「御座の間」を船内に設けたことに由来する。その用途は、大名の参勤交代や国内の視察、あるいは貴人・諸侯のもてなしのための御馳走船等に使われ、大変豪華なものであった。 |
吉田 真次/中瀬 良一/塚原 康寿/永房 誠/加藤 直樹/鈴木 勝 世界で最も速い量産モデルのウォータービークルを開発する。我々が設定した課題である。カワサキ、ボンバーディア、ポラリス各社とも’91以降スピードモデルの領域を拡大しており、将来のジェットボート需要やチューンナップに対応できるベースエンジンとしてのパワーユニットの出現が切望されていた。世界的には本格的な排ガス規制の時代を目前に控えるという環境の中、我々は従来モデルとの部品共通化設計を取り入れたモデルとして、高いコストパフォーマンスを誇る高出力エンジンを、ヤマハウォータービークルのフラッグシップモデルとしてこの世に送り出すこととした。 | |
柴田 保彦/中井 弘/干場 昭彦/川向 謙次/亀山 逞 世界的規模の環境に対する人々の関心の高まりとともに、マリーンエンジンに関する排ガス規制の動きが顕在化しつつある。スイス、ドイツ、オーストリア三国の国境が交わり、ライン川の水源でもあるボーデン湖における排ガス規制を皮切りに、アメリカ(EPA)、EU等、先進各国でその導入が予定されている。当社としては、これまでに10年の生産実績を持つ9.9PSの4サイクルモデルに加え、この度、新たに50PSの中型クラスの4サイクルモデル(F50A)の生産を開始した。海外のショーやプレス試乗会等で好評を頂いている。 | |
北田 三男/林 三智也/小栗 幹夫/平野 和行/神村 薫/中村 伊久雄 ここ数年、ハーレーやドカティといった個性の強い外車の販売台数が増加しつつあり、ユーザー調査からもこのようなトレンドを裏付ける結果が得られている。こうした背景のもと、ヤマハの強みと伝統であるビッグツインスポーツ「TRX850」の開発はスタートした。 | |
橋本 政幸/倉井 宣好/佐野 文基 モーターサイクルの欧州市場は円高による価格の上昇および経済不況のあおりを受け、この2年、売上台数は特に日本車を中心に減少しているが、その中で600ccクラスの中間排気量においては、リスタータなどのアダルト層の参入があり、好調を持続している。こういった拡大するソフトカスタマー層に、より大きな楽しさを提案し、ステップアップを促進させ、モーターサイクルの客層としての確立を図るため、Diversionシリーズの上級モデルにあたる「XJ900S Diversion」を開発した。 | |
三輪 邦彦/瀧本 宏/川北 茂樹/田中 陽/竹上 政喜 当社には、’89年にOW01をレース用ベースマシンとして限定生産して以来、一般ユーザーを対象とした750ccスーパースポーツの量産モデルは生産してこなかったが、’93年よりこの度、欧州スーパースポーツのイメージリーダーとして「YZF750R/SP」の投入を開始したので、ここに紹介する。 | |
大塚 邦彦/山口 佳久/平野 嘉男 国内の小型発電機の市場は、ここ数年来約10万台の規模で安定しており、そのうち代替需要が7〜8割を占め、さらにそのほとんどが業務用であるため、今後も大きな伸長を期待するのは困難な状況であった。このような中で、発電機と溶接機の両機能を合わせ持つエンジンウエルダー発電機の市場は、約5万台に近い需要があり、以前より当社の販売網からも市場投入の強い要望があった。そこで今回、画期的新開発技術「I&I方式」を採用した、世界最小・最軽量の直流アーク溶接機&発電機を、本年8月よりヤマハとして初めて販売を開始した。 | |
河合 康成/三沢 誠/有村 正嗣/小栗 眞/鈴木 茂人/長坂 弘文 インテリジェントビルから一般の店舗まで、幅広く使用されているビル用マルチエアコン(通称“ビルマル”)は、その利便性・経済性および対応性により年々設置台数が増加しており、業務用エアコンを総称するパッケージエアコン市場において独自の確固たるドメインを構築しているが、さらなる物件対応性・経済性・信頼性・GHP固有機能の強化などが求められている。
今回、この課題を達成すべく最新鋭の技術を織り込んだ新世代ビルマルGHPと称するに値する「M」シリーズを商品化したため、その紹介を行う。(’95年春発売) |
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