技報【バックナンバー】
ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
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| 特集 | 永海 義博 1987年の春に、アメリカズカップ初挑戦に向けて活動を開始したニッポンチャレンジは、蒲郡でのテスト、トレーニングを終え、91年2月にサンディエゴへ乗り込んだ。ここで私たちは1年3ヶ月にわたり、アメリカズカップと戦い、その素晴らしさと恐ろしさを肌で感じることになった。レースの世界はどこも同じと思うが、クルーの戦いであると同時にスタッフの戦いでもある。今回は、ニッポンチャレンジのスタッフが現地でどのような活躍をしたかを紹介する。 |
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| 技術論文 | 後藤 亨/前田 修 2サイクルエンジンのアイドル運転時の周期性衝撃音が異音として問題となることがある。現象を明らかにするために、燃焼状態とピストン振動および異音との関係を調べた。そして、異音低減策として、燃焼の安定化、音の伝達系の剛性アップ、ピストンの形状改善による方法を示し、これらが異音評価の3大因子である音の大きさ、変動、かん高さに与える影響を明らかにした。また、ピストン挙動を実測し、行程中のピストンの動きと異音との関連を調査した。 |
スノーモビル先行開発における品質機能展開の活用及び加速フィーリングの定量化 佐々木 郭/中川 伝一 技術開発を系統的に、効率的に進める方法は何か。スノーモービルに限らず、技術者が直面している課題ではないでしょうか。今回、スノーモービルの先行開発テーマでこの問題に少しでも迫ろうと、開発初期段階より品質機能展開(QFD)を行ってきた。また、重要要求品質として取り上げた加速感については、官能評価を実施し、その定量化を試みた。その結果、複数の評価項目のなかでも加速感の総合評価に寄与している評価項目は、「のび」「つき」で要約され、これらで大部分の説明がつくことがわかった。今後の課題としては、加速感にふさわしい物理特性を計測し、スノーモービルとして汎用的に設計展開できるようにすることが上げられる。本稿ではQFDの全体の流れと、加速感の官能評価を主に紹介する。なお、官能評価テストは特機技術11課・技術12課、特機企画課、R&Dmin、品質推進課共同で実施した。 | |
鈴木 雅晴/井口 利治/小栗 律志 磐田第4工場の機械加工部門では、モーターサイクル等の市場から要請されている多品種中(少)量生産への対応手段として、NC化・FMS化を進めている。その基幹設備であるマシニングセンタに関連する生産準備業務のリードタイム短縮と工数低減を目的として、CAMシステムを導入した。当システムは、2次元CADデータを活用して工程設計からNCプログラム作成までを一貫CAMシステムであるが、単にその間におけるデータの一貫化にとどまらず、工程設計のアウトプット資料としての工作図や使用刃具一覧表の作成も、システムデータを使って自動作成できるようにし、信頼性向上と工数削減に努めた。その結果、従来に比較して生産準備の工数は平均48%削減でき、リードタイムは約1/2に短縮できた。今後の課題としては、CAD/CAM間のより精度の高いデータの連結と、NCデバッグによるライン停止時間の短縮がある。 | |
小野 晴七/安達 修平 浸炭焼入れ処理したドッグクラッチの歯元疲労強度を向上させる目的で、材質と種々のショットピーニング条件を組み合わせた仕様を作製し、各仕様について実体による比較評価を行なった。従来のショットピーニング条件では、高強度鋼を用いても、現行材に対する疲労強度の向上効果は数%にすぎなかった。これに対し、現行材に特殊な2段ショットピーニングを施したものにおいて、現行仕様に比べ約30%の大きな疲労強度の向上が確認された。この改善のメカニズムを調査するため、表面から深さ方向への残留応力分布を計測したところ、最終段に直径0.04mmの硬質粒子を高速で投射した条件で2段ショットピーニングを施した仕様において、表面近傍に約1500MPaの著しく高い圧縮残留応力が発生しており、これが表面における疲労き裂の発生を遅延させた結果、疲労強度が著しく向上したものと推察された。 | |
| 製品紹介 | 鈴木 正行/山本 修/佐々木 成彦 日本では水道の整備が良く、蛇口をひねれば豊富な水を得ることができる水に恵まれた国である。近年では水に対する関心が高まり、さらに一歩進んだ「おいしい水」「健康に良い水」への要求が出て、小型家庭用浄水器・イオン整水器・ミネラルウォーター(ボトルウォーター)の需要が伸びている。その反面、世界の各地では多くの人々が、水の色・濁り・臭いなどの問題に困っており、かつ安全な水の確保が困難となっている。これらの問題を解消し、水に困っている人々に安全な水を提供することにより、彼らの生活の向上にわずかでも貢献したいとの考えで、中型浄水器の開発に着手した。要望が強かったインドネシアを第1の対象国として開発を進めた。中型浄水器「OH300P」はインドネシアにて、’91/6月より製造・販売を開始した。今回は、その中型浄水器「OH300P」について製品紹介する。 |
高速水平多間接ロボット YK640,YK840シリーズの開発 馬目 俊文/木宮 祐三 ヤマハ水平多関節型ロボットの主力機種であるYK8000シリーズが発売されて5年が経過した。発売当時、このロボットの標準サイクルタイムは世界最速の0.98秒であったが、近年、水平多関節型ロボットの標準サイクルタイムは0.8秒台に到達し、中には0.8秒を切るものも現れている。ヤマハ水平多関節型ロボットは、この間、大型高可搬重量のYK1200シリーズ、全体上下のYK5000シリーズ、低価格で小型のYK4000シリーズと、特徴のあるロボットを世に送り出すとともに、ロボットの高速化のための研究を続けてきた。そして、平成4年1月、高速水平多関節型ロボットYK640シリーズとYK840シリーズを発売した。このシリーズの特徴は次のとおりである。
(1)標準サイクルタイムは、YK640シリーズが0.7秒台、YK840シリーズが0.8秒台と高速動作が可能である。
(2)他社の水平多関節型ロボットよりも低価格で、しかも高性能である。
(3)YK640シリーズ、YK840シリーズともX軸アームの選択によって2種類の動作範囲を選べる。また、YK640シリーズでは、Z軸ストロークを100mmと200mmの2種類もっている。これによってユーザーは、この中からラインに合わせた最適なロボットを選ぶことができる。
(4)新型モーターと高剛性減速機の採用、およびハーネスマシーンの一本化により、耐久性と信頼性がさらに向上している。
(5)シミュレーションによる最適設計を行い、軽量・コンパクトで剛性のあるロボットである。
以下にYK640を中心に、開発上のポイント、特にロボットの高速化について説明する。標準サイクルタイムポイントを示す。標準サイクルタイムは25mmの上下移動、300mmの左右移動の往復時間である。 | |
早坂 謙一 スターンドライブまたは船内外機で総称される舶用推進システムは、船内に設置されるエンジンと船のトランサム内外に設置されるドライブ部分とから成るものとして一般的に知られている。このスターンドライブに使用されているエンジンには、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンがあるが、主流はガソリンエンジンで、当社も含めてスターンドライブメーカー各社はコスト上の理由から、ほとんどGM製のベースエンジンを共通して採用し、メーカー各社でマリナイズを行っている。これに対してドライブは各メーカー独自のもので、各社が最大限に自己主張できる部分となっている。このエンジンの種類は、3.0リットル130馬力から8.2リットル420馬力まで約11機種あり、概略300馬力以下が小型スターンドライブ、これを超えるものが大型スターンドライブと呼ばれている。この中でも、メーカー各社において近年誕生した300馬力を超えるエンジンに装着される大型ドライブは、それまでの既存モデルに大幅な改良を加えた各社のトップモデルとなっている。こうした中で、1988年に小型モデルを発売してスターンドライブ事業に参入した当社は、昨年この大型スターンドライブを初めて市場に導入した訳であるが、今回はこの大型スターンドライブの推進機部分にあたる新型ドライブ「HYDRA-DRIVE」についての紹介を行う。 |
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