巻頭言 巻頭言 PDF
永易 均
技術のヤマハを標榜する当社にあって、技術に関心を抱く者すべての集団「ヤマハ技術会」も発足して3年目を迎えました。その活動の内容も、日に日に充実しつつあることは喜ばしい限りです。振りかえってみますと、「ヤマハ技術会」の発足と相前後して、世界の経済情勢が大変大きな変化を見せて参りまして、特にここ数ヶ月の、日本の貿易不均衡是正を迫る世界的な動き、ドル安、保護主義等々の一連の激動は、輸出比率の高い当社にとって、誠に厳しい環境であり、企業の存続をかけて、それへの抜本的対応を迫られている昨今であります。
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技術紹介 ヤマハFMSの現状と将来 PDF
鈴木 雅晴
産業界の重要なテーマの1つに、生産性の向上がある。量産技術確立後の多量生産の時代において、それは生産設備の自動化を中心とした合理化・近代化により推進されてきた。しかし、経済水準が高度化するに伴い、単なる合理化・近代化だけでは対応できなくなってきた。なぜなら、経済水準の高度化によって、消費者の価値観やニーズの多様化が促進され、それらに伴って製品のライフサイクルは短くなり、技術革新の進展と相まって、多種少量化が進行してきたからである。当社の主力製品であるモーターサイクルの市場においても同様である。当社では、数年前よりこの多種少量への流れに対応すべく、ケースクランクやヘッドシリンダの機械加工を中心にFMSの導入に取り組んできた。ここに、そのヤマハのFMSの概要を紹介する。
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高速めっきシステム(YRPS)の開発 PDF
塚越 洋/磯部 正章/渡辺 誠之
工場に素材が入り、それに生産施設を介してエネルギーを作用させ、変形、除去、接合、変質などの加工を施すのである。この際、余剰物質、余剰エネルギーが出る。これが公害のもとになる。したがって、素材→製品の変換効率が最も良いことが、工場の使命になるのである。エネルギー効率が高いことが省エネであり、材料の変換効率が高いことが省資源である。この変換効率を高めることが、すなわち無公害を達成することと一致するのである。工場の使命は、素材に何らかの働きかけを行い、それに価値を付与することである。すなわち価値を高めることである。価値を高めるということは、目的とする製品機能を最も安い費用で達成することである。最近では、このときにいろいろな制約条件が加わるようになった。省エネルギー、省資源、無公害、安全性などなど、今後この項目はますます増える傾向にある。これらの制約条件を満たしながら、最良の変換効率を達成することが、今後企業に課せられた命題であろう。したがって、これらの制約条件に適合した設備にしていくことが、生産技術者の大きな役割になろう。
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無人ヘリコプターの開発 PDF
森谷 隆
ヘリコプタにはメインロータと反トルクを打ち消すテールロータがついているのが一般的だが、ヤマハではメインロータを二重にした同軸反転型の小型無人ヘリコプタの研究開発を行っている。本機は(社)農林水産航空協会のもとで、経済性や操作性能を高める遠隔操縦小型ヘリコプタの研究から生まれたもので、テールロータのない同軸反転方式が採用された。この特徴は小型・軽量化が容易で、全方位の運動を容易にすることである。当社は昭和58年度から研究に参加し、現在に至っている。ヘリコプタの最大の特徴は自在に動くロータを操ることで空中静止(ホバリング)させたり、3次元空間を自由に飛び回ることである。その反面、常に発散しようとする不安定さが伴っており、さらに本機は二枚のロータ面をコントロールする必要がある。開発にあたっては、このロータを含む機体固有の動特性を把握することと、操作性能を向上するため自動姿勢制御装置を開発することにした。これまでにシミュレーションやフライト試験を通じて、ほぼ技術的な見通しが得られたため、ここに紹介する。
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FARTⅢ経営管理システムの技術的視点からの説明 PDF
大江 一義/坂田 真行/平岡 法昭
FAST IIIシステムとは、守備範囲をカバーするサービスパーツ・用品の受発注在庫管理システムである。本システムは、下記モジュールによって構成され、それぞれ右欄に示すコンセプトを保有したシステムである。Y-NET、Y-NET・Eなどのシステムは、既に社報61年7月号で詳述済みであり、またリリース時期が昨年のため、いささか新鮮さを失っているので、本文では本年1月にリリースしたばかりの経営管理モジュールについて詳述したい。なお、本文は社報62年3月号にて紹介した概要編を技術的側面から掘り下げた内容となっている。
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試作鋳造型製作のCAD/CAM化 PDF
佐野 優視/米田 俊彦
自動車エンジン事業部では、5年前の1982年にトヨタ自動車向けの新DOHCシリーズの第1弾として、4バルブの直6気筒の1G-GEUをラインオフさせた。この開発を通じて、さまざまな問題が浮かび上がってきた。一方では、開発や製造のプロセスへのコンピューター利用が急激に発展している状況であった。このような状況のなかで、開発のプロセスにコンピューターを持ち込むことで問題の解決を図れないかと考えて取り組んできたのが、鋳造部品のCAD/CAM化である。
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材料技術における最近の話題(Ⅳ)-樹脂材料編- PDF
木村 吉延
昭和30年代前半の、石炭から石油へのエネルギー変遷に伴い、石油を原料とするプラスチックの歴史が本格的に始まったと言える。
(1)軽い、安い
(2)形状が自由
(3)加工が容易
(4)着色が自由
等のメリットから、従来のブリキから変ったプラスチック製のバケツ、洗面器などの家庭用品に数多く使われ、カラフル性や個性的なデザイン性により、台所革命をもたらした。それに呼応するように、輸送機器部品にもプラスチックが使われるようになった。石油危機による石油供給不安や価格上昇に伴い、深刻な影響を被った時期もあったが、プラスチックは各種工業分野、あるいは日常生活において不可欠な材料となり、年々使用量は着実に増加しており、今後とも個性化・多様化・省エネ化を前提とした材料開発・用途開発によりプラスチックが使われることは、まず異論のないところであろう。本稿では、プラスチック化の歴史をたどりながら、プラスチック化の思想、そして最近の動向について紹介したい。
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製品紹介 V-6船外機の開発と紹介 PDF
田口 道博/奥村 滋雄
ヤマハ船外機は、昭和35年に㈱昌和製作所で初めてモデル(P-7機)の生産をスタートして以来、昭和46年に25A、昭和49年に55A、昭和53年に85A、昭和56年に115A/140Aと商品開発を進め、ラインナップの拡大を計ってきました。そして、昭和58年には、2サイクル、2600ccのV型6気筒船外機の生産に移行し、米国二社(OMC社、Merc社)に負けない2~220馬力のラインヤップを完成し、同時に、船外機にとって最後の市場であった北米で、販売が開始されるようになりました。
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