| 巻頭言 | 巻頭言 PDF 江口 秀人 会員の皆様、明けましておめでとうございます。年頭にあたり、一言所感を申し述べてみたいと思います。現在、世界を蔽っている何とも言えない不安定感の中にあって、我社の今後進むべき途を見定め、価値のある仕事、やり甲斐のある仕事に邁進する事が、今最も重要な課題であります。人間は、常に考え、行動するわけですが、現在、特徴的に顕われている現象、例えば、日本だけに集中し過ぎた貿易黒字から来る急激な円高、株式の暴騰、東京を中心とした不動産価格の狂気じみた高騰、そして一方で予想される輸出型企業の大巾な減益、破綻、産業の空洞化・倒産・失業等、正に不安定を絵に描いた様な状況です。これは、全て人災以外の何物でもありません。 冒頭を表示 |
| 技術紹介 | 最近の二輪車に設計動向 PDF 水谷 昌司/木下 利男 ヤマハがモーターサイクルを作りはじめてから、早くも30余年が経過しました。この間、先発の2サイクルは業界のリーダーとしてパイオニア的役割を果たし、後発の4サイクルは他社に追いつき追い越せで頑張ってきました。振り返ってみるに、我々は「売れるものを早く」と、次々と新機種・新技術を開発してきましたが、「儲かるものをつくる」という点では若干遅れ気味であったようです。特に今は、需要の停滞と「1$=150円」という状況の中で、いかに利益を出すかに腐心しているこの頃です。こうした環境の中で、今、我々が開発してきた過去20年を振り返り、今後何をなすべきかを考えてみたいと思います。 冒頭を表示 |
| 水素自動車の開発 PDF 栗原 仙幸/横山 達二/橋本 茂喜/内山 幹康 昭和48年の石油危機により、エネルギー技術の重要性が見直された。その翌年、我国では初めてという20年以上に渡る長期の新エネルギー研究開発プロジェクトが「サンシャイン計画」というナショナルプロジェクトとしてスタートした。その中の一つに水素エネルギーの項目があり、その利用技術として「水素燃料エンジン」があった。我々は昭和56年よりその仕事に参加させていただき、エンジンとその関連制御システムの設計・製作を受注し、担当してきた。その結果、それらは昨年、水素燃料自動車に搭載され、走行試験が進められているので、その概要を報告する。 冒頭を表示 |
| new-RTM法の紹介 PDF 渡辺 正晃 不飽和ポリエステル樹脂を用いたFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)成形法には、HLU(ハンドレイアップ)法、スプレーアップ法、CP(コールドプレス)法、RTM(レジントランスファモールディング)法、SMC(シートモールディングコンパウンド)法、BMC(バルクモールディングコンパウンド)法等がある。各工法ともそれぞれ利点・欠点があり、生産数量、形状等の必要性に応じて成形法を選択している。例えば、ゴルフカー、スノーモービルをはじめとする特機事業部の商品のFRP部品は、生産数量も多く、主としてSMC法で成形されている。また、マリン事業部のボート、プール等のFRP部品は、生産数量から言えばそれほど多くなく、しかも一部品がかなり大きくなるので、HLU法またはスプレーアップ法が用いられる。近年、新商品の中には、従来のSMC法で成形するには生産数量が少なく、またHLU法またはスプレーアップ法で成形するには生産数量が多い商品が増加する傾向にあり、しかもこの中間を埋める成形技術がなかったため、その開発が急がれていた。今回、その成形技術を確立したので報告する。 冒頭を表示 |
| 材料技術における最近の話題(Ⅲ) PDF 山田 徹 工業の進歩は、不連続に進展すると言われている。図1の技術進歩の不連続性に示す様に、階段状に進むと仮定された時、大きな進歩が行なわれる前後に数多くの小進歩があるとモデル化される。又図2の技術進歩のラセン性に示される様にらせん階段状の様相にもモデル化される場合もある。一見、逆戻りしていると見えても、全体としては、とかく先に進んでいるというのである。この様な不連続又は飛躍的な進歩は、一体何によって為されるのであろうか?数多くの識者によれば、それは主に材料の発見による事が指摘されている。1948年ベル研究所のショックレーによる半導体の発見が、今日の電気、情報産業の隆盛をもたらしたりして過言ではない。その後ゲルマニウムにはじまり、シリコン、ガリウムひ素等の化合物半導体へと発見する度に、オーダー毎の進歩をもたらした。先端は、宇宙産業から、身近な所では、超硬工具(WC-Co系)による切削速度の高速化に至るまで、新素材が、キーテクノロジーであった例は、枚挙に暇がない。 冒頭を表示 |
| 製品紹介 | TZR250の開発 PDF 阿部 輝夫/北田 三男/高田 正隆 国内の軽二輪車クラスは、50ccのスクーターを除いたモーターサイクルでは最量販のクラスです。これは、多分に250ccを超える車両の車検制度と、加速度的に高額となる自賠責などの保険制度に加えて、実用上250ccで充分な性能を有するというコストパフォーマンスの高さだろうとと思われます。そのため、このクラスには他に比べてデュアルパーパス、アメリカン、トライアル、スーパースポーツ、フラットトラッカー、そしてレーサーレプリカといった種類の豊富さが見られます。つまり、このクラスにはモーターサイクルのほとんどすべてのカテゴリーがあるといっても良いくらいです。その中でも、2サイクルのレーサーレプリカと呼ばれるカテゴリーは、近年4サイクル・スーパースポーツと1、2位を争う大きなマーケットを形成しています。ところで、現在のレーサーレプリカブームのきっかけは、当社の初代RZが作り出したといっても過言ではありません。外観的には従来のモデルと大差はありませんが、それでもエンジンが水冷方式になり、当時ではあまり見慣れないラジエターが付いたり、シリンダーが大変コンパクトになったりしていました。そして、その最も大きな特徴は、高出力なエンジン性能であり、さらに139kgの軽量な車重と相まった強烈な加速でした。これは多くのユーザーに少なからぬショックを与え、魅了したはずです。その後、他社より相次いでRG250ガンマ、KR250、MVX250、そしてNS250と、2サイクルのいわゆるレーサーレプリカが発売されました。もちろんRZも250Rにモデルチェンジし、さらにRRへと変更されました。しかし、レーサーレプリカとして外観的にも装備面でも過激なまでに作り込まれる他車に対して、性能・機能を重視したRZは、このカテゴリーではやや控えめであったと思われます。過熱する市場に対して、2サイクルの老舗を自負するヤマハにとってRZ250RRの販売低下は危機感を呼びました。このような環境の中で劣勢を挽回するべく企画されたのがTZR250でした。 冒頭を表示 |
| 技術論文 | 実験モード解析における剛体強調と回転自由度の同定 PDF 古沢 政生/冨永 隆史 本論文は、実験的モード解析のための拘束方程式と最小2乗法を利用した剛体モード強調法の理論を提案したものである。また、いくつかの応用例とその利点、特に回転自由度の同定について論じ、その利用法を示す実例を提示する。なお、本稿は去る'86年2月3日より8日まで米国ロサンゼルスで開催された、第4回国際モーダルアナリシス会議(IMAC)にて発表した論文の全文である。 冒頭を表示 |
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