技報【バックナンバー】
ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
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| 巻頭言 | 執印 智司 現代は技術革新の時代であり、ヤマハグループに働く我々も、その潮流の中に否応なく身を委ねている訳です。このような時代、先輩諸氏が築きあげられてきた技術を土台に、エレクトロニクス、新材料等の新技術を積み上げることにより、高品質で人間の感性の機微に触れる独創的な商品を出し続けてゆくことが、我々、ヤマハグループの使命だと思います。人間の感性というものは時代と共に変化していくもので、この感性を高度に満足させるということは非常に難しいことです。それには巾広い知識に支えられた広い視野と人間に対する深い関心が必要です。また、これらがなければ我々自身の感性を磨くこともできないと思います。 |
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| 製品紹介 | ウォータジェット高速旅客船 “スーパー・ジェットかすみ” について 菅沢 実 本船は、筑波EXPO'85の開催期間中、茨城県土浦市と潮来町を結ぶ、霞ヶ浦の定期旅客船として、昨年8月霞ヶ浦ジェットライン(株)より発注され、当社において設計建造し、本年2月20日引渡しを終えた。その後、現地でのトレーニングを積み、科学博の開催3月17日より営業運航を開始し、多くの人々の好評を得ている。霞ヶ浦ジェットライン(株)は、土浦市と潮来町を母体とする第三セクターの会社であり、この科学博を機会に霞ヶ浦を主体とした地域観光の振興と、万博協賛事業として輸送手段の拡充目的で設立された。霞ヶ浦は、国内で2番目に大きな淡水湖であり、昔は“わかさぎ”を採る帆曳船だとか、予科連の航空隊跡だとか、南へ行くと“あやめ”で有名な水郷潮来があり、10年程以前には定期航路の観光船が就航していた。 |
山科 謙一 ヤマハがゴルフカーの発売を開始したのは、昭和50年6月のYG-292が初めてであった。これは、その前年にオープンした「つま恋」のために開発したランドカーをベースにしたもので、国内市場を対象に、年間数百台程度の規模でしかなかった。その後、ゴルフカーの主市場である米国をはじめ、世界市場を対象とした本格的ゴルフカーの開発に着手し、昭和53年7月にG1型ゴルフカーとして発売を開始、今日に至っている。この間、G1型ゴルフカーは、その品質と経済性で市場における評価を確立し、乗用ゴルフカー分野における高率の市場占拠を獲得してきた。しかし、発売以来年数が経過したこと、競合他社も改良に努力し新モデルの投入等もあることから、ゴルフカーとしてより一層の完成度向上を目標としてG2型を開発し、昨年末より市場導入を計ってきた。殊に、エンジンカーの方は、G1型の215cc2サイクルから、285cc4サイクルエンジンへと転換し、騒音、排ガス、燃費等の大巾改良を達成した点は特筆される。しかしながら、従来タイプの四輪乗用ゴルフカーの分野だけでは、既に成熟期に達した市場の中でビジネス拡大に限度があることも考えられ、新しい需要創造を狙いとして、新しいタイプのゴルフカーの開発を進めてきており、その一つが、今春発売を開始したターフメイト(G4型ゴルフカー)である。本稿では、そのターフメイトを紹介することが主題ではあるが、この機会にゴルフカー市場の動向等も見ながら本論へ進めたいと思う。 | |
| 技術論文 | 松尾 典孝 昨今、二輪を含む自動車用エンジンは排ガス問題を克服し、低燃費・高出力へと再び飛躍を始めている。このような時代には、新しい革新的エンジン技術の出現が期待されるが、これを生み出すためには、エンジン内でのさまざまな現象、プロセスを解明し、理解することの必要性がますます高まってきていることは言うまでもない。一方、最近の光・エレクトロニクス技術の目覚ましい発達に伴い、それらを応用したエンジン計測技術も、ここへ来て急速な進歩を見せている。特に、実機運転中のエンジンを非接触・実時間で測定することができる光学的測定、なかでもレーザ光を応用した測定が広く行われるようになってきた。筆者らはレーザドプラ流速計(LDV)を二サイクル機関へ適用し、測定上の問題を明らかにした上で、吸気・掃気・排気流の流速を駆動および発火運転において測定し、従来の圧力測定のみでは十分に解明できなかった流れの様子をいくつか明らかにした。さらに、電算シミュレーションによる計算結果とLDV実測値とを比較したところ、良い一致を得ることができ、LDV、シミュレーション両者の実用性を確認することができたので、ここに報告する。 |
| 技術紹介 | 鈴木 弘人/鈴木 正人 われわれが人力飛行機の研究を開始してから、7年余りが経過した。その前半は主に、人力のみを動力源とし、旋回飛行等を目的とした、純粋な意味での人力飛行機の研究を行った。そして後半には「鳥人間コンテスト」出場用の機体で、滑空機に補助として動力を用いることによって直線滑空距離を延ばすことを目的とした、いわば人力滑空機の研究を行って現在に至っている。この2種の機体の使用目的は異なるが、基本的な設計プロセスは共通するものなので、これら2種の機体を通じて、人力飛行機の話を進めていきたい。 |
山縣 裕 英国の童謡,マザーグースの歌集の中に次の様な一節がある。
London Bridge is broken down, Broken down, broken down, London Bridge is broken down, My fair lady. Build it up with wood and clay, Wood and clay will wash away, Build it up with bricks and mortar, Bricks and mortar will not stay, Build it up with iron and steel, Iron and steel will bend and bow, Build it up with silver and gold, Silver and gold will be stolen away, Set a man to watch all night, Suppose the man should fall asleep, Give him a pipe to smoke all night, Smoke all night, smoke all night, Give him a pipe to smoke all night, Smoke all night, smoke all night, Give him a pipe to smoke all night, My fair lady.
これは、日本でも有名な「ロンドン橋が落ちた」の歌で、少年時代に口づさまれた方も多いであろう。歌をねたにした無粋な話しをお許し願えれば、歌の中で、落ちた橋に対し橋の素材の選択方法と、その結果として起こり得る問題の予知対策、今風に言えば、橋の故障解析とFMEAを歌っている。ある構造物ないしは機構を組み合わせ、当初の目的を達成するため、いかなる素材を選べば良いかという問題は、人類が地上に現れて以来の命題であろう。ところで、最近では材料技術が技術開発のキーテクノロジーとして意識されている。本特集では、材料技術の最近の話題を何回か連載する予定であるが、材料技術とはいったいどういうものを言うのか、具体的イメージを持っておられない方も多いと考えられるので、このあたりの解説から始めたい。 |
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