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熟成の20年 1985年~2002年

2003年 企画展 Vol. 3

2003 企画展 Vol.3
WGP500最高峰への挑戦
WGP500 最高峰への挑戦  YZR500 30年の進化

熟成の20年

1985年頃には基本型をほぼ確立した『YZR500』。以後はひたすら熟成の15年余となった。計測、制御、素材、加工など急速に進む周辺技術の成果を最大限に導入しながら。

1985~
2002年年表
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1985 YZR500[OW81]
エディ・ローソン選手乗車マシン
アルミ・デルタボックスフレームを初採用
逆転2軸クランクを採用

'84年のOW76からは、吸気方式もより滑らかな出力特性と良好な始動性が得られるクランク室リードバルブとなった。'85年に投入したこのOW81は、エンジンを操縦安定性の向上に寄与する構成要素として機能させたモデル。全面新設計のV型4気筒は、2本のクランク軸を進行方向に回転させていた従来型に対し、クランク軸2本を逆転させて慣性力を抑え、優れた操縦安定性を引き出している。このOW81によって『YZR500』の基本型がほぼ形づくられ、その後17年間にわたる熟成をつづけることとなった。


1988 YZR500[OW98]
エディ・ローソン選手乗車マシン
右2本出しマフラー、左右非対称リヤアーム
バルブスペース拡大のためにVバンクを60度から70度に変更。また前側2気筒のエキゾーストパイプはエンジン下でクロスした後、2本とも右後方へ取り回している。これに合わせて右側を大きく上側に湾曲させた左右非対称のリヤアームが特徴的。エディ・ローソン選手(USA)がシーズン7勝を上げ3度目のライダーチャンピオンを獲得。ヤマハも3年連続通算5度目のメーカーチャンピオンを獲得した。


1992 YZR500[OWE0]
ウェイン・レイニー選手乗車マシン
レイニーV3達成、位相同爆を採用
走行中のマシン状態をセンシングするデータレコーディングシステムを本格投入したOWA8('89年)、通算6度目のメーカーチャンピオンを獲得したOWC1('90年)、電子制御リアサスペンション(CES)を装備して通算7度目のメーカーチャンピオンを獲得したOWD3('91年)を経て'92年にOWE0が投入された。最高出力が従来の155PSから160PSへとアップ。第9戦ハンガリーからは位相同爆方式としてトラクションを向上させ、コーナー脱出力をアップしている。ウェイン・レイニー選手(USA)が3年連続3度目のライダーチャンピオンを獲得した。


1995 YZR500[OWF9]
阿部典史選手乗車マシン
エアボックス加圧で吸気効率アップ
エンジン出力も170PSへとアップ、通算8度目のメーカーチャンピオンを獲得したOWF2('93年)の後を受けて'94年に投入したOWF9。空力特性の向上を照準に開発が進められ、エア吸気口を内側に配したカウルが特徴。阿部典史選手はこのOWF9を駆りイギリスGPからWGPフル参戦を果たした。


1997 YZR500[OWH0]
阿部典史選手乗車マシン
Vバンク角75度、ドライブ軸位置変更
54mmスクエアストロークのV型4気筒エンジンを継承したGP500ファクトリーマシン。エアボックス容量確保のため、シリンダー挟み角を70度から75度に変更。さらにT型排気ポート(3ポート→2ポート)採用によるピックアップ特性向上、ドライブ軸位置変更による操縦安定性向上をはかり、ルカ・カダローラが2位2回、3位2回でランキング6位。阿部典史も7位に入った(写真)。


1998 YZR500[OWK1]
阿部典史選手乗車マシン
54mmボア、パウダーピストン採用モデル
無鉛仕様ながら各コースの最高速を更新

規則変更により無鉛ガソリン仕様となったモデル。無鉛仕様ながら各コースで最高速記録を更新した。マックス・ビアッジ選手(イタリア)、カルロス・チェカ選手(スペイン)を新たに迎えた'99年は、このOWK1をさらに熟成させて投入した。


2001 YZR500[OWL6]
マックス・ビアッジ選手乗車マシン
ビアッジ選手がランキング2位獲得
7年ぶり通算9度目のメーカーチャンピオンを獲得した2000年型OWK6の後を受けて'01年に投入したOWL6は、エンジ性能やドライバビリティ向上に繋がるスペックを見直し、加速性能、最高速度アップを図った。またライダーのキャラクターに合わせてリヤアームもロングタイプとショートタイプが用意された。


2002 YZR500[OWL9]
ギャリー・マッコイ選手乗車マシン
YZR500の28代目・最終モデル
'73年の初登場以来、実戦投入された『YZR500』としては28代目の最終モデル。4ストロークマシンとの混走レギュレーションの中、ドイツGPでのオリビエ・ジャック選手(フランス)のポールポジション獲得、阿部典史選手のランキング6位の記録は『YZR500』のポテンシャルの高さを示しているといえよう。


2003 YZR-M1
Moto-GP用4ストロークマシン
『YZR500』の30年に渡る経験をベースにMOTO-GP用に開発した4ストロークマシン。開発の主眼となったのは"ドライバビリティ"で、扱いやすいパワー特性と車体特性のトータルバランスを追求している。2シーズン目を迎えた'03年は、新型アルミ製・デルタボックスフレームに、エンジン・マネジメント・システムを強化した新型水冷4ストローク並列4気筒・5バルブエンジンを搭載して一層の戦闘力アップを果たしている。


1997 HONDA NSR500
マイケル・ドゥーハン選手乗車マシン
(展示協力:ホンダコレクションホール)
ホンダファクトリーマシン『NS500』は、'84年からV型4気筒・クランクケースリードバルブエンジンを搭載した『NSR500』となった。これは'97年ライダー(マイケル・ドゥーハン選手)とメーカーのダブルタイトルを獲得したモデル。等間隔爆発に近い点火タイミングで強力なトラクションを生み出す「スクリーマーエンジン」を搭載。NSR500を駆ったM・ドゥーハン選手は'94年から'98年まで5年連続でライダーチャンピを獲得した。
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