「アリアンツ・2023 セーリング・ワールド・チャンピオンシップ」磯崎哲也/関友里恵が世界選手権で銅メダル獲得!
2023年8月11日から20日まで、オランダのハーグで「アリアンツ・2023 セーリング・ワールド・チャンピオンシップ」が開催されました。
2023年8月11日から20日まで、オランダのハーグで「アリアンツ・2023 セーリング・ワールド・チャンピオンシップ」が開催されました。
セーリング・ワールド・チャンピオンシップは、4年に一度おこなわれる国際スポーツイベントのセーリング競技10種目の合同世界選手権で、来年フランスのパリを中心に開催される大会(セーリング競技はマルセイユで開催)の国枠予選の第1回目にもなっている、各国にとって重要な大会です。大会には1138選手、882艇、85カ国が出場。世界最大規模のヨットレースに相応しい規模で、10日間にわたって熱戦が繰り広げられました。
ハーグは、アムステルダムから車で西へ1時間ほどの距離にあるオランダ第3の都市。近代と伝統が入り混じる街並みには、オランダ独特の自転車やトラムが走っています。選手たちのハーバー移動もほとんどが自転車という、エコな世界選手権となりました。
ヤマハセーリングチームが出場した470級には全64艇、日本からは4艇が出場。春の欧州遠征後、パリ大会セーリング競技の開催地、フランス・マルセイユで重点的にトレーニングしたヤマハチームが今年一番の大舞台でどんな戦いをするのかが注目されました。
ハーグ沖は潮流の速さに特長があります。特に風が弱くなると影響が大きいため、どれだけ潮流を味方につけるかが攻略の肝となりました。選手にとっては、癖のある走らせにくい海面です。この難関のレース海面を打ち破ったのは日本でした。初日からトップ10に3艇が入る大活躍を見せます。
岡田奎樹/吉岡美帆(トヨタ自動車東日本/ベネッセ)選手は初日から快進撃を見せてトップを譲らず。ヤマハセーリングチームの磯崎哲也/関友里恵もメダル争いに絡む積極的な戦いを見せます。髙山大智/盛田冬華はスタートで抜け出すも、第1マーク間際の潮流で順位を落とす場面もあり、決勝ゴールドフリートに進むも、苦戦を強いられました。
「前半は良かったけれど、後半に崩したのが悔やまれます。スタートの成功率はあがっているのですが、マーク間際で順位を落としてしまった。自分が良かれと思っていた戦い方が裏目に出てしまっていた。そのことに気がつけたのは良かったです」(髙山)
磯崎/関は上位と僅差の6位で最終日のメダルレースへ進出しました。トップ10艇で競われる決勝メダルレースは、得点が2倍となるため逆転の可能性があります。
気合い十分の磯崎/関ですが、第1レグでは10艇中8位で第1マークを回航。このままではメダルには届きません。それでも上位グループとは逆の右の海面を選択してゲインすると早めにタックして左海面に転換し、レグ後半の風の振れと潮の流れをつかんで逆転。この粘りと冷静に風を見る視点は見事でした。
「最後まであきらめず、フィニッシュまで戦えたことが結果につながりました。このレースを振り返ると、耐えて耐えての苦しい戦いでした。ただ、チームワークはあがっているし、ムードも悪くない。もう少しボートスピードが欲しい場面がある。次の世界選手権までに改善して、またメダル争いをしたい」(磯崎)
セーリング・ワールド・チャンピオンシップの結果は岡田/吉岡が金メダル、スペインが銀、そして磯崎/関が銅メダルを獲得しました。日本のダブル表彰台は34年ぶりの快挙です。また、磯崎哲也は2018年の銀メダル以来、二度目の表彰台となりました。
金メダル、銅メダルで世界に実力を知らしめた日本は、パリ大会の出場国枠を獲得しました。これから1チームだけが出場できる日本代表選考がはじまります。