「470級ヨーロッパ選手権」ハイレベルなレガッタの中で成長を続けるチーム
5月15日から20日にかけて、イタリア西部のサンレモで「470級ヨーロッパ選手権」が開催されました。
5月15日から20日にかけて、イタリア西部のサンレモで「470ヨーロッパ選手権」が開催されました。ヨーロッパ選手権は世界選手権に次ぐハイレベルな大会です。この大会に26カ国/65チーム、日本からはパリ大会を目指して活動する4チームが出場しました。
イタリアのほぼ西端に位置するサンレモは「リヴィエラ」と呼ばれる風光明媚な地中海沿岸の観光地です。ヨットレースの開催地としても知られていて、本大会を主催するサンレモ・ヨットクラブでは多くの大会が開催されています。
欧州のセーラーにとってヨーロッパ選手権で勝利することは重要な意味があります。その地域でメダルを取ることは、自身の活動を自国へわかりやすく伝えられるからです。国際大会の中でも特別な雰囲気があり、選手の意気込みが直接伝わってきます。
また、日本チームにはもうひとつの重要な意味があります。この大会が2023年度の日本ナショナルチーム選考をかねているためです。世界とハイレベルな戦いの中で成長すること。そして総合19位以内に入り選考を通過することが目標となります。
大会は不安定なコンディションではじまりました。大会前半は、陸上で発達した雨雲の通過で風向が大きく変化するため、順位の変動がはげしく、日本チームは安定した順位を確保できず。1位で走っていても風の弱いスポットに入ってしまうと、順位を大きく落としてしまうというギャンブルゲームとなりました。
この風に翻弄されたのは磯崎哲也/関友里恵でした。途中までのは上位グループで戦っているものの、中盤戦で逆サイドを走ったグループに抜かれてしまうという場面が何度も見られました。礒崎/関は総合25位で大会を終えました。
「前半に得点を稼げなかったのが痛かったです。それが後半まで響いてしまった。いままでやってきたことはいかせています。ただ風が安定して吹きだすと練習が足りていない部分があからさまになる。この弱点を埋めていきたい」(磯崎哲也)
後半戦はサンレモ特有の強風の戦いになりました。この春から好レースをみせている髙山大智/盛田冬華は、得意とする強風レースで順位をあげていきました。
最終日は途中16位まで順位をあげましたが、沈する場面もあり最終21位に。日本のなかでは総合8位の岡田奎樹選手/吉岡美帆選手(トヨタ自動車東日本/ベネッセ)に次ぐ成績ですが、わずかの得点差でナショナルチーム入りを逃しました。
「ゴールドフリートで順位をあげていけるレースができるようになったのは良かったし、チームの成長を感じています。ただ、もう一歩の越えられない壁を感じているのも確か。この大会を通じて、その根本的な問題が浮き彫りになったので、6、7月の練習で改善していきたい」(髙山大智)
軽風と強風の極端な風で戦いチームの問題が明確となったヨーロッパ選手権。選手たちは6、7月の練習を経て、今年の本番大会といえる、8月オランダ世界選手権へ挑みます。