新チームとして初の海外レガッタへ「プリンセスソフィア杯セーリング・ワールドカップ」
2022年4月1日から9日にかけて、スペイン・マヨルカ島で「第51回プリンセスソフィア杯」が開催されました。
2021年にチームを結成した髙山大智/盛田冬華ペアは、世界的なパンデミックの趨勢が不透明だったため国内のみでの調整を余儀なくされてきましたが、この春からようやく欧州のメジャーなレガッタに出場できることとなりました。
緒戦は地中海バレアレス諸島のスペイン・マヨルカ島で開催された「第51回プリンセスソフィア杯」です。毎年、春に開催されるこの大会は、セーリングを愛好するスペイン王室、ソフィア王妃の名前を冠とした、スペイン国内で開催される最大規模のヨットレース。また、世界を目指す選手たちのシーズンインを告げるもので、セーリング・ワールドカップシリーズの一戦に数えられます。昨年まで延期、中止を余儀なくされてきましたが、今回は2年ぶりの開催となりました。
今年のプリンセスソフィア杯は、パリ大会で採用される10種目に加えてクルーザーレースなども併催され、大会期間中のマヨルカ湾はセーリング一色となります。また、例年なら温かい初夏の陽気でレースがおこなわれるプリンセスソフィア杯ですが、今年は異例の寒さ、悪天候のなかでの開催となりました。
本大会に出場したのは62カ国/1000選手/800艇。日本からもパリ大会を目指して活動する22選手/16艇が出場しました。 東京大会まで男女別種目だった470級は、乗員の規則が変更され、男女混合種目となりました。プリンセスソフィア杯は新規則になってはじめて開催されるビッグイベントです。選手たちは、男子と女子がどちらのポジションを担当したほうが優位なのかを模索しているようでした。
レース前半は強風となり、沈艇やトラブル艇が続出するタフな戦いが繰り広げられました。沖に設置された470級のレース海面は波も悪く、トラブルを回避して走らせることが優先されるサバイバルレースです。
新チームとなって初の海外レース出場となる髙山/盛田は、第4レースでトップを取る快走をみせるなどして、決勝上位グループのゴールドフリートへ進出。決勝はハードコンディションの中で健闘しましたが、惜しくも上位10艇の決勝戦メダルレースへ進出ならず。髙山/盛田は大会を12位(66艇中)で終えました。
「シリーズ前半は、自分たちが他のチームと比べてどれくらいの実力なのかがわからなかったので、順位ばかりが気になってしまい、その日に設定した自分たちの目標に集中できていなかったような気がします。でも、そのことに気づいたシリーズ後半からは、順位のみにとらわれることなく、自分たちがその日にやるべきことに向き合うことができました。このレガッタに参加したことで、以前よりも自分のことを客観視できるようになったと感じています」(盛田冬華)
順位だけにとらわれず、自分たちの課題を確実にこなしていくことが、目標への最短コースに繋がるはずです。
初めて世界を相手に戦ったことで得られた自信と、たっぷりの反省、そして少し抱いた悔しさを胸に、髙山と盛田は次なる戦いの場であるフランス・イエールへと旅立ちました。