辛抱強く経験を積み、虎視眈々と8月の江ノ島を目指す
5月9日から14日にかけ、イタリア西部の港町・サンレモで「470級ヨーロッパ選手権大会」が開催され、髙山大智/今村公彦、宇田川真乃/工藤彩乃、マシュー・ベルチャー/ウィル・ライアンが出場しました。
5月9日から14日にかけ、イタリア西部の港町・サンレモで「470級ヨーロッパ選手権大会」が開催されました。ヨーロッパ選手権は、欧州で活動する選手にとって自国のプライドをかけて戦う重要な大会です。この大会に髙山大智/今村公彦、宇田川真乃/工藤彩乃、オーストラリアのマシュー・ベルチャー/ウィル・ライアンが出場しました。
選手たちは、第1回の日本代表選考大会となった「プリンセスソフィア杯」からイタリアで開催された「セーリングワールドカップシリーズ・ジェノバ大会」を経て、サンレモへやってきました。髙山大智/今村公彦、宇田川真乃/工藤彩乃らの次の目標は、日本代表選考第2回となる江の島470級世界選手権(8月開催)です。選手たちは「プリンセスソフィア杯」で得た課題を克服しつつ、欧州大会で経験値を増やし、夏までに少しでも成長するべく大会に挑みました。
ヨーロッパ選手権は非常に不安定な風の中で行われました。一気に風が吹き上がったと思えば風向が大きく変化したり、無風のため陸上で長時間待機して夕方6時からレースが開始となるなど、不規則なコンディションの中、選手たちは試合の緊張感を保つむずかしさを感じていたようです。
髙山/今村は、序盤こそ中位置でもがきながらも、決勝で上位グループのゴールドフリートに進出。尻上がりに成績をあげる形で後半戦を迎えますが、ここで風は再び不安定に。
大会4日目には30ノット(風速約15m/s)に達する強風のなかでのレースとなり、大会5日目は風が強すぎるためにレースがキャンセルとなり、選手たちは不完全燃焼で大会を終えました(最終成績21位)。
「今年の前半は、第1回選考のあった「プリンセスソフィア杯」を目標にしていました。いまはチームの状態を夏の江の島でピークに持っていけるように調整しています。レースの結果も大切ですが、夏までの流れを大切にしていきたいと考えています」(今村公彦)
女子の宇田川/工藤は、強風レースで転覆するなど不規則な風のなかで戦う難しさを改めて体験することに。しかし、気持ちは常に前向きで、毎日のセーリングを振り返り、弱点を克服することに取り組んでいます(最終成績27位)。
「いまは、この春にできなかったことを試しています。混戦のなかからスタートしてむずかしい状況で辛抱強く走ること。また、マーク回航の戦術などに焦点を合わせています。わたしたちは8月の選考の前に、470ジュニア世界選手権(7月スロベニア)に出場します。時間は限られていますが、自分たちの技術を可能な限り上げていきます」(宇田川真乃)
なお、オーストラリアのマシュー・ベルチャー/ウィル・ライアンは、得意の強風で圧倒的なパワーを見せて今大会の優勝を決めました。次回の大会は、フランスで開催される「セーリングワールドカップシリーズ・マルセイユ大会」です。チームの挑戦は続きます。