それぞれの課題を持って臨む2シーズン目の座間味
12月7~27日の20日間、沖縄県の座間味島でJSAFオリンピック強化委員会が主催する470強化合宿に、神木/疋田、宇田川/工藤の2チームが参加しました。
2018年12月7~27日の20日間、沖縄県の座間味島でJSAF(日本セーリング連盟)オリンピック強化委員会が主催する470強化合宿に、YAMAHA Sailing Team 'Revs'から神木聖/疋田大晟、宇田川真乃/工藤彩乃の2チームが参加しました(髙山大智/今村公彦はオーストラリア遠征中)。
この合宿は、冬場に安定した強風が吹く座間味島をベースに、徹底した乗り込みと、専門トレーナーの指導の下で極めてタフな体力トレーニングを行うことを目的とした強化合宿で、昨シーズンから数えて今回で第5クールとなるものです。冬の冷え込みが厳しくなる本土と比べて、この時期の沖縄は気温も15~20℃と温暖なため、怪我のリスクも少なく、選手たちは思い切り身体を動かすことができるようです。今回は、YAMAHA Sailing Team 'Revs'の2チームを含めた、男子4チーム、女子3チームが参加しました。
1日のタイムテーブルは朝7時の起床と同時にウオーキングで身体をほぐし、10時から海上練習を行い、15~16時頃に帰港した後に港のそばの公園でポジションに合わせたフィットネストレーニングを行い、約5kmのランニングで座間味交流センターに向かい、そこで再びマシンを使ったフィジカルトレーニングを行います。夕食の後にはその日の練習を振り返ったミーティング。遊ぶところもない島なので、選手たちはそのまま朝まで泥のように眠ります。
今シーズンは度重なる怪我で、なかなか海に出られなかった神木選手にとっては、この合宿が本格的なセーリングへの復帰となります。「左右同じ場所をやってしまったので……でも前回の経験があったので、今回は比較的スムーズに復調できています。この合宿では前々からの課題だったウネリの中でのハンドリングや身体の使い方を意識して取り組んでいます」(神木聖)。
パートナーの怪我で、他のスキッパーとコンビを組むなどしてきたクルーの疋田選手は「この合宿は自分たちにとって本当に有意義なものになっています。質が高いことはもちろんですが、今の自分たちにとっては絶対的な『量』をこなすことが最も大切。座間味は毎日いい風が吹くので、徹底的に乗り込んで神木とのコンビネーションの勘を取り戻したいと思います」(疋田大晟)
横浜でヨットに乗り始め、高校時代は霞ヶ浦で育った宇田川選手にとって、座間味の強風と大波は異次元の体験です。「ここまでの強風はレースでしか経験してこなかったので、座間味でのセーリングは本当に大変ですけど、得るものも多い。トレーニングも他の選手とペアを組んで行ったりするので、一人ではとても無理なところまで追い込めるので、辛いけど楽しく取り組めます」(宇田川真乃)。
今シーズンからチームに加わった工藤選手は11月の第4クールに引き続き2回目の座間味となりました。「座間味は島の形が複雑で、それを生かして色々な海面を選ぶことができる。その日の練習に合わせて海面を選べるのがいいですよね。あと、トレーニングは毎日メニューが少しずつ変わるので、なかなか慣れるということがなくて、着いていくのが大変ですけど、みんなで励まし合って頑張っています」(工藤彩乃)。
それぞれがそれぞれの課題に真正面から向き合って過ごす日々は、端から見てもその充実ぶりがヒシヒシとうかがえます。 この合宿に参加している者は、2019年から始まる東京五輪の代表選考では敵同士となる関係です。それでもなお、互いを高めるために同じ場所で切磋琢磨し合うことができるのは、その目標が単なる五輪出場ではなく、表彰台のメインポールに日の丸を掲げるという同じ夢を描いているからこそ。ライバル同士の絆を支えるのは「強い者が勝つだけ」という潔い信念に他なりません。