宇田川と工藤はコンビで初タイトル
全日本で高レベルのレースを展開
オーフス(デンマーク)の世界選手権から約2週間後となる8月22〜26日、2020年東京オリンピックのセーリング競技会場となる江の島ヨットハーバーで、第47回全日本470級ヨット選手権大会(兼・第32回全日本女子470級ヨット選手権大会)が開催されました。
[ダイジェストムービー] 470 class Japan Championships 2018 江の島ヨットハーバー
同時期にジャカルタで開催されたアジア大会出場のため、世界選手権で銀メダルを獲得した男子の磯崎哲也/高柳彬(エスピーネットワーク/日本経大)、金メダルを獲得した女子の吉田愛/吉岡美帆(ベネッセホールディングス)の2チームが不出場となりましたが、男子では世界選手権3位のシャマー/ロドリゲス(スペイン)や、リオ五輪銀メダリストのベルチャー/ライアン(オーストラリア)、女子では世界選手権2位と5位に入ったスペインの2チームなど、世界のトップチームがオープン参加しており、例年に比べてレベルの高いレガッタとなりました。
YAMAHA Sailing Team 'Revs'からは男子の高山大智/今村公彦、女子の宇田川真乃/工藤彩乃の2チームがエントリー。神木聖は世界選手権後、足を痛めて治療中のため今大会の出場は見送られました。
8月24日に西日本に上陸した台風20号の影響で、江の島沖は大きなうねりが発生し、南から吹き込む強風が30ノットを超えた24日は全レースがキャンセルされるなど、強風シリーズとなった今年の全日本。強風を得意とする高山/今村の躍進が期待されました。
その期待に違わず、高山/今村は予選シリーズの5レースを全て3位以内でフィニッシュする安定の走りを見せ、トップを独走するベルチャー/ライアンに食らいつくようにして決勝シリーズを迎えました。
決勝初日の24日は強風と高波のためキャンセルとなり、続く25日もいいスピードを見せていましだが、第7レースで痛恨のリコール。一歩後退して、4位(日本チーム3位)で最終日のメダルレースを迎えました。とはいえ、2位の岡田奎樹/外薗潤平(トヨタ自動車東日本/九州旅客鉄道)とは2ポイント差で、3位の土居一斗/木村直矢(アビームコンサルティング)も含め、メダルレースで先着した者が今年の全日本チャンピオンとなるという大混戦。
迎えた最終日は微風〜軽風のコンディション。スタート後、左海面で勝負に出た岡田/外薗に先行されるも、2回目のアップウィンドで逆転するなど一進一退の攻防を見せましたが、最終レグのコース選択が裏目に出て7位フィニッシュ。最終順位は6位(日本チーム3位)となりました。本人たちにとっては悔しい結果に違いありませんが、強風でのパフォーマンスはメダリストたちに引けを取らないことが確認でき、収穫の多いレガッタとなったはずです。
女子ではスペインの2チームが1・2位を独占する形となりましたが、宇田川/工藤も攻めの姿勢でレガッタを戦い抜き(そのため第7レースでリコールしてしまいましたが)、日本チーム1位となって2年連続全日本女子チャンピオンの座を守りました。
「これからは自分たちの弱点を克服するための練習を意識的に増やしていきたいと思います。具体的には強風での乗り込み、それしかない」(宇田川)
やるべきことは見えています。それをどこまで追い込んでできるのか。ライバルたちだって立ち止まっているわけではありません。世界への初チャレンジの彼女たちにとって、ここからが最も厳しい試練となります。