多くのファンに支えられた2025年MotoGP日本グランプリを振り返る
レースに関連する広報発表資料をご覧いただけます。
2025年10月22日

MotoGP世界選手権の第17戦日本グランプリが9月26-28日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されました。好天にも恵まれ観客動員数は90,096人と、昨年の80,131人から約1万人増加。8月に開催された鈴鹿8時間耐久ロードレースの61,500人も上回り、世界最高峰の名にふさわしく、多くのファンが押し寄せました。
この日本グランプリの開催に合わせ、「Monster Energy Yamaha MotoGP」のファビオ・クアルタラロ選手とアレックス・リンス選手、「Prima Pramac Yamaha MotoGP」のジャック・ミラー選手とミゲール・オリベイラ選手は、当社のイベントや今大会を盛り上げ広げるさまざまなプロモーションに参加しました。その模様を多くの写真とともにご紹介するとともに、後半ではライダーたちのインタビューも掲載していますので、ぜひお楽しみください。




まず、昨年の浅草・浅草寺に続き、新宿歌舞伎町で9月24日(水)に行われたプレイベントには、リンス選手とミラー選手が登場。会場入りの時点で多くのファンに囲まれ熱いパワーを感じたライダーたちは、イベント本番でもぎっしりと集まったファンの皆さんに向けたトークショーを行ったほか、会場を練り歩きサインなどファンの皆さんとのさまざまなコミュニケーションを楽しみました。


また会場には当社のMotoGPマシン「YZR-M1」に加え、日本グランプリ限定パドックスックーターとして当社の新入社員がデザインしたピンクのNMAXを展示するなど、新宿という立地を最大限に活用し、既存のファンだけでなく道行く人々にもモータースポーツや二輪に興味を持っていただく機会になるよう企画しました。


さて、このイベントの数時間前。静岡県磐田市のヤマハ発動機本社では、MotoGPライダー4名による従業員向けのトークショーを開催。ライダーたちからはMotoGPを含め、ヤマハ発動機のさまざまな活動を支える本社従業員に感謝のメッセージを、従業員からはライダーに激励の言葉を伝え、互いにモチベーションを高め合いました。


トークショーでは、さまざまな質問をライダーたちにぶつけましたが、日本での過ごし方については、リンス選手が初めてお子さんを日本に連れてきて、東京周辺の観光を楽しんだなどプライベートな話も。さらに当社の好きな製品についての話題では、クアルタラロ選手を筆頭にライダーたちが「TMAX」を絶賛したシーンが最も盛り上がったのでした。


その後は、当社の中で現在進行形のプロジェクトをライダーたちに体験してもらう機会を設定。これはエンターテインメントとして楽しんでもらいながら、当社のさまざまな技術や製品、研究領域について知っていただくことが狙いであり、だからこそ体験型としました。加えて二輪モータースポーツの分野で世界最高のライダーたちの感覚・感性の中で生まれる貴重な感想や意見を聞かせてもらうなど、ライダーとの協業やコラボレーションの機会にもなっています。


ウィークに入ってもライダーたちにはさまざまな活動が待っています。ここでもライダーたちはファンとの触れ合いをとても大切にしており、パドックエリアでは走行前後で待ち受けるファンの皆さんとのコミュニケーションを図ります。ライダーのために趣向を凝らしたさまざまな応援グッズとともに、ファンの皆さんの熱い声援がライダーたちにパワーを与えてくれているのです!


さらにヤマハファンブースやオフィシャルステージのトークショーに出演。ご覧の通り、たくさんのファンの皆さんが集まってくれました。こうしても見ると、ライダーたちはファンの皆さんとの触れ合いを通して、常に後押ししてもらっていることがわかります。
さて、ここからは日本グランプリということで、ライダーたちに本社広報にてスペシャルインタビューを行ったのでご紹介します。まずは、世界を渡り歩き、多忙を極めるライダーたちですが、レースとレースの間での過ごし方や、来日時の過ごし方について聞きました。


「個人的には、さまざまなことがとても上手くコントロールできている」とはクアルタラロ選手。「オフは特に有酸素運動を中心としたトレーニングを行っている。ランニング多いかな。それからジムに行ったり、モトクロスやトライアルをしているけど、シーズン中はレースが多くてそれ以上はできないんだ。ただ、ソファに座って過ごすよりも、トレーニングをしている方が、自分にとっては間違いなく良いことだよね」
「オフはM1から離れる時間だね」というのはリンス選手。「だからジムでのトレーニングや有酸素運動が中心だね。自転車にもよく乗るし、アンドラではトライアルもやっていて、M1に乗ることに役立っているんだ」と、世界で戦うライダーにとってトレーニングが日常であることが伺えます。
さらに日本を訪れた際の過ごし方を聞くと、クアルタラロ選手は、「残念ながら今回はあまり時間がなかったけど、渋谷や銀座に行ったりすることが多いね。僕らの文化とは少し違うので刺激的だし、年に一度は必ず訪れたいんだ」と、おしゃれで若者らしい一面を見せてくれました。一方のリンス選手は家族を伴って来日しており、「家族とは久々の日本なので東京を訪れて過ごしたんだ。いろんな街並みを見て、日本の文化に触れ知ることができてとても良かったよ」と家族との楽しい時間を作り、リラックスしたようです。


ミラー選手は日本で、「ホームセンター行くのが好きなんだ。日本の掃除用品は本当にすごいよね。特にバイクの部品のクリーナーは最高さ! オーストラリアやヨーロッパでは手に入らない素晴らしい工具も揃ってる。残念ながら今回は滞在が短くていけなかったけど、鈴鹿8耐の前に買うことができたんだ!」と興奮気味。一方のオリベイラ選手は、「特に何もないけど、日本に来るだけで普段とは全然違うよね。日本の人々から何かを学ぶ、それは常に重要なことだ」とそれぞれが独自の過ごし方をしていることがわかります。
続いては、今シーズンから新たにヤマハに加わったミラー選手とオリベイラ選手に、「YZR-M1」の特性や当社のマシン開発についての印象を聞かせてもらいました。


オリベイラ選手は、「すぐに感じたのは、ブレーキ特性がかなり異なっていること。当初はブレーキングポイントを遅らせようとした時の調整が少し難しかったね。そのかわり、フロントエンドの安定感が非常に高く、フロントタイヤの温度や空気圧に多少の変化があっても、走行への影響が少なく大きな信頼感があるんだ。オーバーテイクについては苦労する部分があるけど、ライバルに接近することができる点ではかなりの競争力を持っている。
また、電子制御システムやスロットル操作に対するエンジンの反応は、他車とは異なり最初は合わせるのに苦労したけど、ヤマハは今シーズン、過去に経験したどのマシンにも比べようがないほど非常に大きな進歩を遂げた。ライダーに最高のマシンを提供するという素晴らしい仕事をしてきたと思う。
そしてヤマハのユニークな点は、バイク全体の構造にある。バイクがとても美しく、細部まで丁寧に作られている。ボルトも配線もすべてがきちんと整っていて雑然としたこところがなく、これが日本のバイクかと感心したんだ」


ミラー選手は、「エンジンがとてもスムーズで、不思議なことに他で感じたような唐突な加速やスピードの変化がない。あまりにスムーズなんで、もっとパワーが必要なのかと錯覚してしまうほど。バイクのフロントエンドは他車よりワイドで、同時にブレーキングは快適。特に僕はフロントブレーキを多用するのでとても気に入っているんだ。
そして、ミゲルも話しているけど、毎回ボックスに入ってバイクの姿を見るのが最高なんだ。加工の仕上げ、配策、シート。特にシートの剛性感はすごいよ。こうした細部へのこだわりと、完成度はほぼ完璧と言える。さらにサウンドに関しても、M1は驚異的だ。ピットレーンで暖機している時のサウンドだけでも最高だね」と話してくれました。

さらにバイクの開発の方法については、多くのチームをわたり歩いてきたミラー選手に語ってもらいました。「僕は過去、日本も含めていろんな国のエンジニアや、Pramacを含めいろんなチームと仕事をしてきた。ヤマハはそのどれともアプローチが少し違うんだ。ただ、僕自身はヤマハの開発を本当に楽しんでいる。まず、全員がとにかく現場を重視して実践的で、バイクについてとても密な対話が行われる。
エンジニアたちはライダーからのフィードバックを本当に楽しみにしていて、ミゲルも話していたけど、最高のものを提供しようするために、次のステップに進む前には入念に確認するという流れをとる。これは素晴らしい考え方だし、方向性が定まった時には無敵になると思うんだ」と、貴重なお話をしてくれました。
最後にレースに向けた心構えやレース中の感情について4名に聞いています。


クアルタラロ選手は、「実はほんの短い間だけだけど緊張はするんだ。特にスタートの2分前くらいから最初の周回が終わったくらいまでかな。レース中は状況によるけれども、うまくいっている時はいろいろなことを考えているよ。逆にうまくいっていない時はとにかくレースが早く終わって欲しいと願うだけだね」


リンス選手は、「僕の場合はグリッドに一人で立っている時、レースが始まる直前に緊張するんだ。緊張とアドレナリンが入り混じった感じになる。レース展開次第ではあるけれど、レースになるといい時も悪い時も、短いフレーズで独り言をいっている」


ミラー選手は、「レースに向けては緊張しているというよりか、ワクワク・ドキドキしているといった方がいいかな。これは僕が子ども時にレースをはじめた頃からの感覚で、今もそれは変わってない。
そしてシグナルが消えるとまるで吸い込まれるように飛び出し、その瞬間から完全にレースに没頭するんだ。レース中は、今この瞬間に何が起こっているか? 自分の気持ち、体の調子、バイクの調子を考えている。ここはもっと良くできる、ここはもっと良くしなきゃ、修正しなきゃってラップごとに考えながら走っているよ」


「レースの前はこれからへの期待を感じている。そして少しの恐怖、これからどうなるんだろうという気持ちが入り混じった感じ。そしてレースを始めるまでにこれらの感情をコントロールするのかが重要なんだ。
レースになると常に何が起こっているかを考え、周りやバイクで起こっていることに反応しながら、ただ1周を走っていく。僕の場合、レースを乗り切る最適な方法は小さなステップで考え、ゴールをあまり意識しないことなんだ。でも時々、レースが長いと感じたり、疲れてきたとか、どうしようとか、そういう感情や考えが湧いてくることもあるけど、レースはいつか終わるものと割り切るようにしている」とオリベイラ選手。

以上、日本グランプリのレポートでした。写真を振り返っていくと、本当にたくさんのファンに支えられていることを改めて感じました。応援に駆けつけてくださった皆さま、ありがとうございました。2025年シーズンも残りわずかとなりましたが、引き続き全力を尽くしますので、4名のライダーへのご声援をお願いします。
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