MFJカップJP250選手権 「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」の獲得を目指し9名の若手ライダーがエントリー
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2025年5月7日

スーパーバイク世界選手権に併催され、MotoGPを目指す若手ヤマハライダーたちにとって大きな一歩となる「Yamaha R3 BLU CRU FIM World Cup(R3 World Cup)」が、3月末のポルトガルラウンドで開幕しました。このR3 World Cupへの参戦権を賭けて、日本の若手ライダーを対象に実施しているBLU CRU活動の一つが「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」。全日本ロードレース選手権に併催されるMFJカップ JP250選手権の中で最上位となったライダーを、当社のサポートのもと、1シーズンにわたってR3 World Cupに派遣する制度です。


R3 World Cupでチャンピオンになったライダーには、当社のグループ会社であるヤマハ・モーター・ヨーロッパのサポートのもとスーパースポーツ300世界選手権(WSSP300)に参戦することができます。さらに今年から、スーパースポーツ世界選手権にBLU CRUのシートを設定しインドネシアのアルディ・スティア・マヒンドラ選手が参戦、Moto2世界選手権には「BLU CRU Pramac Yamaha Moto2」を発足。MotoGPまでつながる道(ステップアップ)を整備したことから、WSSP300で好成績と将来性を示したライダーにはさらなるステップアップが可能となっています。


世界中の若手ヤマハライダーがこのステップアップを使ってMotoGPを目指す中、日本人ライダーを対象に日本代表を決めるのがこのスカラシップ。まさに「世界へのスタートライン」とも言えるもので、2023年からスタートし、2024年は高橋匠選手が欧州へ。シーズンでは2回の表彰台を獲得するなどランキングは6位と、WSSP300へのステップアップはかないませんでしたが、力をつけ2025年は全日本のST600に参戦します。


そして2024年のJP250では久川鉄平選手が圧倒的なパフォーマンスを見せてチャンピオンとなり、同時にスカラシップも獲得。開幕戦のポルトガルではRace1からトップ争いに加わり4位、Race2では2位表彰台を獲得し、日本代表として海外勢に負けないポテンシャルを示してくれました。
こうした、世界に伍していく人財は自然に育って来るわけではありません。「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」は、JP250でBLU CRUのメンバーと、また他メーカーのライバルという二重のプレッシャーの中で戦い、然るべき知見を持ったライダーやエンジニアからのライディング・セッティング面でのアドバイス、メンバーを意識し刺激し合える環境でR3を習熟する走行機会の提供など、さまざまな役割も果たしています。
そして4月上旬、今年のメンバー9名が京都府にある近畿スポーツランドに集結。JP250経験者を中心に、他メーカーの主催のワンメイクレース、ミニバイクレース出身者などさまざまな経歴をもつ多様な人財が、2日間にわたりBLU CRU走行会を実施しました。


走行会の冒頭、参加メンバーに対し、スカラシップにチャレンジするに当たり5年・10年後の目的(ゴール)を自分の中でイメージすること。レースにおける契約の大切さ、厳しさを理解すること。そしてコンプライアンスに違反しないことを、プロライダーを志すにあたっての心得として伝えました。


さらに9名が顔合わせコミュニケーションをとって互いを知り、YZF-R3の慣熟を目指す機会であることを皆が理解してスタート。


走行は9名を2つのグループに分け、1本20分の走行を繰り返して実施。周回数を稼ぎながらも安定して速いペースを刻み、体力強化にもつなげました。


ライディングの指導は昨年に続き前田恵助アドバイザーが務め、ST1000に参戦する井手翔太選手(AKENO SPEED・RC KOSHIEN)がサポートアドバイザーとして参加しました。


前田アドバイザーと井手選手はライダーたちと一緒に走行。前に立って引っ張り、後ろについて観察すると、走行後には各ライダーたちとコミュニケーションを図り、質問に答えたり、走行に関するアドバイスを行いました。


また、今回は初の試みとして「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」で中須賀克行選手のフィジカルサポートを務める佐藤圭太トレーナーが参加しました。これから世界を目指す若手に、アスリートの常識としてフィジカルケアの大切さを伝え、最善のパフォーマンスを発揮するため、疲労回復のため、走行の前後にストレッチなどを実施しました。

2日間の走行会を終えて前田アドバイザーは、「JP250を継続するライダーとともに、タレントカップやミニバイクなどを経験するバラエティ豊かなメンバーが揃いました。それによって乗り方も多様で特徴があり、それに応じた課題も今回の走行会で見えてきましたが、過去の高橋選手や久川選手のように、“行ってこい!”と背中を押してあげられるレベルの高いライダーが揃いました。
現在は日本から海外への道が少なくなっています。だからこのスカラシップにも高い志を持ったレベルの高いライダーが集まってくるようになり、継続参加のライダーもそれに感化されて引き上げられる良い環境が整ってきました。この中で競い、高め合っていけば、高橋・久川両選手のように、欧州でも互角以上に戦える人財が育っていくと思っています。


みんなが本気で競い合うことで、全体的なレベルアップにつながっていくし、今回もR3に慣れていないライダーを重点的に教えましたが、若く吸収力がハンパないのでどんどん成長し底上げもできました。さらにシーズンでは、BLU CRUの9名に加えて、他メーカーのライバルも存在するので、ダブルの緊張感の中で戦っていく必要があり、成長の速度も幅も大きくなるはずです。
今年、欧州に行った久川選手は、このスカラシップを勝ち抜いたことでもっといけるという自信を持っていたし、驚いたことに、ライバルたちを観察する能力を身につけ、開幕戦で好成績をあげてくれました。今年もスカラシップで選ばれるのは1名ですが、誰もが欧州に行っても戦えるようになるだろうし、自分としてもそうなるように全員をサポートしていきたいと考えています。
昨年から基本的には変わりませんが、私はJP250の全戦とBLU CRUの走行会に帯同し、乗り方やセッティングを中心にアドバイスを行っていきます。ただ、今年はもっと密なコミュニケーションができるように、BLU CRUのライダーたちの近くに滞在して、ライダーたちが聞きに来やすい環境、僕が話に行きやすい環境を作る予定です」
最後に、参加した9名のライダーからシーズンの目標などコメントをもらったのでご紹介して終わりにしたいと思います。JP250は5月24-25日の全日本第2戦SUGO大会を皮切りスタート。今年は年間6大会でスカラシップを決定します。ぜひ、各ライダーの成長とその戦いを現地でご覧ください!
参加ライダーのコメント(五十音順)
今井勝也選手(BLU CRU Team BabyFace)


「昨年は他メーカーのワンメイクレースに参戦し岡山、鈴鹿、筑波を走っていました。岡山では年間チャンピオンを獲得し、他は両方ともに年間4位でした。僕としては将来、スーパーバイク、MotoGPを走ってチャンピオンになることが目標なので、今年、このスカラシップに挑戦することを決めました。できることなら今年でJP250のチャンピオンをとって、来年はR3 World Cupに行き、スーパースポーツ300、600に上がっていかなければならないと思っています。
BLU CRUのメンバーを見ると、みんな速いライダーばかりですが、今回の走行会でR3に感覚もつかめてきたので、これからもっと慣れていきたいし、開幕戦はSUGOですが、ここだけ走ったことのないコースなので誰にも負けない気持ちを持ちしっかりと攻略して、開幕から優勝を狙っていきます」
片田泰志選手(BLU CRU Team BabyFace)


「今年は2年目になりますが、昨年はナショナルクラスで3回の表彰台に立つことができ、自分が思っていた以上の成績を残すことができました。できれば1勝しておきたかったですが、今年につながるシーズンにはなったと思うので、開幕戦から勝ちに行くし、ナショナルでは全戦全勝して、BLU CRUメンバーの中でも1番になることが目標になります。
そのために、オフシーズンはTeam Norickの阿部監督と森山選手と2ヵ月間、海外で合宿を行い、毎日のように走り込んできました。こうした機会をいただいてとても感謝していますし、何よりも自分の成長を実感でき、“勝てる”という言葉が自然と出るとてもいい状態にあります。また、森山選手と同じく、600ccの練習バイクがあるので、鈴鹿と岡山の地方選手権で600のレースに参戦し、経験を積んでいく予定です。
今年は、昨年からライバルが増えました。アジアタレントカップに参戦していた高平選手や竹本選手をはじめ、みんなメチャクチャ速いのですが、自分も一年間、JP250で鍛えてきたので、大きな差はないと思っているし、手応えはあるので勝ちに行きます!」
高平理智選手(BLU CRU DOGFIGHT RACING)


「昨年は、アジアタレントカップで走っていましたが、今年からJP250への参戦を決断しました。併せてアジアロードレース選手権のAP250にフル参戦しますが、こちらは経験を積むことが目的で、やはり世界に続くJP250をメインとして1番を目標に走ります。
BLU CRUのスカラシップは最近できたばかりですが、僕らライダーの中で情報として流れてきていました。というのも、今、アジアタレントカップ以外に世界にいける道がBLU CRUしかないからです。
まもなくシーズンがスタートしますが、東のコースは全日本のJ-GP3にスポット参戦で経験はありますが、岡山国際やオートポリスは走ったことがありません。さらにR3も初なのでもっと慣れていく必要もあります。感覚としてはコーナーが強みだと感じているので、そこでアドバンテージを作りながら、開幕から勝ってヨーロップにいきます!」
竹本倫太郎選手(BLU CRU AKENO SPEED)


「昨年はアジアタレントカップにフル参戦し、その合間にJ-GP3にスポット参戦をしていました。アジアタレントカップでは年間ランキング8位で終わってしまい、厳しい1年間になりました。ただ、やはり最終目標はMotoGPなので、そのためにもヨーロッパ・海外を走りたいし、そのチャンスを掴むにはこのBLU CRUのスカラシップしか道がないのでエントリーを決めました。
今年の目標はJP250の総合チャンピオンになること。レースではなかなかこのクラスはぶっちぎるのは難しいと思うので、しっかり先頭集団に入ってレースを組み立てて、開幕から勝ちたいと思っています。ただ、タレントカップを一緒に走っていた高平選手を筆頭にかなり手強いライダーがいるので、彼らに勝てるように練習あるのみです。
シーズンオフはR3ではなく、今年からモトクロスのトレーニングに乗り込んできましたが、まだ、R3には慣れていないというのが正直なところで、その特性自体をまだ引き出せていません。開幕までしっかり乗り込んで、その特性を引き出せるようにして臨みます」
塚脇椋太選手(BLU CRU Team BabyFace)


「昨年までミニバイクだったのですが、そのステップアップとしてJP250がちょうどいいし、将来は芳賀紀行さんが好きなので、スーパーバイクを走りたいと思っており、BLU CRUにエントリーしました。まだ、フルサイズのサーキット経験はほとんどなく、まず1月はミニバイクを中心に乗って、2月あたりから鈴鹿の西コースをR3で走り始めた程度。とても難しいと思ったし、みんなよりも経験がかなり少ないので、自分を高めるためにもしっかりと走り込んで、みんなに追いつき、追い越していかなければなりません。ただ、16歳という年齢となり時間も少ないので、今年にスカラシップを取りたいと考えています。
まず開幕のSUGOでは、自分が入った集団の中で揉まれ、その集団のトップでフィニッシュすることが目標。そして理想ではありますが、3戦目になるもてぎでは勝っていたいと考えていますし、最終的にはヨーロッパに行けるように、自分を信じて頑張ります」
津田雄飛選手(BLU CRU Team BabyFace)


「昨年は2年目のJP250でしたが思った以上に伸び悩んだ一年でした。転倒もあったし、得意・不得意のコースがはっきりと分かれていて、不得意のコースは走れないと思い込んでしまい、成績も不安定でした。これは気持ちの問題でもありますが、どんなコースでも楽しく速く走れるようにする必要を感じました。さらに、経験も足りていないしスキルアップも必要だと感じたシーズンでした。
3年目となる今年は、年齢も15歳になります。まずは安定して上位を獲得できる強いライダーになること、そして結果的にはスカラシップを獲得し、JP250のチャンピオンにもなってヨーロッパに行きたいし、いかないといけないと思っています。
開幕戦はさっそく苦手なSUGOですが、さっき話した通り、気持ちから克服して最低でもトップ5に入ります。その後も表彰台を狙い続けて3戦目の得意なもてぎと4戦目のオートポリスでは優勝できるように頑張ります」
針尾大治郎選手(BLU CRU Nitro Ryota Racing)


「昨年は鈴鹿サンデーのJ-GP3に出場しており、いろいろなサポートをいただきながらチャンピオンを獲得しました。そして、Nitro Ryota Racingに所属することとなり、JP250に参戦することが決まりました。将来は、やはりMotoGPが目標になりますが、そもそも海外のレースに出たこともないので、まずはスカラシップをとって海外のレースにフル参戦することが目標です。
昨年のシーズン終了後は、フィジカルトレーニングを主にやってきたのですが、今年に入ってからはR3とR25に乗っていました。一時は日本は寒いのでフィリピンでトレーニングを行ったりと、とにかくたくさんバイクに乗ることができました。また体幹トレーニングを取り入れてフォームを強化するなど準備をしてきました。ただ、R3とはまだ友達になれていないので、早くそうなれるように乗り込んで、昨年は一度も優勝がないままチャンピオンになったので、今年は全部勝ってチャンピオンになりたいです」
本間国光選手(BLU CRU Team Norick+MGR.)


「昨年は筑波で行われている他メーカーのワンメイクレースに出場していました。それでチャンピオンを獲れたのですが、やはり将来はMotoGPで走りたいので、それを考えたときにヤマハのBLU CRU(スカラシップ)でチャンピオンを獲ることが、一番の近道だと考えエントリーしました。
今年で17歳になるので、ベストは来年、ヨーロッパに行くこと。でもメンバーを見ると速いライダーばかりで、僕自身としては、筑波、もてぎ以外は走ったことがないサーキットなので、正直、厳しい戦いになると思いますが、1年で結果を出したいので、できる限り早くアジャストして、同時に人間性もライディングも成長できるような一年にしていきたいと考えています。
今日は初めて走ったコースでトップに近いタイムが出て、自分にとってはプラスになっています。実際にシーズンに入ってもそれができるようにして、結果を出していきたいです」
森山浬選手(BLU CRU Webike team Norick)


「昨年はミニバイクからJP250に転向したばかりで、それぞれのサーキットやバイクなど、何もわからない状態からスタートしました。でも切り返しなどのマシンコントロール、クラッチワークなどの操作系などもかなり上達し、落ち着いてスピーディーに行えるなど、後半戦にはR3にも慣れ、自分でペースを作れるようになりました(ナショナルクラスでチャンピオン獲得)。2025年につなげるための一年であり、それをしっかり達成することができたと考えています。
「昨年はミニバイクからJP250に転向したばかりで、それぞれのサーキットやバイクなど、何もわからない状態からスタートしました。でも切り返しなどのマシンコントロール、クラッチワークなどの操作系などもかなり上達し、落ち着いてスピーディーに行えるなど、後半戦にはR3にも慣れ、自分でペースを作れるようになりました(ナショナルクラスでチャンピオン獲得)。2025年につなげるための一年であり、それをしっかり達成することができたと考えています。
2年目となる今年は、まずR3勢の中では絶対に一番になってヨーロッパに行きます。そのために、今年は地方選手権(鈴鹿、もてぎ、筑波)の600クラスにYZF-R6で出場。結果を出すことも一つの目標(すでに筑波では優勝、もてぎも総合2位を獲得)ですが、何よりもR6を振り回せるようになって、R3をおもちゃのように扱えるようになることを目指しています。
今年はライバルが8名、みんなレベルが高いことはわかっていますが、R6に乗るようになってR3への限界値も上がっているし、自分の実力をしっかり出し切って勝てるようにしたいと思います」
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