YZF-R9、スーパースポーツ世界選手権でデビューウィン 勝利を求め、人を育てるバイク
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2025年3月14日

2025年2月21〜23日、オーストラリアはフィリップアイランド。夏から秋に向かおうとしている真っ最中の南半球で、2025年のスーパーバイク世界選手権とともに、スーパースポーツ世界選手権が開幕しました。このレースでデビューしたのが、ヤマハ発動機の最新型スーパースポーツ「YZF-R9」です。


2024年10月に発表したこのモデルは、トルクフルで余力のあるパワーを発揮するCP3(クロスプレーン・コンセプトの3気筒)エンジンを、当社歴代スーパースポーツ最軽量の新型アルミフレームに搭載。MotoGPマシンから派生し、市販スーパースポーツのアイコンとなったエアロダイナミクス効果の高い「ウイングレット」を採用するなど、新しいスーパースポーツ像を象徴するモデルとして、欧州・北米から導入を開始しています。

そして、このR9の性能を世界中で証明するために、当社はスーパースポーツへの参戦を決断。短期間でレース仕様へとモディファイを行い、Pata Yamaha Ten Kate Racing WorldSSP Supported Teamのステファノ・マンジ選手、岡本裕生選手、Yamaha BLU CRU Evan Bros WorldSSP Supported Teamのアルディ・スティア・マヒンドラ選手、カン・オンチュ選手、GMT94 Yamaha WorldSSP Supported Teamのルーカス・マヒアス選手、マイケル・ルーベン・リナルディ選手といった3チーム・6名のライダーに託したのです。
さて、かつてのスーパースポーツは、4気筒600cc以下、3気筒675cc以下、2気筒750cc以下のモデルを使って行われていました。当社は1999年に発売した4気筒600ccの「YZF-R6」で2024年まで参戦。この25年の間に147レースで勝利し、404回の表彰台に立ち、6連覇(2017-2022年)を含む10回の世界チャンピオン獲得という記録を残してきました。


同時に、カル・クラッチロー選手(2009年)やチャズ・デイビス選手(2011年)、サム・ローズ選手(2013年)、近年ではアンドレア・ロカテッリ選手(2020年)、ドミニク・エガター選手(2021-2022年)といった若く才能に溢れるライダーたちが次々とチャンピオンとなり、スーパーバイクやMoto2、MotoGPへとのし上がっていきました。彼らがR6を駆ることで技術を磨き上げたことは言うまでもありません。
しかし2023年以降、R6は苦戦を強いられることとなります。スーパースポーツのベースモデルの生産が終了するなど市場動向の変化を受け、「ネクスト・ジェネレーション」と呼ばれる従来よりも大きな排気量のバイクが使用できる新しいレギュレーションが適用され、いち早く対応したライバルメーカーの競争力が高まったことが一つの要因として考えられます。そして2025年、満を持してヤマハ発動機も「ネクスト・ジェネレーション」となるR9の投入に至ったのです。


2月22日(土)のスーパーポール(予選)、マヒアス選手が3番手・フロントロー、オンチュ選手が4番手・セカンドローの奪取に成功。続く2025年のオープニングレース(Race 1)では、予選8番手のマンジ選手が駆るR9がトップ争いに食い込み、最終ラップまでもつれ込んだライバル車との激闘を制してデビュー・ウィンを飾ったのです。さらにマンジ選手はRace 2で2位を獲得し、最高のスタートダッシュを決めたのでした。

注目すべきはマンジ選手の勝利だけではありません。21歳のオンチュ選手がRace 1で6位入賞。Race 2ではリナルディ選手が4位、マヒアス選手が6位。


また2024年のスーパースポーツ300世界選手権でチャンピオンを獲得し、今年からスーパースポーツにステップアップした18歳のマヒンドラ選手がRace 2で13位としポイントをゲットするなど、各ライダーが、次につながる成績を残したのです。※岡本選手は事前テストで負傷し開幕戦を欠場しました。

R9の使命は「勝利を求め」、「人を育てる」こと。中でも後者は、若いマヒンドラ選手が所属するチーム名に、人財育成活動である「BLU CRU」の名が入っていますが、才能のある若いライダーのためのシートを設定しています。そしてかつてのR6のように、R9はそのライダーのスキルアップなど、多くのスタッフとともにプロフェッショナルとしての成長を促していくミッションを担っているのです。
ターゲットは2022年以来となるスーパースポーツのチャンピオン獲得。そしてできるだけ早く、Moto2に参戦する「BLU CRU Pramac Yamaha Moto2」へとステップアップするのに相応しい実力と将来性を持ったライダーを育てること。R9と当社によるとても困難で、新たな才能が生まれるワクワク感に満ちたチャレンジが始まりました。
なお、YZF-R9は2025年3月21日(金)〜23日(日)インテックス大阪、3月28日(金)〜30日(日)東京ビッグサイト、4月4日(金)〜6日(日)Aichi Sky Expo(名古屋)での各モーターサイクルショーのヤマハブースにて展示する予定です。ぜひご来場ください。
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