Yamaha R3 bLU cRU Asia-Pacific Championship アジア・オセアニアのヤングライダーを世界へ、初代チャンピオンは日本の奥貫翔選手
レースに関連する広報発表資料をご覧いただけます。
2024年12月25日
ヤマハ発動機株式会社とグループ企業のタイ・ヤマハ・モーターが協力し今年からスタートした「Yamaha R3 bLU cRU Asia-Pacific Championship(以下R3 bLU cRU APC)」初のシーズンが11月8〜10日、オーストラリアのベンド・モータースポーツ・パークでフィナーレ(最終戦)を迎えました。
R3 bLU cRU APCは、アジア、オセアニアから将来性のあるヤングライダーを発掘するとともに、世界に通用するライダーの輩出を目指して今年からスタート。そしてシリーズでチャンピオンを獲得したライダーにはスカラシップ制度として翌シーズンから2年間、「Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cup」(グループ会社であるヤマハ・モーター・ヨーロッパが運営、スーパーバイク世界選手権併催)への参戦支援が受けられる権利を設けました。
私たちがこの欧州レースへのステップアップを重視する理由は、同じくグループ会社であるYIMM(ヤマハ・インドネシア・モーター・マニュファクチュアリング)がサポートするアルディ・スティア・マヒンドラ選手(18歳)が、アジアロードレース選手権を経て欧州に渡り、R3 World cupにステップアップ、そして今年スーパースポーツ300世界選手権でチャンピオンを獲得し、2025年からはスーパースポーツ600世界選手権への参戦を決めたように、より若い段階からハイレベルな欧州のレースを経験することで大きな成長を促す事例があるからです。
派遣したライダーにはMotoGPライダーになってもらうのが究極の理想ではありますが、まずは第2のアルディ選手を目指してほしいと考えています。世界を経験し成長を遂げたライダーたちには将来、それぞれの国や地域でヤマハによるモータースポーツ活動の象徴となって若者たちの新しいチャレンジを促し、彼らを牽引するローカルヒーローになってほしいという願いを込めているのです。
タイ・ヤマハ・モーターは、デチャ・クライサートさんやラタポン・ウィライローさんらをサポートして成長を促し、ともにアジアロードレース選手権などで輝かしい成績を残してきました。彼らは今、タイの若手ライダーのロールモデルとなり、またアドバイザーとして現場に立ち、その経験・知見をもとに若者たちの背中を押し続けています。このようにR3 bLU cRU APCは、次のデチャさんやラタポンさんを生み出す人財創出のサイクルを作る活動でもあるのです。
こうしたさまざまな目的があるR3 bLU cRU APCだからこそ、ウィーク中のライダーたちは単にレースに出場するだけでなく、さまざまな経験を積んでもらえるよう、タイムスケジュールには育成プログラムが並びます。例えば、適切な食事の取り方、トレーニング方法、コンディショニングを専門家から学び、ライディングスキルやセットアップ、各種パーツの基礎知識は、アドバイザーやメカニックが提供。さらにメンタルトレーナーによるトレーニングも実施。優秀なライダーの発掘だけでなく、積極的な育成活動により、欧州への派遣を逃したとしても各国や地域のレースで活躍できるよう全参加者のレベルアップを目指しているのです。
参加ライダーたちの保護者の皆さんが、口を揃えて「欧州のFIM World Cupと繋がったことで、アジアから世界に通じる明確な道筋ができた」と話してくれた通り、豊富な育成プログラムと費用負担を抑えたレンタルパッケージを含むR3 bLU cRU APCによって世界への門戸を開き、夢を持った若者たちがチャレンジできるチャンスを提供できるようになったと自負しています。
さて2024年は、13名がエントリーしたタイを筆頭に、フィリピンから3名、オーストラリア、中国、日本、ニュージーランドから各1名の6ヵ国20名、13〜17歳のヤングライダーが全6大会12レースを戦いました。
シーズンは開幕2連勝を決めた日本の#31奥貫翔選手を軸に、#54 Sakchai Khongduangdee選手(タイ)、#68 Ryan Larkin(オーストラリア)、#13 Tanakit Pretesting選手(タイ)、#17 Haydn Fordyce選手(ニュージーランド)らが、互いを刺激し合い成長を見せました。
奥貫選手が第4戦日本で2連勝しランキングを独走することも予想されましたが、Khongduangdee選手が第5戦タイで2連勝と応戦。チャンピオン決定は最終戦のオーストラリアラウンドまでもつれ込みましたが、奥貫選手がレース1で今季5勝目をあげ初代チャンピオンに輝き、2025年から2年間、 FIM World Cupに、当社のサポートのもと参戦することが決定しました。
奥貫選手は「周りからたくさん“おめでとう”の言葉をもらいました。特に父からは“おめでとう”という言葉とともに“ありがとう”のメッセージをもらい、“こちらこそありがとう”という気持ちで、人生で一番うれしかった瞬間になりました」と喜びを語ると、「今シーズンは、“海外のライダーはアグレッシブ”というイメージがあり不安とともにスタートしました。ですが開幕戦のタイでダブルウィンを達成して勢いに乗ることができ、そこでレース運びや勝ち方を身につけました。その後も、ラスト3周の混戦を臨機応変に対応できるようになりました」と自らの成長を語ってくれました。
「来シーズンはヨーロッパでの挑戦が始まります。まずは気持ちで負けないこと。レースではコーナー進入の方法やブレーキ、倒し込みの位置・タイミングなどを研究し、インを開けない抜きづらいライダーになりたいと思います。そして開幕戦からトップ争いをして、チャンピオンを目標にがんばります」と抱負を語った奥貫選手は来シーズン、初代チャンピオンとしてFIM World Cupへの進出を目指します。
さて、今シーズンは20名のレギュラーライダーに加え、インドネシアやマレーシア、ベトナムのライダーがスポット参戦し、最終的には9ヵ国30名が大会に出場しました。2025年も当社は、R3 bLU cRU APCを継続し、アジア、オセアニアから世界を夢に見る多くの若者を支援していきます。なお2025年の応募概要は後日、改めてご案内します。