磐田市とともにJFAこころのプロジェクト『ユメセン』を支援 黒山健一選手と富田俊樹さんが夢先生として磐田市立豊岡中学校の教壇で熱弁
レースに関連する広報発表資料をご覧いただけます。
2024年12月16日
「特にこれといった夢とか目標はないんですけど、とにかくいつまでも幸せに過ごせたらいいなって思います」
写真はJFAこころのプロジェクト『ユメセン』のクライマックス。黒山健一先生から「夢・目標を教えてください!」というリクエストを受けて発表してくれた生徒さんのコメントです。黒山先生からの「すばらしい!」という大きな声で教室は拍手で包まれ、生徒さんの満面の笑みで締めくくられたのでした。
「JFAこころのプロジェクト」とは日本サッカー協会が、子どもの心身の健全な成長に寄与することを目的に取り組んでいる活動です。さまざまな分野で活躍するアスリートらが、「夢先生」として教壇に立ち、「フェアプレー精神」や「夢を持つことの素晴らしさ」、「それに向かって努力することの大切さ」、「失敗や挫折に負けない心の強さ」を子どもたちに伝えています。自治体や企業、団体からの支援のもと、このプロジェクトは海外を含め、全国の自治体で開催されているそうです。
「スポーツのまち」として全国1位を何度も獲得したことがある磐田市役所の「スポーツのまち推進課」が、この『ユメセン』に興味を持ったことがきっかけとなりプロジェクトが動き出しました。さらに『ユメセン』の夢先生に、YAMAHA FACTORY RACING TEAMから全日本トライアル選手権に参戦する黒山健一選手と、元ファクトリーライダーとして全日本モトクロス選手権で活躍し、現在は当社のテストライダーを務める富田俊樹さんが講師として登録していたことから、モータースポーツ活動を行う当社が、2名を支援する形で協力することとなり、磐田市立豊岡中学校の2年生を対象とした『ユメセン』が実現することとなったのです。
このように本プロジェクトには、「JFAこころのプロジェクト」に加えて、磐田市役所、アスリート、当社と、それぞれのさまざまな思いが込められていました。当社としては、子どもたちの成長に寄与するという社会貢献をはじめ、「スポーツのまち」としてモータースポーツ振興や、地元企業として二輪車の普及など、さまざまな思いを寄せています。
そして「磐田市スポーツのまち推進課」で、本プロジェクトを進めてきた髙𣘺信行さんは、「講師のお二人はご自身の経験・体験をもとにお話しされているので、言葉一つ一つに重みがあります。同時に実績を伴った本物の方々なので、子どもたちにとっては本物に触れる機会として、素晴らしい取り組みだと感じました。併せて彼らの人生や価値観などにも影響を与えることができる貴重な機会の一つになったと思います」とその感想を聞かせてくれました。
さらに、「磐田市は“スポーツのまち”として、市民にスポーツを幅広く定義づけして幅広く捉えてもらい、自分なりのスポーツで健康に生き、幸せになってもらえるように導いていきたいと考えています。そこで二輪車を使ったトライアルやモトクロスもまたスポーツであるということを、市民に伝えていくことも大切なことだなと思いました。特にヤマハ発動機、そしてモータースポーツは磐田市ならではの財産であり、市としてはもっともっと押して、存分に活用していくべきものだと感じていますし、今後モータースポーツを市内でどう発展させていくのかは、私たちの課題と捉え考えていきたと思います」と、力強く話してくれました。
さて、『ユメセン』は大きく2つのパートに分かれています。まずは「ゲームの時間」。夢先生が生徒たちと一緒に体を使ったゲームを通じて緊張した心をほぐし、良好な関係を構築するアイスブレークです。
黒山選手と富田さんは、写真のように各クラスのリーダー的な存在としてゲームを牽引する役割を担い、生徒との距離を縮めつつ、全員が同じ目標を持ってゲームのクリアを目指してチームの中に一体感を築いていきました。
2つ目のパートが「トークの時間」です。夢・目標を持つ前、そして夢・目標を持った瞬間、それを追い求める中で経験した世界と日本。成長のために実践してきたこと、挫折から這い上がるための術とそこで獲得したものなどを織り交ぜながら、生徒の皆さんにさまざまなメッセージを送り続けました。
「昨年、引退してからこの“夢先生”を紹介してもらいました。いろんなことにチャレンジしたいと考えていた時だったので、本当にいいチャンスをもらえたと思っています」と語ったのは富田さん。今回で2回目ですが、「サッカーや野球ではなく、モトクロスという競技とそれをやっていた自分を受け入れてくれ、まずは嬉しかったというのが感想です。同時に、子どもたちの将来に影響を与えるかもしれないので、緊張もあったし真剣勝負という気持ちで臨みました」と振り返った富田さん、続いてこの教室を通じて伝えたかったことを話してくれました。
「中2という年頃は、受験なども控えて悩みが多い時期だと聞いています。僕の経験から伝えたかったのは、“今は負けていても、努力すれば勝てる!”ということ。教室では“努力に勝るセンスはない”という言葉を使いましたが、現役の時に感じた努力は裏切らないということです。もう一つは、努力をした結果として成功した時には大きな喜びがあるので、小さなことでも、たくさんの成功体験を作っていってほしい」というメッセージを込めたそうです。
黒山選手も今回で2回目の『ユメセン』となりました。「中学2年生にもなると、今、何をすべきか? 将来は何をしたいのか? そのための環境は整っているのかなど、大人に近い考え方ができるようになっています。だから、自分が本当に何をしたいのかを考え、気づいてもらうきっかけであったり、自分のことをプランニングする一歩であったり、やるのであれば本気でやってほしいというメッセージを込めています。同時に、僕もたくさんの挫折や悩みがありましたが、それを乗り越えるために自分なりに導き出してきた術を伝えることで、後押し、応援ができればと思います」と力説してくれました。
「もう一つ大事なことが、好きなことにチャレンジして結果的に夢を叶えられたらそれが一番ですが、叶えられない人の方が多いのが現実です。その中で辛いこともたくさんありますが、そこばかりに目を向けるのではなく、自分の人生を楽しみ、ワクワク・ドキドキしながら強く生きてほしいということを常に考えながら話しています」と黒山選手。
そして冒頭のように、「とにかくいつまでも幸せに過ごせたらいいな」という言葉が授業を終えた生徒の口から伝えられました。二人の夢先生が込めたメッセージを生徒の皆さんは懸命に受け止め、自身の夢・目標について考え続けた結果、導き出された答えの一つがこのコメントにつながったのです。
さて黒山選手の『ユメセン』に参加した生徒からは、「その生き方をはじめ“カッコいい大人”だと思いました。お話の中では特に、“努力をしたからといって絶対に報われるわけではないけれど、努力をしなければ報われることもない”という言葉が印象に残りました。自分は小3から剣道はじめ今も剣道部に所属していますが、まだ思ったような結果を出せていません。黒山選手の言葉にもあったように、地道に努力し試合が近づいてきたらしっかり考えて“準備”をしていい結果を出したいと思いました。小6の時に将来の目標を自衛隊と書きましたが、今はこれといった目標はありません。それでも、目標が見つかった時には、黒山選手のように頑張っていきたいと思います」というコメントをいただきました。
そして担任の先生からは、「今回は、夢を持つことの大切さを伝えてもらいましたが、その中に“直感”や“ひらめき”を大切にしてほしいとい言葉がありました。今の世の中、自分で考えなくてもネットで調べればなんでも出てきて、その情報を頼って行動すればある程度は成立する状態です。情報も大切ですが、デジタルネイティブの子どもたちだからこそ、自分の感性や率直に思ったことを信じて行動することも大切なんだということが伝わればいいなと思いました。
また、私も教員となった頃は、こんな子どもを育てたいとか、こんな授業をしてみたいとか理想がありましたが、6年目になり少しずつ慣れきたところで、初心に戻り教員になりたての頃の情熱を取り戻したいというか、良い刺激になりました。
本校も職業体験をしたばかりで、実際の身近な職業を体験して視野を広げるという狙いがありましたが、今回は心を鍛える機会になったし、夢先生も丁寧にかつ情熱を持って話してくれて、夢・目標に向けての意欲が高まったと思います。本当にありがとうございました」
「スポーツのまち」磐田市との新たなコラボレーションになった今回の取り組みですが、夢先生を務めた黒山選手も富田さんもこの機会を楽しみながら、モータースポーツの普及につながることに期待を持っています。
黒山選手は、「僕自身は兵庫県に住んでいますが、そこから遠く離れた磐田の地でこうした機会を重ね、ここ最近、磐田滞在中に声をかけてもらえることも増えています。磐田にはヤマハ発動機があり、モータースポーツや二輪とは切っても切れない関係がある中で、自分がその繋ぎ役の一人として関われることがありがたいし、少しずつモータースポーツが広がっていくことを嬉しく思います」と話してくれました。当社も今後、磐田市との連携を続けながら、子どもたちを中心とする市民の皆さんの生活にモータースポーツが関わっていけるように活動していきます。