MFJカップ JP250選手権 久川鉄平選手が「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」を獲得し2025年から欧州に挑戦
レースに関連する広報発表資料をご覧いただけます。
2024年11月5日
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現在、全日本ロードレース選手権では、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行選手と岡本裕生選手という日本を代表するライダーが日本の二輪モータースポーツを牽引する形で参戦しています。このほか全日本のST1000では豊島怜選手や井手翔太選手、アジアロードレース選手権では南本宗一郎選手らが活躍しています。
こうした先輩ライダーに続いて、国内、アジア、そして世界を舞台に戦える日本人トップライダーを発掘するために、ヤマハ発動機は2023年から全日本ロードレース選手権に併催されるMFJカップ JP250選手権(以下JP250)で、「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」を開始しました。
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このスカラシップ制度は、ヤマハ車を使用して全日本選手権に参戦するクラブチームからJP250に出場する若手ライダーがエントリー。シーズンを通じての戦績や将来性などを鑑みて選抜したライダー1名を、当社のグループ会社「Yamaha Motor Europe N.V.」がオーガナイズし、スーパーバイク世界選手権に併催されている「Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cup(以下R3 World Cup)」に、1シーズンに渡って派遣するというものです。
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昨年は高橋匠選手がこの権利を獲得して欧州へと旅立ちました。シーズン中は、日本と欧州を行き来しながら6大会12レースを戦い、2位1回、3位1回と2度の表彰台を獲得してランキング6位。チャンピオンのみに与えられるスーパースポーツ世界選手権300へのサポート参戦権は獲得できませんでしたが、大きな成長と、次の成長のための必要な課題を確認してシーズンを終えています。
さて2024年は、bLU cRU AKENO SPEEDから岡田陽大選手と津田雄飛選手、bLU cRU ITO RACINGから奥貫翔選手、bLU cRU Team Baby Faceから片田泰志選手、bLU cRU Webike team Norickから久川鉄平選手と森山浬選手、bLU cRU GarageL8 Racing Teamから塚本龍選手が参戦。全員が10代の若手7名がエントリーしました。
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このスカラシップは、ただ戦績を比較するだけではなく、成長を支える機能もになっています。シーズン開幕前とシーズン中間で走行会を実施。ライダーを集め同時に走ることで互いを意識する状況を作りながら、JP250アドバイザーである前田恵助選手とJP250レーシングサービスの菅原陵が帯同し、技術面、データ面の両方からサポートして全体のレベルアップを図っているのです。
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こうした競争の中でシーズンをリードしたのは、昨年に続き2年連続でのエントリーとなった久川選手でした。「赤旗、ライバルの転倒などラッキーな勝利」と自身は振り返りますが、得意な東日本エリアという地の利を生かして、開幕3連勝で75ポイントを獲得し、2番手の森山選手に49ポイント差(※インター、ナショナルの総合順位でポイントを計算)という圧倒なリードを築いて前半戦を折り返しました。
久川選手は長いインターバルを経て再開した第4戦でも2位、さらに第5戦岡山国際でも3位と安定してポイントを積み上げ、ポイント面では逆転が不可能な大量リードで最終戦に臨みました。
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迎えた10月26日(土)、三重県の鈴鹿サーキットで開催された全日本ロードレース選手権の第56回MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿では、「ぐちゃぐちゃの混戦で勝ち切りたい!」という久川選手の狙い通り、bLU cRUのライバル岡田選手を含めた7台で欧州さながらの集団によるバトルを展開。毎周、順位を入れ替える中で、一時は7番手まで後退する場面もありましたが、「前に、前に、前に」と這い上がり最後は2位でフィニッシュ。インタークラスのシリーズチャンピオン獲得。同時に、3勝を含む全レースで表彰台を獲得する安定感と、チャレンジングな姿勢、レースへの情熱などを加味して、2025年R3 World Cupのスカラシップを決定しました。
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また、インタークラスでは岡田選手が後半戦3大会で2勝、2位1回の成績で九川選手にランキング2位。ナショナルクラスではJP250ルーキー森山選手が優勝1回、2位2回、3位2回という大きな成長を見せてチャンピオンを獲得。コンスタントに上位に入った片田選手がランキング3位、津田選手がランキング5位、塚本選手がランキング7位、奥貫選手は怪我による欠場が3戦あったもののランキング8位と、全員が成長を見せてました。
そして久川選手は、来シーズンに向けて準備を進めていきます。JP250の参戦時、「僕はまだスタートラインにも立ててない」と話していました。そして今は、「ようやく世界の入り口に立てた」と話した久川選手。世界トップを目指す若手が集結する「R3 World Cup」の中でどんなレースを見せてくれるのか? 今から楽しみでなす。
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久川哲平選手
「R3 World Cupを見据え、大集団の中で抜いて抜かれてのレースをしたいと思っていました。実際、それが最終戦でできたし、抜かれても抜き返す走りを続けることができました。特にスリップを使われて7番手に落ちた時は、“前、前、前へ”という意識でトップを取り戻すこともでき、欧州のような熱いレースができたので良かったです。同時にスカラシップを獲得し、来年につながったということでホッとしています。
実際はR3 World Cupでチャンピオンをとってから本当の勝負が始まると思いますが、まずは世界に向けたスタートラインに立てたと言えるかもしれません。今回の最終戦で岡田選手に負けてしまったように、最後に競った場面で勝てていないことを考えると、まだまだ弱いし、欧州で生き残るには実力不足です。R3 World Cupに向けては、まずしっかりと戦える肉体改造を行って、シーズンに入れば冷静沈着に、絶対にインを開けない走りで開幕戦から優勝を狙っていきます。
僕はレースが大好きなので、不安はありません。今はやっといけるという喜びと楽しみしかありません。日本代表という気持ちでがんばってきます!」
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