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全日本ロードレース後半戦に向け、27名が岡山国際でのbLU cRU走行会に参加

レースに関連する広報発表資料をご覧いただけます。

2024年8月22日

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 8月上旬、全日本ロードレース選手権の第7戦が行われる岡山国際サーキットで、毎年恒例となっている「bLU cRU走行会」を開催し、全日本ロードレース選手権のJSB1000、ST1000、ST600、さらには全日本に併催されるMFJカップ JP250選手権にフル参戦するライダー、総勢27名が参加しました。

 この走行会は、「bLU cRU」という名称がついている通り、若手ライダーの育成をメインテーマにしながら、様々な目的を持って実施しています。その一つが、9月28-29日に行われる「スーパーバイクレース in 岡山」において、ヤマハライダーたちのアドバンテージを築くことです。



 通常ライダーたちが決勝に向けた準備する時間は、事前テストとレースウィークの公式練習という限られた時間しかありません。そこに、全日本勢は2日間で240分、JP250勢は180分もの走行時間を確保することで、コース攻略、セッティング検討など、ライバルに対して一歩進んだ状態でウィークを迎えることができます。さらに、苦手なセクターを重点的に練習するライダーもいれば、ライディングスタイルの模索、バイクセッティングを大きく変更してみるなど、決勝を間近に控えた状況では難しいトライ&エラーを行うこともできるのです。



 また、ライダー同士で情報交換ができることも大きな特徴です。経験値や年齢、クラスなどが異なる多様なライダーが参加していることから、コース上ではラインやテックニックを教え合い、または盗み合い、パドックでは互いの走行やセッティングの方向性について意見交換を行うなど、縦と横が連携し、互いを刺激し合える環境があるのです。



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 中でもレーシングキットパーツ「GYTR」の開発ライダーを務める前田恵助選手が、潤滑油として各ライダーを回りつないでいく役割りを果たしています。時には走行中に得た情報をフィードバックするなど、コーチングスタッフとしても機能し、ヤマハチーム全体の底上げを図っているのです。



 この走行会では、ライダー視点の活動だけでなく、チームに視点を置いた活動も行っています。大排気量車については、電子制御を司るエンジニアの役割が年々大きくなっており、そのセッティングが順位を左右するようになってきました。ヤマハ発動機もYZF-R1やYZF-R6専用のソフトを開発して提供していますが、この開発を担当するレーシングサービスが、各チームのエンジニアとライダー向けの技術講習会を実施。現場でライダーを支えるチームスタッフのレベルアップも図っています。



 さらにJP250では、選抜した7名のライダーを対象に欧州の当社グループ会社が開催する「Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cupの参戦権をかけた、「YAMAHA YZF-R3スカラシップ」を開催しています。



 今回の走行会にはスカラシップにエントリーする6名が参加しており、専用走行枠を設けて、2日間で4セッションを走行しました。前述の前田選手がライディングアドバイザーを担当。あるセッションはともに走行し、あるセッションはコースサイドから観察。セッション終了後は、個別にミーティングを持って、ライン、ライディングなどの良し悪しを指摘して、レベルアップを図っています。



 さらには、JP250のレーシングサービスを担当する菅原陵が、各ライダーのライディングデータを管理し、データ面からチームとライダーにアドバイスを行うなど、幅広いサポートで次の世代を担うライダーたちの育成に努めています。



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 2日間ともに好天に恵まれた走行会、夏の日差しで気温、路温も高く厳しいコンディションとなりましたが、各クラス、各ライダーとも精力的に走行。JSB1000では芳賀涼大選手(NITRO WORK NAVI OGURA CLUTCH)が1分33秒537でトップ、全体でもトップタイムをマークしました。



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 ST1000はここまで好調の豊島怜選手(DOGFIGHT RACING JDS)が、一部JSB1000のライダーも上回る1分34秒276をマークしてトップで終了。



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 ST600は、ここまで開幕3連勝、クラス連覇に挑む阿部恵斗選手(SQUADRA TIGRE TAIRA PROMOTE)が、1分35秒639でトップ。



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 そしてJP250は、現在、ランキングトップに立っている久川鉄平選手(bLU cRU Webike team Norick)が、その実力通り、1分50秒088をマークしトップで終えました。



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 そして2日目、最後のセッションでは第7戦「スーパーバイクレース in 岡山」を頭に浮かべ、緊張感を持ってスタート練習を行い、走行会を締め括りました。全日本はこの後、8月24-25日の第6戦もてぎ2&4でJSB1000が再開。その他のクラスは9月7-8日第6戦オートポリスでリスタートを切ります。それぞれの目標達成に向けて全力を尽くすヤマハライダーたちに、引き続きご声援をお願いします。




DOGFIGHT RACING JDS
#7 豊島怜選手(ST1000/ランキング4位)


「自分もバイクの仕上がりも過去イチ。今年は勝負できる状態にあるシーズンです。開幕のもてぎは事前テストで背骨を3本骨折し、そこからの復帰で5位が精一杯。次のSUGOでは、レース後、岡本選手から“最後は攻めが最大の防御になる”と言われましたが、3位を守りたいとブロックラインを走っており、思いっきり攻めていれば抜かれなかったのではないかと思ったし、そうした戦略的な面で学ぶことがありました。
また、前回は2列目からのスタートで1周目の争いで前の2台が逃げてしまったこともありましたが、予選でしっかりとフロントローに並ぶことが課題になってくると感じています。
2日間で4時間、事前テストの前に走れるというのはなかなかないことなので、走り方も含め普段は試せないことができています。すべてがいい方向にいくわけではありませんが、その選別ができることがプラスになっているのです。今回は思った以上に体が使えていなかったので、体を大きく動かす走り方にトライして、疲れを低減するメリットも見えてきました。
SUGOでは不運もありましたが、自信もついたし悔しさもあって燃えています。まだST1000での表彰台はありませんが、優勝を目標に後半戦で大ブレイクできればと考えています」


AKENO SPEED・RC KOSHIEN
#31 井手翔太選手(ST1000/ランキング13位)


「ここまで8位とリタイアという結果からも分かる通り、思っていた以上に苦戦しています。特に開幕の8位は、調子が悪いというわけでもなくただ自分の限界であっただけで、こんなはずではなかったという悔しさが残りました。
今年からST1000にステップアップし、排気量が上がっただけでなくタイヤも変わったところで、まだ理解できていないことも多く、その違いに苦戦しており学習中。鈴鹿8耐などでR1には乗っていましたが、バイクのパワーと重さが変わり、それに伴ってブレーキングに苦労しています。600の頃から苦手意識はありましたが、今は300キロからのブレーキングとあって、それが顕著に表れています。
岡山はハードブレーキングコースなので、それを磨くには絶好の機会であり、ARRCで優勝した南本さんのセッティングなども参考に、ブレーキングを意識したセッティングを試すこともできて、ライバルに対してアドバンテージも築けると考えています。
後半戦、まずは得意なオートポリスなので、ここまでの悔しさをぶつけて最低限入賞、あわよくば表彰台に立ちたいと思いますし、この岡山でも表彰台を意識しています。またこの先、自分がどう成長できるかを楽しみにしています」




AKENO SPEED・MAVERICK
#6 伊達悠太(ST600/ランキング4位)


「開幕戦は追い上げての3位と内容も良かったのですが、SUGOでの2戦はテストからいい流れだった割に、レースでは結果が残らず、悔しく納得できないままに前半戦を終えました。特にSUGOはテストからさらなるアップデートを狙ってマシンを作っていたのですがそこで迷走してしまいました。元に戻すという判断もあったのですが、さらに変更を重ねてはまってしまった感じです。
今シーズンはここまで阿部選手が3連勝と、負けている状況ですが、彼はベストラップからほぼ落とさずにレースでも走行できており、ペースが速い。自分もそれが必要だと感じています。
そこで今回の走行会では、足回りはあまり変更せず、鈴鹿8耐で大事だと感じた制御を詰めていきました。その結果として走りやすい方向に進んでいます。
後半は、オートポリス、岡山、鈴鹿と得意なサーキットが続きます。600ではなかなか逃げるレースは難しいのですが、阿部選手はそれをやってのけたので、自分もハイペースで逃げて3連勝を目指します」




Nippon Pioneer GarageL8 RT
#8 菅原陸選手(ST600/ランキング6位)


「ペースの浮き沈み自体はなく安定はしていますが、一発のタイムがないことと、ライバルの後ろについても抜き切れずに順位を上げることができていない状況。マシンというよりかはメンタル面に課題を感じた前半戦でした。
今回は、マシン的には今までできなかったことを試している部分はありますが、僕自身が岡山を苦手としているので、その苦手意識の克服を目指し走り込みました。特にシケインを含むセクター1がかなり遅く、その原因を理解するところからはじめ、重点的に研究して自分なり解決策を見つけ出すことができました。
後半に向けては、鈴鹿8耐に出場して自分なりに強くなった感覚もあるので、最初のオートポリスからトップグループで勝負するのは当然として、表彰台をしっかりと獲得したいと考えています」




ITO RACING BORG CUSTOM
#12 松岡玲(ST600/ランキング8位)


「先シーズンは思うような走りができず、開幕先で本来の走りを取り戻そうと考えたていたのですが、もてぎはうまく噛み合わず10位。SUGOでは本来の調子を取り戻すことができて、トップグループにかろうじてからめている状況です。
この走行会では、特に足回りになりますが、微調整というよりも大幅な変更をし、いろんな面でどういった動きになるかを見てきました。実は今回とは違うバイクではありますが、走行会の前にも個人的に練習しており、そこでの収穫を反映しつつさらにレベルアップを進めています。
一方で、今までは自分にバイクを合わるやり方でしたが、それではコンディションなどによりバイクが最適ではなくなります。そこで今はコンディションに合わせたバイクにライダーが合わせていく方法をトライしています。
今回は直接ライバルとなるライダーと走れる機会でありライバルとの比較もできるし、会話の中で様々な情報も得られるため、非常にありがたい機会になりました。
後半戦ではまず、鬼門となるオートポリスで昨年を上回る順位でゴールして勢いをつけ、ここ地元岡山では表彰台を獲得できればと考えています」




ITO RACING SHOTA BORG CUSTOM
#9 中山耀介選手(ST600/ランキング11位)


「昨年の後半戦は7・7・6位で終わったので、この流れでいけば今年は入賞、表彰台を狙える感触がありました。でも、今年からサスのセッティングを大きく変更、SUGOの予選で2番手を獲れたのは自信にはなりましたが、決勝ではうまく機能せずアベレージがよくありません。これまで抜かれたことのないライダーに抜かれるなど、周りが速くなっているというよりも自分が遅くなった感覚でモチベーションも下がっていました。
そこで今回の走行会では、初日を今年のパッケージで走ってやはり機能している感じではなかったので、2日目は昨年と同じセットを試し、後半戦をどのセットで走るのかを判断しました。
そして後半戦ですが、オートポリスはいい印象がないのですが、まずはここで調子を取り戻し、ホームコースである岡山と鈴鹿で入賞・表彰台を獲得したいと考えています」




FujimotoDenki GBSracing
#31 田中啓介選手(ST600/ランキング16位)


「昨年、シーズンを終えてから600に乗り換えました。全日本は得意なもてぎが開幕戦で、フリーで4番手といい流れがあったので、その勢いのまま予選・決勝といきたかったのですが、調子が崩れて決勝は転倒リタイア。SUGOも予選は1分30秒台に入れましたが、決勝はアベレージが悪く、ライダーとしても調子を崩し、何をすべきかがわからないままウィークを終えてしまい、トップ10圏内を目指していたのですが、なかなか厳しい状況です。
岡山を600で走るは初めてとなりましたが、このテストではある程度走りやすいバイクを作り、そこから大きく動かすことなく、ライダー側で速く走らせるということにトライし手応えも掴んでいます。
後半の初戦オートポリスも600では初のサーキットとなりますが、上位陣についていかないとこれから先も戦えないので、テストからミスをなくし、決勝に向けて着実にバイクを作り混んでいきたいと思っています」

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