本文へ進みます

詳細本文

レースに関連する広報発表資料をご覧いただけます。

全日本モトクロス選手権 bLU cRU活動
目標達成に向け、ジェイ・ウィルソン選手とともに前半を振り返りプロセスを再構築

2024年6月26日

image

 2024年6月前半、全日本モトクロス選手権のIA2に参戦するサポートチームの若手ライダーを対象に、「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」のジェイ・ウィルソン選手とともに行う育成活動、bLU cRU講習会を開催しました。参加したのは、ランキング2位につける中島漱也選手(bLU cRU レーシングチーム鷹)を筆頭に、bLU cRU フライングドルフィンサイセイの浅井亮太選手と、昨年のIBOPENチャンピオンである住友睦巳選手、bLU cRU YSP浜松 with BABANASHOXの町田旺郷選手の4名です。

 さて、モトクロスライダー(アスリート)の実力を測る物差しには、筋力、持久力といった数値で測れるものもあれば、技術やメンタルといった数値で測れないものも存在します。そうした中でヤマハ発動機は今年、若手ライダーの育成にあたっての目標として、また成長の指標の一つとしてラップタイムに着目しました。



image

 「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」の原延男監督は、日本のトップ、あるいは海外に目を向ける若者たちにとって「ジェイ選手は、世界との実力差を測る確かな基準になります。今回は、そのジェイ選手とともに日本の若いライダーを育成する取り組みなので、以前とコンセプトは変わりません。彼らは個々に目標を持っていますが、年初のところでそれとは別に、ジェイ選手と自身のラップタイムを意識するよう伝えました」

 そこで今回は開幕から4大会を終え、ジェイ選手とともに後半戦に向けてもう一度、目標達成に向けた取り組みを再構築するための材料を揃える機会としました。なかでも重視したのが「Off Bike(バイクに乗っていない時)」の取り組みです。

ジェイ選手の生活の一端を実体験

image

 「Off Bikeをどのように過ごすのかは、ジェイ選手というお手本があるので、彼のルーティンを体験してもらうという趣旨でプログラムを組みました。彼は、YPJ-MT Pro(e-MTB)でのサイクリングなどで1日をスタートしているため、まずライダーたちにもYPJ-MT Proでのサイクリングを体験してもらいました(原監督)」



 早朝7時に集合し、ジェイ選手とともに早速YPJ-MT Proに跨った4名。ジェイ選手が実際に走っている約90分のコースにチャレンジして全員が完走。
 一汗かいたライダーたちは朝食として、ジェイ選手が監修したバナナ、牛乳、サンドイッチというメニューをペロリとたいらげ、続く座学に向かいました。



自身の身体を知り、身体からライディングを改善する

image

 この講習会では様々なメニューを組んでいますが、その一つが事前に専門機関にて身体能力などの測定を行っており、今回はその結果発表を実施。同時に専門のトレーナーを招いて個々の身体特性解説やジェイ選手との比較、さらに競技に影響を与える身体的な課題の明確化とその改善方法についての講義を実施しました。



image

 「何を課題に感じているかをヒアリングし、その内容と測定結果をリンクさせて課題を解決する方法を提案しました。皆さんに共通する課題の一つが、序盤のスプリント能力。ようするに爆発力というか、瞬間的な力発揮が苦手な選手が多い傾向にありました。 この競技は荒れた路面によって車体に大きなブレが生じますが、その瞬間にバイクを安定させる力を出すことができれば、減速する必要がなくなります。しかしそれができず補正が遅れ、結果としてスピードを落としている可能性があるようです。そこで下半身の筋力アップと力を素早く発揮する方法などをアドバイスしました」とトレーナーの中塚英弥さん。



 講義を終えたライダーたちも多くの収穫があったようで、中島選手は、「レース序盤のスプリント力に課題を感じていたのですが、身体測定した結果からその理由も見えてきたし、改善する方法を教えてもらいました。身体を変えることができれば、ライディングも変わってくる可能性が十分にあるのでしっかり取り組みます」

 怪我によりここまで欠場が続いている町田選手は、「視力自体はとてもいいのですが、目で認識したことに対して素早く動作に置き換えることができていませんでした。ショックでしたが、トレーニングをすれば向上するということなので、伸び代はあると感じています」と、それぞれが課題解決や成長に向けての重要なピースを獲得することができたようです。

目標に到達するためのプロセスを深く考える機会

image

 続いて、ジェイ選手による目標管理の講義です。これは、以前からライダーたちも取り組んできたことですが、原監督は「各ライダーは成長しています。でも現状、ランキングトップに立っているライダーはいません。実力がついてくるとメンタルの良し悪しにフォーカスしがちですが、本当にそれだけなのか常に疑うことは大切です。ここではもう一度、ジェイ選手にアドバイスもらいながら設定したゴールに向けしっかりとしたプロセスができているのか確認してもらい、不十分だと感じたならば、この先どうすべきかをもう一度考えてもらう機会としました」



 今回は初めて参加した住友選手は、「今年はランキングトップ10で終わることが目標ですが、国際A級ルーキーということで昨年と何もかもが違い苦戦しています。ここまでの結果を素直に受け止めて、もう一度、何が必要なのか、身体測定の結果やジェイ選手のアドバイスを合わせ、プロセスを軌道修正したい」

 浅井選手は、「ライディングはいいのに結果につながっていないのは、いろんなことの整理がついていないということなので、もっとしっかりプロセスを設定すべきだと反省しました。リセットしもう一度やるべきことを考え、自分の軸を作り直します」と、改めてゴールセッティングの大切さ学びました。

 講義では次々とジェイ選手に質問がありましたが、「ここに集まったのは知的でスマートなライダーばかり。ちゃんとプロセスを設定し、それを取り組めば必ず結果はついてきます。今回は、これまでをリセットし、シーズンを終えた時に自分がどうなっていたいかを改めて熟考し、それに向けたプロセスを考えてほしいという宿題を出しました」と、もう一度自分と向き合う機会を与えたのでした。

ラップタイムから新たな気づきを得る

 続いてのプログラムではアドバイザーを務める三原拓也さんがリモートで登場。過去4戦のラップタイムを分析し、そこから見えてきたことを伝えます。内容は、各ライダーとジェイ選手のラップタイムを比較と、IA2全体のラップタイムが物語る様々な傾向を洗い出し、レースにおける有効なデータを共有しました。



 中島選手は、「ジェイ選手と自分を比較・分析してもらい明確にその違いを把握できるとてもいい機会でした。また、ラップタイムのデータをもとに導き出された好成績への方程式も紹介してくれましたが、数字での裏付けがあるので信頼性が高いし、ウィークで何をすべきかがわかりました」

 住友選手は「明らかに劣っている部分がはっきりとわかったし、この違いを知ったことをベースにして練習していきたい」と話してくれましたが、感覚的のものではなく、データによって導き出された「傾向」を示すことで、ライダーたちにとっても納得感のある講義になったようです。

Off Bikeの活動、戦うための身体を作る

 1日の最後は、ジムトレーニングとジェイ選手のパートナーであるミスティーさんによるヨガの体験です。フィジカルの強化もゴールに向けてのプロセスの一つ。今回はジェイ選手が行っているトレーニングの一部を全員で体験しましたが、実際は身体測定からわかった課題とライディングの課題から、自分に必要なトレーニングに落とし込んでいくこととなります。



 たくさんの講義と、ハードなトレーニングで疲れた身体と頭、心をほぐすことも兼ねたヨガについては、多くが初めてで、「気持ちいいし、リラックスできます。身体だけでなく、メンタル的に楽になる感覚でした」と声を揃えました。



 一通りのメニューを終えて「トレーニングはジェイさんの強さの源でもあると思います。フォームひとつにしても意識していることが人とは違うし、それがライディングに生きてくるんだなと感じました。わからないことは、ジェイ選手に聞いてみたり、今日の学びを生かして自分のレベルを上げていきたい」と町田選手が感想を述べれば、浅井選手は「作り上げていくものとして、フィジカルにおいても軸、目的があるので、それを見定める必要があります。ただやるだけでなく、何のためにやるのか、何が必要かを考えて、今回教わったことなどをうまく当てはめてライディングの向上のために取り込んでいきます」と話してくれました。

後半戦に向けて

 シーズン前半の最後となる北海道大会を終えたライダーたちは…
「名阪からはシーズン後半戦ですが、全員がゼロからスタートするという意識を持ち、新しいシーズンが始まるという気持ちで走ってみようと思います(中島選手)」

 「当然、優勝したいですが、自分自身に集中してレースを全力で楽しみたい。特に名阪は、地元で自信のあるコースなので、自分のための大会だったと思えるレースにします(浅井選手)」

 「前半戦はかなり緊張してうまくいきませんでしたが、目標のトップ10に入り、そしてシングルフィニッシュを定着できるよう着実に一歩ずつ上がっていきたい(住友選手)」

 「怪我のため長くレースに出場できていなかったので、自分をコントロールしつつ、ライバルから劣っている部分を引き上げていきながら、少しずつ上を目指します(町田選手)」



image

 「彼らはどんどん成長していますが、ライダーとしてだけでなく人としても成長しています。彼らがトップを目指し取り組むすべてが、自身の未来を輝かしいものにしているので、自分を信じて突き進んでほしい」とジェイ選手。これからもヤマハ発動機は、ジェイ選手とともに大きな可能性を秘めた彼らの成長を支えていきます。後半でのライダーたちの活躍に、ぜひご期待ください。

ページ
先頭へ