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MFJカップ JP250選手権
欧州の「Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cup」を目指す中高生7名がbLU cRU走行会に参加
2024年4月11日
2024年3月22日、昨年のMFJカップ JP250選手権(以下JP250)で、「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」を獲得した#16高橋匠選手が、2025年「FIM Supersport 300 World Championship(以下WSSP300)」のシートをかけて世界中のヤマハヤングライダーがしのぎを削る「Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cup(以下World Cup)」の初戦カタルニアラウンドに出場しました。
レース2はクラッシュによりリタイアとなりましたが、レース1はトップから0.094差の6位を獲得しその可能性を示したのです。
この「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」は2023年、世界を舞台に戦える日本人トップライダーの発掘を目指し、世界への扉を開く第一歩となるWorld Cupの参戦権をかけスタートしたプロジェクト。1年目は6名がエントリーし、スカラシップを獲得したのが前述の高橋選手でした。
高橋選手は次にWorld CupでWSSP300への参戦権を獲得し、さらにその先にあるスーパースポーツ・スーパーバイク世界選手権、Moto2、MotoGPといった世界の大舞台を目指し、自らの力で道を切り開いていくことになります。
さて、スカラシップ2年目となる今年は、全日本にヤマハ車で参戦するクラブチーム、bLU cRU AKENO SPEEDの岡田陽大選手と津田雄飛選手、bLU cRU ITO RACINGの奥貫翔選手、bLU cRU Team Baby Faceの片田泰志選手、bLU cRU Webike team Norickの久川鉄平選手、bLU cRU GarageL8 Racing Teamの塚本龍選手、bLU cRU Webike team Norickの森山浬選手という、中・高校生の若手7名がエントリーしました。
シリーズは4月13日(土)、モビリティリゾートもてぎでの全日本ロードレース選手権第2戦で開幕を迎えますが、この開幕戦に先立ち、7名が近畿スポーツランド(京都府)に参集。「YZF-R3」を2日間に渡って徹底的に乗り込む「bLU cRU走行会」を実施しました。決して互いの実力を図る機会ではありませんが、それぞれがライバルとして意識し、刺激を与え合いながら過ごした2日間となったようです。
全日本選手権で活躍し、本スカラシップのアドバイザーを務め、参戦マシンのベースセッティングを作っている前田恵助選手は、「準備期間も少ない中でR3に慣れ、その特性をどれだけ理解し吸収できるかをポイントに走り込んでもらいました」と走行会の意図を説明。
バイクは前田選手がベースセッティングを作っていますが、「R25と比較してポテンシャルはとても高く、特に開けはじめのトルク感がすごいので、曲がって立ち上がっていく時にどれだけそれを有効に使えるかなどを意識できているかがポイント」。近畿スポーツランドの経験値が異なることからタイムにはばらつきがありましたが、それぞれ着実にタイムを短縮していき、その成果が現れていました。
この姿をうれしそうに眺めていた前田選手は、JP250が2年目というライダーが数名おり、シーズン序盤は彼らに多少のアンドバンテージがあること、ミニバイクからステップアップ組は遅れをとる可能性があると前置きしつつ、「基本は横並びの状態だし、皆に不安要素があるのは確かです。でもみんな若いんで、その不安要素を払拭していく力もあるし、突然に成長する場合もあるので、最後の最後まで誰がトップに立つかはわかりません。だからこそ面白いし、理想は岡山やオートポリスでみんなが集団でトップ争いをしていることなので、僕はそうなるようがんばって支えていきます」
なかには「今年が最後の挑戦!」など、大きな覚悟を持って参戦しているライダーがいますが、全員が夢を実現するため、全身全霊でチャンスを掴み取ろうとしています。最終戦の鈴鹿ラウンドで、欧州への切符を手にするのは一体どのライダーなのか? 熱い熱いJP250にぜひ、ご注目ください。
参加ライダーのコメント(五十音順)
岡田陽大選手談(bLU cRU AKENO SPEED)
「いろいろな道を探していたのですが、走る場所を見つけることができなかったところで、AKENOさんから声をかけてもらいました。最後の挑戦として、“これ(JP250)で勝てなかったらもう本当にやめよう”って。今16歳なんで、来年も走れるみたいですけど、2年も使っているようでは世界で通用しないと、家族とも話して、もう1年続けることに決めました。
R3については、もてロー(もてぎロードレース選手権)を走って、予選で走らせ方がわかってきて、決勝ではR3のトップに続くこともできたのでフィーリングは良くなっていますし、GP3のレーサーで培ってきた自信もあるので、ライバルたちには負けられないという気持ちです。シーズンについては、昨年、一昨年と4戦中2戦しか完走できていません。転倒やマシントラブル、さらには他車との接触転倒などさまざまあったので、リスク管理をしっかりして、安定感を第一に戦いスカラシップを勝ち取ります」
奥貫翔選手談(bLU cRU ITO RACING)
「知り合いからITO RACINGさんがライダーを探しているということを聞いていたので、その知り合いから声をかけてもらい、チームへの加入が決定しました。また、ヤマハは現在、育成に力を入れていますが、世界を見据えた活動になっていることも、このスカラシップに応募した理由です。
将来はMotoGPでチャンピオンを獲ることですが、今年はまず、スカラシップを獲得して欧州にいくことが目標になります。昨年は、参戦していたレースで、転倒・ノーポイントの痛さを経験しているので、確実にポイントを積み重ねていけるようなシーズンを送りたいですが、ライバルの顔ぶれを見ると、厳しい戦いになることは覚悟しています」
片田泰志選手談(bLU cRU Team Baby Face)
「今年から縁があってBaby Faceさんに加入することになり、勝てば上に上がっていけるということなので選考基準が明確だったこともあり、スカラシップを目指しJP250に参戦することとなりました。R3には、もてぎロードレースで初めて乗って、トラブルがあり成績こそよくありませんでしたが、バイクには慣れてきました。
今年は、スカラシップ2年目のライダーもいますが、経験もあるし頭を使いながらの走りで、強敵だなと思いました。僕自身はJP250がはじめてであること、また中学2年生ということで経験も浅いので無理に順位を追うのではなく、1戦1戦確実にポイントを取りながら、経験を積んで、2025年にスカラシップを獲得するための準備のシーズンとして位置付けています。
今後は、Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cupにいってスーパースポーツ300に行き、そこで成績を出して、ヤマハのMoto2チームからMotoGPのファクトリーチームに加入して、MotoGPでチャンピオンを獲ることが目標です」
久川鉄平選手談(bLU cRU Webike team Norick)
「JP250は2年目になりますが、昨年は怪我と転倒があり2戦ノーポイント。まともに走れたのが3戦でした。しかも、前半戦は前を走らないといけないという焦りがあり、バイクを楽しめていませんでした。後半のオートポリスからは、走ることを楽しむようにして、タイムも上がり勝負でも冷静に考えることができていました。
今シーズン、転倒はなし、楽しむ心を大切にし、冷静ながらも開幕からトップ3につけて、ヨーロッパ並みのガツガツしたレースをしていきたいと思います。そして今年は負けたら終わり、bLU cRUで一番が絶対条件。国際でのチャンピオンを狙いつつ、bLU cRUで一番になるのが目標です。さらに、一年でYamaha R3 bLU cRU FIM World Cupを卒業できるくらいの速さをつけて欧州にいきたいと思っています。
MotoGPのチャンピオンというのはみんなの目標ですが、僕はスーパーバイクが大好きなので、そこで勝っていきたいですね。レーサーではなくストックマシンでライダーが出し切って勝ちたいです」
塚本龍選手談(bLU cRU GarageL8 Racing Team)
「昨年、フル参戦したのはSUGOロードレース選手権でしたが、さらなるステップアップするために、チームの監督からJP250を勧められ出場しました。前半のSUGOと筑波に出場、何もかも準備できていなかったので、苦戦はしましたが、今年に向けた準備として着実に前に進んでいる感触はありました。今年は、新しいバイクになり、最初はうまく乗れなかったのですが、やっと形になってきたという感じです。
今年は、一年を通して怪我なく、開幕から最終戦まで安定した結果を残すこと。そして何よりも、身体も大きくなってきたので、さらにステップアップするためにも、bLU cRUの中での一番を狙っていきたいと思います。ライバルは、知っているライダーばかりでみんな速いですけど、勝てないこともないと思うので、自分がやることをしっかりやっていきたいと思いますし、World Cup(Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cup)に出場し、一歩ずつ世界の頂点に向けて上がっていきたと思います」
津田雄飛選手談(bLU cRU AKENO SPEED)
「今年は2年目の挑戦になります。今年もライバルを見るとチームメイトの岡田選手をはじめ、みんな速いので、簡単ではないことはわかっています。それでも、バイクは昨年よりもいい状態ですし、1年目のライダーには負けないように、2年目のライダーとはしっかり戦っていきながら、JP250でトップ争いをしていけると考えています。将来は、Moto2、MotoGPなど、世界に通用するライダーのなることが目標なので、それに向けて、今年はJP250で表彰台に立って、優勝もして、最終的には自分がスカラシップでヨーロッパにいきたいと思います」
森山浬選手談(bLU cRU Webike team Norick)
「昨年までは桶川(スポーツランド)をミニバイクで走っていました。今年、中3なのでバイクは少し乗る程度にして受験に集中しようと思っていたのですが、team Norickさんに声をかけてもらい、親も後押ししてくれ、JP250にステップアップしました。これからもどんどん上を目指しますが、目標はプロライダーになること。MotoGPだけでなく、スーパーバイクも目標ですが、その第一歩がJP250です。
今シーズンは、最終的には勝ちたいですが、今はまだ上位に絡むこともできていません。シーズン序盤では、スタートから上位陣についていけるようにして、中盤以降では表彰台に立てるようになりたいと考えています。だから今年は次につなげるための準備期間です。またライバルのみんなは、僕にとってはお手本のような存在なので、後ろにくらいついてたくさんのことを得られると思うので、積極的に絡んでいきたいと考えています」
レーシングサービス
(左から)大石博昭:レーシングサービス、前田恵助:JP250ライディングアドバイザー、真鍋秀司:レーシングサービス、菅原陵:JP250レーシングサービス