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「ダグ・デュバックのトレーニング」を今年も開催 ヤマハモトクロスの将来を担う若手ライダーたちが参加

2017年8月25日

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多角的な人材育成のひとつ「アメリカの視点」

7月27-28日、宮城県スポーツランドSUGOの国際モトクロスコースにおいて「ダグトレ」が開催された。「ダグ・デュバックのトレーニング」が初めて行われたのは2015年。今年で3回目になる。ヤマハの若手モトクロスライダーを対象にした合宿だ。



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ヤマハは今年、若手ライダーの育成をさらに加速するため、充実したトレーニングメニューを用意し、ライディングとメンタル、両方のレベルアップを図る取り組みを行ってきた。メンタル面では、レース本番の緊張状態でもしっかりと実力を発揮するための考え方を学ぶために、プロの講師によるメンタルトレーニングを取り入れ、普段の環境では経験できない機会、そして知識を提供している。

一方、技術面では、若手アドバイザーとして元YAMAHA FACTORY RACING TEAMのライダーであった三原拓也を起用。ベテランの増田智義も含め、シーズンを戦うライダーたちをレースウィークだけでなく、指導つきの走行会を定期的に実施するなど、レースの内外でサポートしている。

「ダグトレ」はその技術的な側面をより一層強化するメニューだ。AMAスーパークロスやモトクロスにおいて、ヤマハのファクトリーライダーとして活躍しただけでなく、アメリカでもライディングスクールを開催している彼ならではの視点から若手ライダーたちにアドバイスするものであり、その効果が顕著であることから「ダグ・デュバックさんのトレーニング」ではなく、「ダグトレ」と親しまれるようになった。そのアドバイスは具体的な技術だけではなく、頂点を目指すライダーたちの気持ちに響くものだからだ。

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自信を持って走るために必要な「技術」

参加したヤマハの若手ライダーたちは、全日本のIA2、IB、レディースクラスにおいて、すでに活躍している。しかし、トップライダーとして名を連ね、頂点を極めるためには、さらなるステップアップが必要なのも事実。2日間の合宿において、「そのために何をすればいいのか」をダグが教え続けた。

「多くのライダーは、“自分が正しいのか、それとも間違っているのか…?”と、常に迷っている。そこでまず必要になるのが自信だ。その自信を与えてあげるのが、ボクの第一の仕事だと思っている。“自分は間違っていない”と思うことができれば、さらに速くなるには何が必要かを、冷静に判断することができる。これは世界のトップライダーでも、常に試行錯誤している。そこで冷静に工夫できる人だけが、頂点に立てる」とダグ。



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もちろん、ダグの指導は精神的なものだけではない。はじめは「攻めすぎるな」というキーワードを繰り返す。例えばコーナーでは速く走ろうとするあまり、オーバースピードで進入してしまい、その帳尻を合わせることばかりに気を取られてしまうことが多いからだ。まず何より、自分が冷静に走ることができるスピードでコーナリングする。そのうえで、さらに速く走るためには具体的に何が必要かを考える。

そこで個々のライダーに向けたアドバイスを用意しているのが「ダグトレ」の真骨頂だ。ひとりひとりの個性を見極めたダグが、具体的な指摘を始めていく。「コーナーの中間で車体を寝かせすぎだ」「着座位置をもう少し前にした方がいい」「車体を起こすタイミングをもう少し早めたほうがいい」。多くのライダーを一度に指導するのは非常に難しいのだが、ダグは前回までの内容を覚えているだけでなく、今シーズンにおける参加者たちのラップタイムなど、資料を熟読したうえで何を伝えるべきか考えている。



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そこまで緻密な指導を行っているからこそ、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの平田優と渡辺祐介も今回、ゲストではなく、「一生徒」として参加した。トップを走り続けるためには、常に努力が必要。ヒントを手に入れて、さらに速くなりたい。そのヒントが「ダグトレ」で得られると分かっているから、休む間も惜しんでダグの言葉に耳を傾ける。

合宿の最後には、2周のタイムアタックが数回繰り返された。ライダーたちは2日間で明らかな進歩を遂げているが、ダグから教わったことを本当に身につけるには、普段から練習を積み重ねる必要がある。でもそれが確実に実力となり、自信となる。



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ダグからのメッセージ

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「レベルの高いライダーたちが集まっているだけに、そこからさらに速く、強いライダーになるための力をつけるのは非常に難しいが、それがボクの仕事であるのは十分に承知しているし、彼らからも“そのためにこの合宿へきた”という気持ちを強く感じる。だからこそ、指導に力も入るのだが、もともと若いライダーに教えることは、本当に楽しい。ボクは現役時代、格別な才能を備えたライダーたちに囲まれ、“自分はダメだ……”と何度も思ったが、それを克服するためにメンタル面を含め、さまざまな勉強と、練習を重ねた。その積み重ねを続ければ、誰でもトップライダーになれる可能性があるのだ。そこで大事なのは“バイクを走らせていて気持ちいい、楽しい!”と思えること。バイクが好きで、レースが好きな人間なら、誰もが感じたことがある気持ちだよね。それを絶対に忘れずに日々の練習に励み、繊細な技術を身につけていくことが、速く強くなる本質だと思う」

プロフィール
ダグ・デュバック
国籍:アメリカ(カリフォルニア)
生年月日:1963年6月30日(54歳)

AMAスーパークロスやモトクロスでヤマハのファクトリーライダーを務め、1度の優勝を含む6度の表彰台を獲得した。その後もレースを続け、ベテランズ・モトクロスでは25回の優勝を誇る。現在もヤマハのテストライダーを務めるなど、豊富な経験を生かした指導には定評がある。日本人ライダーの指導では、2015年から渡辺祐介の指導を行い、IA2トップライダーへと導いた。





「ダグトレ」を終えて

IA2

フライングドルフィン サイセイ
浅井亮太選手(17歳)

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「前回までにダグさんに教えていただいたことを実践することで“自分の走りは変わっている”という実感があり、全日本でのより具体的な目標を立てられるようにもなってきたのですが、まだまだ足りないことがあるのも分かっています。そこでダグさんから新しいヒントを得られるのが本当にありがたいです。出来ているつもりだったことも、“もう少しこうしたほうがいい”など、さらに修正する必要があることもわかりました」



TEAM エム FACTORY
鳥谷部晃太選手(19歳)

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「自分はレースを冷静に進めていくタイプだと思っているのですが、それでも本番になると自分を抑えきれず、焦りも出てしまう。これは普段の練習でスキルを上げ、さらに冷静になれるようにするしかありませんが、ダグトレではそのスキルを上げるための発見が、毎回必ずあります。今回も、自分がやってしまいがちなクセを指摘されました。本番でそのクセが出ないようにするには、やっぱり普段、練習を積み重ねるしかありません」



TEAM エム:FACTORY
笠原氷河選手(19歳)

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「参加するたびに感じるのが、ダグさんがひとりひとりをしっかり見てくれている、ということ。ひとつのコーナーでも、入り口から中間、出口と、それぞれの走り方を細かく観察したうえで、具体的なアドバイスをくれます。しかも毎年、必ず新しいヒントをくれます。ときには自分が正しいと思ってやっていた方法とは逆のことだったりするのでビックリすることもあるのですが、実際に試してみると効果があり、納得できます」



レーシングチーム鷹
西垣魁星選手(19歳)

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「自分では頑張っているつもりなのですが、まだわかないことがたくさんあります。そこでダグトレに参加して教えていただいたとき、新しい具体的な発見だけでなく、“そういう考え方をしてもいいのか!”と、思うこともあります。得られるものは大きいですね。今回は“いいときもあるし、悪いときもある”と言われました。“無理しないで、いいことをずっと続けなさい”と。あくまでもライダー目線なのが、心にしみます」



レーシングチーム鷹
町田旺郷選手(18歳)

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「ダグさんの教えは、自分が身につけてきたライディング、いいと思って続けてきた練習方法とはまったく異なることもあり、本当に新鮮です。同時に、自分たちをよく見てくれていて、いいところはほめてくれます。自信になりますよね。一方で、例えばブレーキレバーの触り方、それだけでマシンの動きのバランスが変わってしまうような、繊細な領域で重要なアドバイスをくれるのです。その領域で、僕たちはスキルを上げなければいけない」



IB

Y'sレーシング with Twister
佐々木麗選手(18歳)

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「シーズン前半戦でIBのランキングトップに立つことができたのは、これまでダグさんが教えてくださったことを忘れずに、考えながら練習した成果を生かせているのかな、とは思っています。でも自分としては現在の成績に満足することはできず、まず何より、勝ちたい。序盤でトップに立って主導権を握る、という展開に持っていきたいです。ダグさんに新しいヒントをもらい、それを身につけることでさらに成長するつもりです」



チームピットイン
渡辺陵選手(16歳)

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「コーナーをどれだけスムーズに曲がれるか。そのためのブレーキの使い方や体勢のつくりかたなど、毎回細かな指導をしていただき、たくさんのことを学んでいます。ダグさんはコースの隅々まで足を運んでくれ、普段、なかなか見てもらえないようなセクションでもアドバイスをもらえますし、それがヒントになって、平田選手をはじめとする全日本ライダーの走りも、見方が変わってきます。どんどん吸収して、自分の走りに活かしたい」



レーシングチーム鷹
瓜生大喜選手(17歳)

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「去年、初めて参加したときに教えていただいたことを意識して練習してきたので、成長しているとは思っていますが、まだまだ足りない部分があるので、今回は積極的に質問するよう心がけました。英語は話せませんが、ダグさんの言葉は分かりやすく、大事なフレーズは心に刻まれます。新しく覚えたことを普段の練習で身につけながら、IAのトップライダーになる、という目標に向かって結果を残せるようにがんばります」


レディース

名阪レーシング
安原さや選手

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「自分たちが分からない領域でヒントをいただける貴重なチャンス。教えていただいたことを身につけるのに時間がかかることもありますが、意識して練習を重ねることで、確実に進歩することができます。ダグさんは私たちそれぞれの走りを覚えてくださっているので、自分がやってきたことが正しいのか、間違っていたのかを確認することもできます。事前に提出した質問にも答えを用意して、先に教えてくださったことには驚きました」

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