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全日本モトクロス選手権参戦ライダー 田中教世インタビュー
チャンピオン獲得に向け
「諦めの悪い男」が挑む30年、20回目のシーズン
全日本モトクロス選手権に参戦する田中教世選手は今シーズン、モトクロスを始めて30年、国内最高峰のIAクラス(国際A級)参戦20年を迎えました。これだけでもすごい記録ですが、田中選手の偉業は、30年間モトクロスを続けてきただけでなく、世代交代もあれば怪我などによる引退もある厳しいプロスポーツの世界で20年もの間トップライダーとしての地位を守り続けてきたことです。
「国際A級での20年はもちろん、30年というのはあっという間だったとも、長かったとも思えますが、残っているのは苦しいことばかり。それなのになぜここまでモトクロスを続けてきたのか? 自分でもあまり考えたことはありませんが、やっぱりそれぞれの年代で自分なりの目標があり、その達成を目指して一心に突き進んできたからだと思います」
田中選手は15歳で最高峰クラスに昇格、18歳でファクトリーライダーの座を勝ち取りました。20代に入ると国内チャンピオンを意識するとともに、AMA選手権(アメリカ)など世界にも目を向けるようになったと言います。しかし、先の言葉にもあったように現在まですべてが順調だったわけではありません。とりわけ2006年からの6年間、ファクトリーライダーから一転、プライベーターとして参戦した日々は辛く、厳しいものだったと言います。
「当時はチャンピオン獲得が一番の目標だったのですが、自分でチームを立ち上げ運営しながら戦ったあの日々は本当に辛いものでした。正直、もうだめかなと思うことが何度もありました。その一方で“まだやれる!” “チャンピオンになれる!”という自信もあったので、このままでは終われないと必死で努力してきました」と当時を振り返ります。その努力の結果、2010年にランキング2位、2011年はランキング5位とファクトリーライダーを上回る成績を残し、昨年ついに「YAMAHA YSP Racing Team」のシートをその手中に収めたのです。
ところが、ヤマハでの1年目となった昨シーズンは第2戦からの度重なる怪我により思うようなシーズンを送ることができませんでした。そのため今年にかける思いはさらに強いと田中選手は言います。
「僕はトップライダーでありたいと思ってここまでやってきたわけではなく、チャンピオンになるためにやってきました。プライベーターから這い上がってきたことに満足することなく、今年はこれまでの19年間で積もり積もったチャンピオンへの思いを爆発させたい。それにこの先、年齢を重ねれば重ねるほどチャンピオン獲得の可能性は少なくなるでしょう。実際、肉体的にも精神的にも、自分には時間があまり残されていないという思いがあるので… だから今シーズンは20年の集大成というだけでなく“ラストチャンス”という覚悟でレースに臨んでいます」
その田中選手の持ち味は「レースを最後まで戦い抜くしぶとい走り」と、それを実現する「体力」にあります。「実際はスタートから先行して逃げ切るレースをしたいのですが、そう簡単にはいきません。だからこそ、どんな状況になっても最後まで諦めずに戦い続けることができる自分を作ってきたのです。結局はどんなことに対しても諦めの悪い男なんです。実際、これまでの19年間、一度もチャンピオンを諦めなかった。いや諦めきれなかったわけですから」
そして2013年4月7日、国際A級20回目となるシーズンの幕開けとなった九州大会では、第2ヒートで昨年の開幕戦以来となる2位表彰台を獲得して「復活」を高らかに宣言しました。「諦めの悪い男」があえて口にした「ラストチャンス」という言葉通り、田中選手の逆襲がいよいよ始まります。
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