MotoGP世界選手権 ジャック・ミラー選手が2026年もPrima Pramac Yamaha MotoGPから参戦
ヤマハ発動機のレースに関する広報発表資料をご紹介します。
2025年9月5日

ヤマハ発動機株式会社は、当社MotoGPオフィシャルライダーとしてジャック・ミラー選手と2026年シーズンの契約を更新しました。これにより、「Prima Pramac Yamaha MotoGP」の来シーズンのラインアップが決定。ミラー選手と、スーパーバイク世界選手権(WorldSBK)で2回のチャンピオンを獲得しているトプラック・ラズガットリオグル選手という布陣で参戦します。
今年、2018-2020年シーズンに続き、Pramac Racingに復帰したミラー選手は、ヤマハライダーとしてのデビューイヤーで「YZR-M1」の開発に貢献しながら、アメリカズGPで5位などの成績を収めています。サマーブレイク中には、当社のファクトリーチームである「YAMAHA RACING TEAM」から、鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会に出場して2位獲得に大きく貢献しました。
今回の契約締結により「Prima Pramac Yamaha MotoGP」は来季のラインアップを確定。ミラー選手は、WorldSBKで2回のチャンピオンを経験し、現在もWorldSBKでランキングトップにつけるラズガットリオグル選手と2026年シーズンを戦うことになります。
これに伴い、ミゲール・オリベイラ選手が「Prima Pramac Yamaha MotoGP」を離れることになります。オリベイラ選手はアルゼンチンGPでの負傷により4大会を欠場しましたが、「Prima Pramac Yamaha MotoGP」の重要なデビューイヤーに、その一員として高いプロ意識と強いチャレンジスピリットを発揮し「YZR-M1」の開発に精力的に取り組んでくれました。当社はオリベイラ選手の貢献に心から感謝し、今後の挑戦における幸運と成功を祈ります。
ジャック・ミラー選手(Prima Pramac Yamaha MotoGPライダー)
「ヤマハ、Prima Pramac Yamaha MotoGPに留まることができて本当に嬉しく、ワクワクしています。今年はPramac Racingに復帰することができました。これからもヤマハとバイクの開発に尽力し、ライバルとの差を縮めていくことを楽しみにしています。ベストを迎えるのはまだこれからだと信じています。そして何よりも、ヤマハ、Pramac Racing、そして私のプロジェクトへの貢献を常に信頼してくれる二人のパオロ、パヴェジオとカンピノーティに心から感謝します」
パオロ・パヴェジオ(Yamaha Motor Racingマネージング・ディレクター)
「ジャックがPrima Pramac Yamaha MotoGPで活動を継続することを正式に発表できることを嬉しく思います。ジャックは、大きなエネルギー、豊富な経験、そしてさまざまなマシンへの適応力を持っているライダーで、即座に私たちのプロジェクトにフィットし、チームにとってかけがえのない存在となりました。急速な進化と革新が必要な今シーズン、ジャックの前向きな姿勢、積極的な思考、常にチームを鼓舞する存在感は、ヤマハとPramac Racingにとって大きな推進力です。さらにこの1年間で積み上げた経験は、2026年シーズンに向けて大きな強みになるでしょう。
同時に、この発表には複雑な感情が伴います。ミゲールがチームを去ることを意味するからです。残念ながら、アルゼンチンGPでの負傷が彼のシーズンに影響を及ぼしましたが、復帰への強い意志、プロジェクトへの献身、そしてプロ意識は模範的なものでした。私たちは残りのレースをともに戦うことを楽しみにしており、シーズン終了まで彼を全力でサポートします」
パオロ・カンピノーティ(Prima Pramac Yamaha MotoGPチーム代表)
「私がジャックに深い愛情を抱いていることは周知の事実です。彼はPramac Racingでキャリアの重要な段階を過ごしたライダーであり、今シーズンの復帰はチーム全員に大きな喜びをもたらしました。人間的な側面を超えて、ジャックの貢献はYZR-M1の開発においてヤマハを支える上で極めて重要でした。そんなジャックが2026年シーズン、Prima Pramac Yamaha MotoGPのライダーに決定したことは、重要かつ貴重なことです。チーム運営には時に困難な決断が伴います。この点において、ミゲールがチームに溶け込み、この数ヵ月間示してくれた献身とプロ意識を心から感謝します。彼とともに過ごせたことは喜びであり、優れたプロフェッショナルであると同時に素晴らしい人間性を備えていることを知ることができました」
ジーノ・ボルソイ(Prima Pramac Yamaha MotoGPチーム・マネジャー)
「ジャックが来季も私たちとともに戦ってくれることを大変嬉しく思います。数ヵ月にわたる共同作業を通じ、私たちは互いをより深く理解し、彼の必要とするものを把握しました。今後もさらなる進歩を遂げられると確信しています。2年間はすべての歯車を噛み合わせるのに最適な期間であり、私たちはすでに2026年に向けたベストな準備を進めています。同時に、ミゲールがシーズンを通して成し遂げた素晴らしい仕事に感謝します。シーズン序盤の負傷により、彼の持つ卓越した才能を発揮する機会が奪われてしまったのは心から残念に思います。しかし、私たちが継続している開発作業により、シーズン終盤では彼の真の価値を反映した結果を残してくれることを願っています」
ご参考
ミラー選手はダート・レーシングからキャリアをスタートし、2009年にロードレースに転向。IDM125(Internationale Deutsche Motorradmeisterschaft)でチャンピオンを獲得したあとロードレース世界選手権のGP125にデビューし、フル参戦を開始しました。2013年には「Racing Team Germany」からMoto3に出場しトップ争いの常連として注目を集め、翌2014年は「Red Bull KTM Ajo」から出場してチャンピオン争いを繰り広げ、最終戦でアレックス・マルケス選手に僅差で敗れランキング2位。そして2015年には「LCR Honda team」に移籍し、Moto3から直接、MotoGPにステップアップしました。
ルーキー・シーズンこそ苦戦したものの、2016年に「Marc VDS Honda」に移籍。シーズン開幕時に足を骨折していたにもかかわらず、激しい雨の中で行われたオランダGPで初優勝するなど何度もトップ10に入る活躍が評価され、2017年も同チームで契約を継続。ここでもまた印象的な走りで注目を集めたミラー選手は2018年にPramac Racingに移籍し、マシンをホンダからドゥカティに乗り替えました。
この年、ミラー選手はアルゼンチンGPでポールポジションを獲得するなど素晴らしいシーズンを経験して成長し、より一層競争力を高め、同チーム2年目の2019年は表彰台を5回獲得、3年目の2020年も4回獲得と安定した強さを見せ、翌2021年にはファクトリーチームへの移籍を果たしました。
ドゥカティ・ファクトリーとしての1年目は、優勝2回を含め表彰台を計5回獲得し、ランキング4位と過去最高のシーズンを送りました。2022年は日本GPで優勝を果たしたほか、7回の表彰台獲得という活躍を見せ、チームメイトのF・バニャイア選手の初タイトル獲得を後押ししながら、自身も合計189ポイントを手中にして、ランキング5位という好成績を残したのです。
ドゥカティで5シーズンを過ごしたミラー選手は、2023年にKTMへ移籍。同年はスペインGPでスプリントと決勝の両レースでいずれも3位表彰台、ドイツGPでもスプリントで3位という活躍を見せたものの、ランキングは11位に後退。続く2024年はランキング14位にとどまりました。
そして、「故郷の空気に勝るものはない」という言葉通り、ミラー選手は今シーズン、パオロ・カンピノーティ氏のもとに戻り当社ファクトリーライダーの一員として「Prima Pramac Yamaha MotoGP」に復帰。ここまで22戦中14戦を終え、アメリカズGPでの5位を最高に、ランキング17位につけています。また鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会では当社ファクトリーチームの一員として出場し、2位でフィニッシュしました。
生年月日 | 1995年1月18日 |
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出生地 | オーストラリア・クイーンズランド州タウンズビル |
国籍 | オーストラリア |
@jackmilleraus | |
身長 | 173cm |
体重 | 64kg |
GPデビュー | 2011年/ドイツGP (GP125) |
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GP初優勝 | 2014年/カタールGP(Moto3) |
MotoGPデビュー | 2015年/カタールGP |
MotoGP初優勝 | 2016年/オランダGP |
GP優勝回数 | 10回(MotoGP/4回、Moto3/6回) |
GP表彰台回数 | 33回(MotoGP/23回、Moto3/10回) |
スプリント表彰台獲得数 | 2回(2023年/スペインGP、ドイツGP) |
ポールポジション獲得数 | 10回(MotoGP/2回、Moto3/8回) |
2025年 | MotoGP世界選手権 ランキング17位 (52ポイント)* [Pramac Racingから参戦] |
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2024年 | MotoGP世界選手権 ランキング14位 (87ポイント) |
2023年 | MotoGP世界選手権 ランキング11位 (163ポイント) |
2022年 | MotoGP世界選手権 ランキング5位 (189ポイント) |
2021年 | MotoGP世界選手権 ランキング4位 (181ポイント) |
2020年 | MotoGP世界選手権 ランキング7位 (132ポイント) [Pramac Racingから参戦] |
2019年 | MotoGP世界選手権 ランキング8位 (165ポイント) [Pramac Racingから参戦] |
2018年 | MotoGP世界選手権 ランキング13位 (91ポイント) [Pramac Racingから参戦] |
2017年 | MotoGP世界選手権 ランキング11位 (82ポイント) |
2016年 | MotoGP世界選手権 ランキング18位 (57ポイント) |
2015年 | MotoGP世界選手権 ランキング19位 (17ポイント) |
2014年 | Moto3世界選手権 ランキング2位 (276ポイント) |
2013年 | Moto3世界選手権 ランキング7位 (110ポイント) |
2012年 | Moto3世界選手権 ランキング23位 (17ポイント) |
2011年 | GP125世界選手権 ランキングNC (0ポイント) |
*第14戦終了時点
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