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The Blue Shift:YAMAHA FACTORY RACING、2025年MotoGP戦略について

ヤマハ発動機のレースに関する広報発表資料をご紹介します。

2025年2月3日

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 ヤマハ発動機株式会社とYamaha Motor Racing(YMR)は、2025年1月31日の体制発表会を開催し、MotoGP戦略の新たな中期計画を発表しました。

 この戦略は、日本を本拠地とする当社とイタリアに拠点を置き集中的にMotoGP活動に取り組んできたYMRとの緊密な協力関係を強化するものです。2025年の中期計画では、「チャレンジ・スピリット」をもって課題解決に取り組みながら、最高のリソースを活用できるようにするため、「ジョイント・リーダーシップ」と「グローバルな人財」の重要性を強調しています。

 そのなかでマシン開発をさらに促進し、人財を育成し、関係組織全体のシナジーの高まりを通じてMotoGPでのパフォーマンスを強化することで、最終的には2025年のテーマである「Blue Shift」というビジョンの実現を目指します。

 今後は当社のモータースポーツ部門とYMRが技術開発を含むMotoGPプロジェクトの責任を共有し、より緊密な協力関係を確立して相乗効果を高めていきます。この戦略は、今シーズンから新たに加わったPramac Racingとの強力なコラボレーションも含んでいます。

 「ジョイント・リーダーシップ」という価値観はYMRの組織構造にも反映しています。MS開発部長の鷲見崇宏とマネージング・ディレクターのパオロ・パヴェジオがYMRの指揮を執り、サーキットではYZR-M1のプロジェクトリーダーである増田和宏、テクニカル・ディレクターのマッシモ・バルトリーニ、そして「Monster Energy Yamaha MotoGP」チーム・ディレクターのマイオ・メレガリが緊密に連携していきます。

 またイタリアのジェルノ・ディ・レズモにあるYMRの本社が担当するサポート体制は、パヴェジオが、メレガリ(スポーツマネジャー)、ミケーレ・ガッダ(エンジニアリング・マネジャー)、ウィリアム・ファベロ(マーケティング・コミュニケーション・マネジャー)を率い、シニアアドバイザーのリン・ジャービスがこれを支えます。

 「Monster Energy Yamaha MotoGP」はメレガリが引き続きチーム・ディレクターとして舵を取り、ライダーにはファビオ・クアルタラロ選手とアレックス・リンス選手を起用。チーム代表には新たにパヴェジオが就任しました。

 「Prima Pramac Yamaha MotoGP」は、チーム代表のパオロ・カンピノーティと、チーム・マネジャーのジーノ・ボルソイが率い、ジャック・ミラー選手とミゲール・オリベイラ選手を迎えました。当社およびYMRは、「Prima Pramac Yamaha MotoGP」をセカンド・ファクトリー・チームとしてフルサポートを行うほか、「Monster Energy Yamaha MotoGP」とデータ共有を含め緊密に連携し、データ収集やマシン開発を強化します。

 また当社とPramac Racingは今シーズン、Moto2に参戦する「BLU CRU Pramac Yamaha Moto2」を発足。このチームは、当社の人財育成活動である「BLU CRU」において、非常に重要な役割を担います。「BLU CRU」は、当社のモータースポーツ活動におけるステップアップ構造の基盤であり、オン・オフ両カテゴリーで若く才能あるヤマハライダーを育成し、最終的にMotoGPやスーパーバイク世界選手権、モトクロス世界選手権などの最高峰へ送り出すことを目標としています。

 「BLU CRU Pramac Yamaha Moto2」の参戦によって当社のステップアップ構造は整い、今後は大勢のヤマハライダーがMoto2を目指せることとなります。新チームを率いるのはチーム代表のカンピノーティ、チーム・ディレクターのボルソイ、チーム・マネジャーのアレックス・デ・アンジェリス。ライダーにはトニー・アルボリーノ選手とイサン・ゲバラ選手を起用します。

 MotoGP のクアルタラロ選手、リンス選手、ミラー選手、オリベイラ選手、Moto2のアルボリーノ選手、ゲバラ選手はファクトリーライダーとして当社と直接契約しています。

 またテストチームの「Yamaha Factory Racing MotoGP Test Team」では、関和俊がチーム・マネジャーを務め、アウグスト・フェルナンデス選手とカル・クラッチロー選手がテストを担います。しかしクラッチロー選手が現在、体調により任務を遂行できない状態のため、アンドレア・ドビツィオーゾ選手が「YZR-M1」の開発を後押しします。

 マシンのカラーリングとチームロゴはヤマハ・ブランドを象徴するデザインで統一し、企業・チーム・ライダーの調和と協力を表現して、二つのファクトリーチームの絆を伝えるものとなっています。

 「BLU CRU」の目的と価値は、新しいMoto2チームの中核をなすものであるため、「BLU CRU Pramac Yamaha Moto2」には、独自の美学と視覚的アイデンティティ―を示す新しいロゴを採用しました。



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鷲見崇宏
ヤマハ発動機株式会社 MS開発部長、(兼)ヤマハ・モーター・レーシング社長

「ヤマハ発動機は常にレース活動に全力を注いできました。1955 年の創立からわずか数日後に第 3 回富士登山レースに出場し、当社のYA1が優勝しました。そして1961 年にロードレース世界選手権に初出場、1963 年には250ccクラスでGP 初優勝を達成しています。以来、ヤマハは常に世界レベルのロードレースのキープレーヤーであり続けています。
しかし2021年のチャンピオン獲得後は、MotoGPのレベルが急激に高まり、私たちはその変化に適応するために変革の必要性を感じるようになりました。
当社は日本にルーツを持つグローバル企業ですが、この一年でMotoGPのような世界を舞台とする挑戦で勝つためには、どこにいようと能力を発揮できなければならないと気づきました。現在のチームはより多様性に富み、日本と欧州の才能を融合し、より強力なマシンを作り上げ、私たちが本来いるべき場所に戻ろうとしているのです。さまざまな人財が共通の価値観を持って協力し合っています。私たちはこれを“ジョイント・リーダーシップ”と呼んでいます。
2024年はマシン開発を加速し、2025年には新しいパートナーとしてPramac Racingを迎えてMotoGPの活動を拡大しました。開発に重点を置いた新たな中期計画を立て、二つのクラスに三つのファクトリーチームを送り込んでおり、2025年は当社にとって非常にエキサイティングな年になるでしょう。
2025年はまた、当社にとって歴史的に重要な年でもあります。7月1日には創立70周年の節目を迎えます。計画中の祝賀イベントについてはまだお話しできませんが、ここまでの長いレースの伝統に敬意を表すものとなることは間違いありません。私たちの歴史のなかには、未来に向けて再び挑戦しようとするエネルギーやモチベーションもあるからです。
当社はこれまで数多くの成功を収め、長い旅を通じて順応性を示してきました。会社の創立当初と同じように、これからも限界に挑戦し続け、MotoGPファンの皆さんとより多くの良い思い出を共有していきたいと思っています」



パオロ・パヴェジオ
Yamaha Motor Racingマネージング・ディレクター、Monster Energy Yamaha MotoGP代表

「目標ははっきりしています。レースでもビジネスでも誰もがそうであるように、私たちはトップに返り咲きたいと願っています。しかし私たちが他と違うのは、そこにたどり着くための方法です。ヤマハの戦略は“ジョイント・リーダーシップ”を基本とし、日本とイタリアのグローバル・チームが持つ多様性の活用を重視しています。トップへの返り咲きを目指したとき、ごく自然に、活動拠点をイタリアに移管するのではなく、日・伊両方の最高のリソースを組み合わせるという新しいワーキングモデルが生まれてきたのです。
2025年は二つのファクトリー・チームが緊密に協力していきます。私たちは“セカンド・チーム”を求めていたわけではなく、“ベスト・チーム”すなわち新しいパートナーであるPramac Racingを必要としていたのです。
ヤマハとPramac Racingは従来のチーム組織とは異なります。Pramac Racingはサテライト・チームではなく、共通の目標を達成するために不可欠な“パートナー”なのです。彼らはヤマハがトップに返り咲くためのキー・プレーヤーとして力強く貢献し、そのプロセスを加速させてくれると信じています。 YMRとヤマハは“チームワーク”、“チャレンジ・スピリット”、“モータースポーツへの情熱”という共通の価値観を持っています。そのことが私たちを駆り立て、二つのファクトリーチーム、4名のファクトリーライダーに最高のマシンを提供するため、ともに協力し合う関係にあります。こうした新たな関係を視覚的に表現する方法としてデザインされたのが新しいチームロゴです。
ヤマハはまた、中級クラスにも新たにBLU CRU Pramac Yamaha Moto2を送り込みます。これは非常に重要なプロジェクトであり、MotoGPパドックにおけるヤマハの存在感を高めると同時に、BLU CRUのコンセプトが正式に動き出したことを意味するのです。
BLU CRUにより、若い才能は今や、世界・地域・国内など、どのレベルの選手権に出場しているライダーでも、自分の才能と成績を頼りにMoto2を目指せるようになったのです」



パオロ・カンピノーティ
Prima Pramac Yamaha MotoGP チーム代表

「どんな人や企業にも、挑戦や刺激を求めて新たな道を選ぶ時がやってきます。Prima Pramac Yamaha MotoGPの誕生とともに、私たちにもその瞬間が訪れたのです。MotoGPの歴史を築いてきたヤマハのセカンド・ファクトリー・チームとしての新たな旅がまもなく始まります。
ヤマハのパートナーに選ばれたことは、ここ数年のハードワークが認められた結果です。ジュニアチームからスタートした私たちは、今では世界チャンピオンを賭けて戦い、勝ち獲ることができるまでに成長しました。4年連続でベスト・サテライトとなり、2023年はチーム・タイトル、2024年はライダー・タイトルを獲得し、能力とプロフェッショナリズムを証明できました。これらの成功を通じて高い地位に上り、2025年シーズンを迎えることになりました。
ヤマハはモーターサイクルレースのトップに返り咲くという強い決意を表明しており、昨シーズン終盤には、それを裏付けるようにパフォーマンスの向上が見られました。努力を2倍にすることで、トップとの差をより速く縮めていくことができるでしょう。深く、そしてオープンなさまざまなレベルでの協力体制による明るい未来を確信しています」

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