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ヤマハ発動機のレースに関する広報発表資料をご紹介します。
MotoGP世界選手権 セパンテスト、ロッシが総合5位、ビニャーレスは16位、クアルタラロは3日間連続トップで終了
2020年2月10日
2月7日(1日目)
Monster Energy Yamaha MotoGPとPETRONAS Yamaha Sepang Racing Teamが初の公式テストをスタート
Monster Energy Yamaha MotoGPとPETRONAS Yamaha Sepang Racing Teamが初の公式テストをスタート
「Monster Energy Yamaha MotoGP」が2月7日、セパン・インターナショナル・サーキットで2020シーズンをキックオフ。マーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシは本サーキット特有の蒸し暑さに素早く適応。時折、ウエットコンディションに遭遇しながらも走り続け、それぞれ合計49ラップと48ラップを走り込み、6番手と10番手でテスト初日を終えました。
テスト前日にラインアップを発表したばかりのチームは、ビニャーレスとロッシにそれぞれ3台のマシンを用意して今回のテストプログラムに臨みました。ビニャーレスは、午前中のセッション終了間際に小さな転倒があったものの、午後からも積極的に周回を重ね、多くのセッティング・オプションを試しながら合計49ラップを走り切ると、1分59秒367のベストラップでトップから0.422秒差の6番手を獲得しました。
ビニャーレスと同様に「YZR-M1」との再会を心待ちにしていたロッシも、午前中に感触を取り戻すと、午後からは早速、セッティングの改良に取り組みました。トータル8時間で48ラップを走行し、1分59秒569を記録して10番手。トップとの差は0.624秒でした。
「PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team」のファビオ・クアルタラロとフランコ・モルビデリは、ホームコースでの公式テスト初日にそれぞれトップと2番手を獲得し、好スタートを切りました。
セッションは午前10時にスタート。2019年型マシンに乗るクアルタラロは、早々に好タイムをマークしてトップに立ちました。午後からはウエットコンディションとなったこともあって順位に大きな変動はなく、全52ラップで1分58秒945を記録しトップを獲得しました。
チームメイトのモルビデリは昨年11月にヘレスサーキットで試したAスペックの最新型をテスト。最初の走行でスピード向上に取り組むと、まもなくクアルタラロに0.051秒差まで迫る1分58秒996を記録して2番手に浮上しました。ウエットコンディションとなった午後もさらに周回を重ね合計62ラップを走り込み、A・リンス(スズキ)を0.199秒差で抑えて2番手をキープしました。
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | F・クアルタラロ | PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team | Yamaha | 1’58.945 |
2 | F・モルビデリ | PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team | Yamaha | 1’58.996 |
3 | A・リンス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1’59.195 |
4 | C・クラッチロー | LCR Honda CASTROL | Honda | 1’59.234 |
5 | J・ミラー | Pramac Racing | Ducati | 1’59.236 |
6 | M・ビニャーレス | Monster Energy Yamaha MotoGP | Yamaha | 1’59.367 |
10 | V・ロッシ | Monster Energy Yamaha MotoGP | Yamaha | 1’59.569 |
セパン レコードラップ:V・ロッシ 1分59秒611(2019年)
セパン ベストラップ:F・クアルタラロ 1分58秒303(2019年)
2月8日(2日目)
ビニャーレスとロッシは初日と同様、6・10番手
クアルタラロは再びトップ、モルビデリは5番手と好調
ビニャーレスとロッシは初日と同様、6・10番手
クアルタラロは再びトップ、モルビデリは5番手と好調
「Monster Energy Yamaha MotoGP」のビニャーレスとロッシは、初日に引き続き様々なテスト項目をこなしながら好調を維持し、前日と同様、それぞれ6番手と10番手を獲得しました。
ビニャーレスは初日に続き多くのテストアイテムを積極的に試し、最初の走行でリズムをつかむと初日のタイムを更新して1分58秒台に突入。全69ラップ中、41ラップ目にベストラップの1分58秒893を記録し、トップとの差を0.321秒とし6番手をキープしました。
ロッシも、2020年型「YZR-M1」への理解を深め、パフォーマンスを上げることを目標に周回を重ねました。その目標は達成され、全60ラップ中、38ラップ目に1分59秒116を記録。前日のベストタイムを0.4秒更新しました。セッティングの方向性を掴んだあとは用意されていたテストを着実に実行し、トップから0.544秒差の10番手につけました。
「PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team」は2日目も好調を維持し、クアルタラロが前日に続き首位、モルビデリも5番手と健闘しました。
クアルタラロは2020年型・ファクトリースペックの「YZR-M1」で走行。午前中のセッションをニューマシンに慣れるために費やしましたが、多くの周回を重ねた成果もあり午後のセッション終盤でついにトップに浮上。合計周回数は72ラップ、1分58秒572のベストタイムで2番手のJ・ミラー(ドゥカティ)を0.069秒差で抑えたほか、昨年、自身が記録した公式ラップレコードに0.269秒差まで近づきました。
一方のモルビデリは2台のマシンでともに安定性を維持することを目標としました。午前中のセッション終盤、新品リアタイヤをテスト中に第2コーナーで転倒がありましたが、午後はシャシーセッティングも試しながら着実にペースアップ。合計60ラップを走行して1分58秒831と前日のタイムを更新し、クアルタラロから0.259秒差の5番手でした。
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | F・クアルタラロ | PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team | Yamaha | 1’58.572 |
2 | J・ミラー | Pramac Racing | Ducati | 1’58.641 |
3 | D・ペドロサ | Red Bull KTM Factory Racing | KTM | 1’58.662 |
4 | J・ミル | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1’58.731 |
5 | F・モルビデリ | PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team | Yamaha | 1’58.831 |
6 | M・ビニャーレス | Monster Energy Yamaha MotoGP | Yamaha | 1’58.893 |
10 | V・ロッシ | Monster Energy Yamaha MotoGP | Yamaha | 1’59.116 |
セパン レコードラップ:V・ロッシ 1分59秒611(2019年)
セパン ベストラップ:F・クアルタラロ 1分58秒303(2019年)
2月9日(3日目)
ロッシが最終日にベストタイムで5番手、ビニャーレスは18番手でテストを終了
クアルタラロは3日間連続トップ、モルビデリは13番手
ロッシが最終日にベストタイムで5番手、ビニャーレスは18番手でテストを終了
クアルタラロは3日間連続トップ、モルビデリは13番手
「Monster Energy Yamaha MotoGP」が2020シーズンの公式IRTA初テストを終了。ロッシとビニャーレスは多くのテスト項目を実施して2020年型「YZR-M1」の開発において成果をあげ、それぞれ総合5位と16位のベストラップを記録しました。
ロッシはテスト項目に専念したため、決勝シミュレーションを行うことができませんでしたが、代わりに貴重なデータとフィードバックを獲得。タイムアタックでは、全51ラップ中10ラップ目でトップに0.129秒差と迫る1分58秒541のベストタイムを記録。この日5番手、3日間の総合でも5位に浮上してテストを終了しました。
チームメイトのビニャーレスはマレーシア特有の過酷な暑さのなかで決勝シミュレーションを敢行。2020年型「YZR-M1」で終始、順調なリズムを維持して20ラップを走りきりました。タイムアタックの時間帯で天候が変化したため、ベストラップは全83ラップ中30ラップ目に記録した1分59秒169に留まりましたが、2日目の1分58秒893が採用されて総合16位となっています。
チームはこのあとヨーロッパへ、エンジニアたちは日本へとそれぞれ移動してデータ分析に取り組み、2月22~24日のカタールテストで再び一堂に会することとなります。
「PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team」もまた、来月行われるカタールでの開幕戦に向けて多くの経験と成果を積み重ね、クアルタラロが総合トップ、モルビデリが総合14位を獲得しました。
クアルタラロはテスト最終日もまた、早々にピットを出てタイムアタックを開始して前日の記録を更新。後半はミシュランタイヤの新しいコンパウンドのテストにも取り組みました。午後からのセッションでは、決勝が行われる時間帯を利用してロングランを実施したほか、スタート練習を何度も繰り返しながら合計57ラップを走破。ベストラップを1分58秒349に更新し、3日間を通してトップを維持してテストを終了しています。
モルビデリもクアルタラロと同様にタイムアタックを予定していましたが、フロントエンドのチャターを改善するため異なるセッティングを試すこととなりました。午後からは当初のテストプログラムを再開して合計58ラップを走り切り、この日は1分58秒838のベストタイムを記録し13番手。総合では、2日目のタイムが採用され、トップのクアルタラロに0.482差の14位でテスト最終日を終えています。
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | F・クアルタラロ | PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team | Yamaha | 1’58.349 |
2 | C・クラッチロー | LCR Honda CASTROL | Honda | 1’58.431 |
3 | A・リンス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1’58.450 |
4 | F・バニャイア | Pramac Racing | Ducati | 1’58.502 |
5 | V・ロッシ | Monster Energy Yamaha MotoGP | Yamaha | 1’58.541 |
6 | D・ペトルッチ | Ducati Team | Ducati | 1’58.606 |
13 | F・モルビデリ | PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team | Yamaha | 1’58.838 |
18 | M・ビニャーレス | Monster Energy Yamaha MotoGP | Yamaha | 1’59.169 |
20 | J・ロレンソ | Yamaha Test Team | Yamaha | 1’59.697 |
セパン レコードラップ:V・ロッシ 1分59秒611(2019年)
セパン ベストラップ:F・クアルタラロ 1分58秒303(2019年)
Monster Energy Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(総合5位)
「3日間のテストに満足しています。最終日はとくに、タイムアタックで好結果を記録することができたのでよかったと思います。何しろ1分58秒台は今日が初めてですし、順位も5位でトップとの差は僅かです。また本当にたくさんのことをテストして、そのなかにはよかったものも、そうでないものもありましたが、ライバルたちもとても速いので、これからもハードワークを継続していきます」
M・ビニャーレス選手談(総合16位)
「マシンの改良が大幅に進み、とくに決勝用セッティングで効果が上がっていることに満足しています。3日目はタイムアタックの時間を十分にとることができなかったことは残念ですが、それよりもフィーリング向上を重視し、その方面では成果をあげることができたと思います。決勝用タイヤと決勝用セッティングではよいペースをつかみ、競争力が上がっています。でもそれと同時に、次のカタールで取り組むべきことも見えてきました。今回はフィーリングに集中し、改善のために何が必要かを理解することが最も重要だったのです。今後もテストに全力で取り組み、カタールでも今回同様、よい走りができるよう頑張ります」
M・メレガリ、チーム・ダイレクター談
「トップスピード、グリップレベル、タイヤライフの面で進化を実感し、2020年型のYZR-M1が順調に前進していることを確信しました。そして今後はこのモデルに集中していくことをしっかりと確認することができました。ビニャーレス選手は最終日、非常に暑く過酷なコンディションのなかで決勝シミュレーションを実施し、最初から最後まですばらしい安定性を見せてくれました。ロッシ選手は決勝シミュレーションは行いませんでしたが、必要とされたテスト項目をすべてこなし、しかもラップタイムでも好結果を引き出しました。ビニャーレス選手はタイムアタックに臨もうとしたところで雨に見舞われて実力を出し切れず、3日間の総合順位にも影響してしまったことは残念です。それでも全体的には非常に順調な3日間と言え、ここで得たすべての情報が、次のカタールテストでまた進化を後押ししてくれるものと確信しています」
PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team
F・クアルタラロ選手談(総合1位)
「最終日は少し苦労しました。なかなかペースがつかめず、午前中のセッションではラップタイムが思うように上がりませんでした。それでも全体的には満足しています。コースが空いた最も暑い時間帯に12ラップのロングランを行い、1分59秒後半から2分前半とまずまずのペース。路面温度55度で、私のほかには誰も走っていなかったのですから、おそらく一日のなかでも最悪のコンディションだったでしょう。スピード面では順調に改善を進めることができたので、次のカタールテストでさらなる前進を目指します。今回で1ラップの速さを確信することができたので、今は目標が少し変わって、これからはロングランのペースを上げていきたいと思っています」
F・モルビデリ選手談(総合14位)
「多くのテスト項目を順調にこなし、ニューマシンについてたくさんのことを学んで、マシンを信頼できるようになりました。2日目は通常のライディングのなかでスーパーソフトのコンパウンドを試したのですが、最終日はタイムアタックにおいてそれを使用しませんでした。そのため十分にタイムを伸ばすことができなかったのかもしれませんが、ノーマルタイヤでもトップから遠く離されなかったことはよかったと思います。この3日間で多くのことを理解し、次のカタールでやるべきことも見えてきました。今回同様、よい仕事をしたいと思います」
W・ズィーレンベルグ、チーム・マネジャー談
「2020シーズンに向けた最初のテストが終了しました。予想外のハプニングに見舞われることもなく、天候にも恵まれてすべてが順調に運んだと思います。クアルタラロ選手は3日間を通してトップをキープ。モルビデリ選手も彼らしい走りを取り戻しており、昨シーズンよりもマシンをよく理解して着実に前進しているようです。私たちはチームとしてやるべきことをしっかりこなすことができました。大きな転倒もなく3日間を終え、次のカタールテストに向けても準備が整っています」
R・ラザリ、チーム代表談
「テストの前にチームラインアップをお披露目できたことをうれしく思っています。それによってライダーたちが、気持ちを乱されることなくテストに集中することができたからです。そのテストでは好タイムが出ていますが、それだけでは高評価にはなりません。しかし、ライダーにとっては心理的によい効果になりますし、ライバルに対しても同様でしょう。その意味で、これまでのところはすべてが順調に運んでいます。クアルタラロ選手はニューマシンを得てわずか2日間で見事な走りを見せてくれ、モルビデリ選手も成果をあげています。テストの成功と並行して、この3日間でファンのみなさまと近づくことができたのも、私たちにとってはとても重要な成果だと思っています」