鈴鹿8時間耐久ロードレース第35回大会の決勝が7月29日(日)に開催され、「YAMAHA FRANCE GMT94 MICHELIN YAMALUBE」(以下GMT94)が211周を走り3位表彰台を獲得しました。
今大会は国内外から58台が出走、この中で、世界耐久選手権の第1戦ボルドール24時間で3位に入るなど、ランキング7位で今大会に臨んだGMT94は15番グリッドからスタート。しかし、序盤にアクシデントが発生。緊急ピットインにより大きく後退しますが、その後は世界耐久チームらしく着実にポジションアップし、4番手と僅差の3番手で最後のピットに入ります。そこで前後のタイヤ交換と給油をすると、ライダーは直前まで走行していたデビッド・チェカ選手がそのまま3番手でコースに復帰します。
その後、タイヤが暖まる間に4番手を走行する出口修選手(カワサキ)にかわされますが、チェカ選手は再びラップタイムを上げ、ナイトランとは思えない激しい3位争いを展開し、チェッカーまで数周となったところで逆転。3番手に返り咲くとそのままチェッカーを受け、ヤマハにとっては2003年の中冨伸一/吉川和多留ペア以来となる表彰台を獲得しました。
3位のチェッカーを受けたチェカ選手 |
序盤のアクシデントを挽回し表彰台を獲得 |
また、ポールポジションからスタートした「MONSTER ENERGY YAMAHA-YART」の中須賀克行選手は、出遅れながらもオープニングラップを3番手で終えます。その後はハイペースで走行を続け9周目にJ・ウォーターズ選手(スズキ)をパスして2番手、続く10周目には清成龍一選手(ホンダ)をパスしてトップに浮上します。
その後も中須賀選手は順調にラップタイムを縮め、同時に2番手の清成選手との距離を広げていきますが、18周目の130Rで転倒を喫してしまいます。中須賀選手に大きな怪我はなかったものの、マシンのダメージが大きかったため、中須賀選手はマシンを押してピットまで戻りました。その後、傷ついたマシンを修理し、今度はトミー・ヒル選手が出走。さらにマシンは芳賀紀行選手に託されましたが、マシンは完全に修復された状態ではなかったため、ライダーの安全面を配慮するという理由から、リタイアとなりました。
序盤トップを奪う#7中須賀選手とYZF-R1 |
6年ぶりに8耐の舞台に帰ってきた芳賀選手 |
#94 YAMAHA FRANCE GMT94 MICHELIN YAMALUBE
決勝3位(211周/8時間3分13秒469)
デビッド・チェカ選手談:
「ヤマハとミシュランには心から“ありがとう”と言いたい。ヤマハに加入して10年目という節目に鈴鹿8耐で3位になれたことには、とても大きな意味を感じる。チームの働きには本当に感謝している。最後はすごいバトルになったけど、その最中もチームが常にサインボードで正確な情報をくれたんだ。ライダーとしてはいつでもプッシュしたくなるものだが、行くべき時と抑えるべき時をちゃんと伝えてくれた。それが3位という素晴らしい結果を呼んだのだと思う。次の目標は、勝つこと! 鈴鹿8耐では2008年に兄のカルロスが勝っているからね。僕にとっても、ルマン24時間で勝ち、ボルドー24時間で勝っている。あとはここ、鈴鹿8耐だ。必ず勝ちたいね!」
ケニー・フォーレイ選手談:
「クレイジーな1日だよ! 鈴鹿8耐のようなビッグレースで表彰台に立てるなんて、本当に信じられない。表彰台からの眺めは、言葉では説明できないほど素晴らしかった。ものすごく手強いライバルたちを相手に、僕たちのチームはライダーがふたり。不利だと思っていたけど、それを跳ねのけての3位だからね。とてもうれしい。決勝ではいいラップを刻めたし、パーフェクトな展開だった。特にデビッド(チェカ選手)は僕より速いし、経験も豊富だから、夜になってからは“とにかく行け!”とプッシュしたんだ。それにしても本当に信じられないほどうれしい。こんなクレイジーなフィーリングは、一生のうちで1度だけじゃないかと思うよ!」
クリストフ・グィオ監督談:
「素晴らしいフィーリングを楽しんでいるよ。鈴鹿8耐での表彰台は、私にとって非常に大きな意味があるんだ。2002年、私はライダーとして鈴鹿8耐に参戦するはずだった。でも直前にクラッシュして怪我をし、出場できなかったんだよ。'04年にはチームとして鈴鹿に戻ってきたが、結果は7位。'10年はリタイアで、去年もまた7位に終わった。“いつか表彰台に立ちたい”“いつか勝ちたい”と強く思っていたが、今回はチームライダーのうちひとりが怪我をして、2人体制になった。不利な条件だったが、デビッド(チェカ選手)とケニー(フォーレイ選手)が“ふたりでも頑張れるさ!”と言ってくれたんだ。最後の3位争いのバトルは素晴らしかったね! 日本人ファンの皆さんの大声援が聞こえて、すごくうれしかったよ。これで次の目標は“勝つこと”。難しい道のりだとは分かっている。2分11秒台のペースで走らないといけないからね。でも、トップとの差は確実に縮まっている。勝利に向けて、また鈴鹿8耐に挑戦するよ」
#7 MONSTER ENERGY YAMAHA-YART
決勝リタイア(48周)
中須賀 克行選手談:
「後続とのアドバンテージを作って(芳賀)紀行さんやヒル選手にマシンを渡したい気持ちが強く、ハイペースになり130Rで転倒してしまいました。怪我は打撲程度で問題ありませんでしたが、マシンはフロントホイールが割れて、タイヤもパンクしていたのでもう走れない状態でした。でも、耐久レースなので、最後まで頑張ろうとピットまでマシンを押して戻りました。ピットロードにたどり着いたとき、スタッフが待っていてくれて、そこに紀行さんを見つけたときは、もう涙が止まらなくなりました。この転倒が原因でリタイアになり、スタッフや紀行さん、ヒル選手、スポンサーのみなさん、そして応援してくれたファンに迷惑をかけてしまい、本当に申し訳なく思っています。今回の悔しい思いを力に換えて、次に向かいたいと思います」
トミー・ヒル選手談:
「まずはレースに出場させてくれた、関係者の皆さんに感謝したい。優勝は難しかったかもしれないが、チームのパフォーマンスとしては表彰台には立てただろう。チームにとっても、ヤマハにとっても、悲しい結果に終わってしまったことは残念だけど、これがレースだよ。カツ(中須賀選手)はとても速かった。勝ちたい気持ちが伝わってくる素晴らしい走りだったと思う。今回の8耐は、僕にとって初めて尽くしだった。いろいろと学んだよ。BSBで求められるのは110%の走りだけど、鈴鹿8耐ではコンスタントに90%の走りをしなくちゃいけない、とかね。次に出る機会があれば、今回の経験を生かしてもっとうまくやれると思う。うん、鈴鹿8耐にはまた出たいよ。今回は少ししか決勝を走れなかったけど、ちゃんとレースをしてみたいんだ」
芳賀 紀行選手談:
「結果を残すことができずとても残念ですが、中須賀選手に関しては、転んで大きなダメージを負ったマシンを押して戻ってきてくれて、本当によく頑張ってくれました。その後、マシンの修理をして、トミー(ヒル)も僕も走ったのですが、マシンが完全に修復できない状態でのレースは危険であるとの判断から、リタイアになりました。前回、8耐に出場したときは、決勝を1周も走ることなくリタイアとなり、今回は13周程度走ることができましたが、やはり結果を残したいので、チャンスがあればまた出場したいですね」
マンディ・カインツ監督談:
「グッド・スタート、アンラッキー・フィニッシュ。これに尽きるよ。不運としか言いようがない。ライダーっていうのは、いつも限界で走るものなんだ。だからこういうことも起こり得る。レースの難しい一面だね。今回はいろいろなことがあり、とても慌ただしいレースウィークだった。でも、ライバルと互角以上に戦えたと思う。チームのマンパワーとしては、最高のパフォーマンスを示せた。事実、決勝では誰も我々を負かすことはできなかったからね。ただ、不運に負けただけ。このままじゃ終わらないよ!」
決勝結果
順位 |
# |
ライダー名 |
マシン |
チーム名 |
周回数 |
1 |
11 |
秋吉 耕佑
J・レイ
岡田 忠之 |
Honda |
F.C.C. TSR Honda |
215Laps |
2 |
104 |
山口 辰也
高橋 裕紀
手島 雄介 |
Honda |
TOHO Racing with MORIWAKI |
211Laps |
3 |
94 |
D・チェカ
K・フォーレイ |
Yamaha |
YAMAHA FRANCE GMT94 MICHELIN YAMALUBE |
211Laps |
4 |
32 |
今野 由寛
津田 拓也
民辻 啓 |
Suzuki |
Moto Map SUPPLY |
210Laps |
5 |
25 |
徳留 和樹
安田 毅史
北口 浩二 |
Honda |
Honda鈴鹿レーシングチーム |
210Laps |
6 |
71 |
W・マクスウェル
J・スタファー |
Honda |
Honda DREAM RT 桜井ホンダ |
209Laps |
19 |
14 |
北島 大和
西村 一之
奥村 慶司 |
Yamaha |
磐田レーシングファミリー |
202Laps |
20 |
903 |
中井 恒和
宇佐見 保弘
南川 耕蔵 |
Yamaha |
TEAM DDD ノイズ&クレバーウルフ |
201Laps |
26 |
51 |
小島 一晃
成守 貞文
樋口 幸博 |
Yamaha |
T・モトキッズNAC ネルガル 獺RT |
194Laps |
33 |
52 |
隣 淳二
吉道 竜也
中尾 健二 |
Yamaha |
T・モトキッズ ネルガル 52 |
185Laps |
34 |
15 |
竹見 升吾
深見 貴広
尾藤 哲也 |
Yamaha |
チーム・エッチングファクトリー |
183Laps |
42 |
096 |
堀 義光
首藤 和徳
福島 智和 |
Yamaha |
阿蘇ライダーズベース&くまモン |
163Laps |
DNF |
7 |
中須賀 克行
T・ヒル
芳賀 紀行 |
Yamaha |
MONSTER ENERGY YAMAHA-YART |
48Laps |
|