詳細本文 レースに関連する広報発表資料をご覧いただけます。 2008 MotoGP世界選手権シリーズ 第15戦A-STYLE日本グランプリ バレンティーノ・ロッシ チャンピオン決定 ヤマハ「三冠」を達成 2008年9月29日 9月28日(日)、ツインリンクもてぎ(栃木)で開催された2008 MotoGP世界選手権シリーズ 第15戦A-STYLE日本グランプリで、ヤマハYZR-M1を駆るバレンティーノ・ロッシ(伊/29歳/フィアット・ヤマハ・チーム)が5連勝となる今季8勝目を飾り、3戦を残してチャンピオンを決定した。ロッシとヤマハのコンビネーションでは3年ぶり3回目の世界タイトル。ヤマハにとってロードレース最高峰クラスでのライダータイトル獲得は通算13回目となった。 同時にヤマハは今季のコンストラクターズタイトル、「フィアット・ヤマハ・チーム」でのチームタイトルを獲得しMotoGPで三冠を達成した。 ロッシは3位以内で完走すればチャンピオンが決まるという得点差で迎えた今大会。予選4番手・2列目スタートのロッシは、スタート直後は5番手となるが、まもなくチームメイトのJ・ロレンソを抜き4番手に上がると、2周目にはN・ヘイデン(ホンダ)をパスして3番手に浮上する。その後は先頭のD・ペドロサ(ホンダ)、C・ストーナー(ドゥカティ)、ロッシによる接近戦となるが、ロッシは後退してきたペドロサをパスし、ストーナーとの一騎討ちを展開する。そして14周目、ロッシがストーナーを抜きトップに浮上するとリードを広げ、最終的に1.9秒差で優勝を果たし、チャンピオンを決めた。 第15戦日本GPでタイトルを決めたロッシ V・ロッシ選手談: 「とてもうれしい勝利、達成感でいっぱいだ。今日の優勝は、2004年にヤマハで初めてタイトルを獲得したときと同じくらいに、いや、やっぱりそれ以上にうれしい気分!長い間、チャンピオンの座から離れていたし、僕だけでなくチームにとってもヤマハにとっても大変厳しい時期だった。それでも皆、懸命に仕事を続け、一度としてあきらめたことはなかった。今シーズンはどのサーキットへ行っても、またどんなコンディションになっても、素晴らしいマシンを準備することができた。そのおかげで僕はこのような走りができたし、多くのレースで勝つことができた。今は本当に幸せな気分だ! 今まですべてのタイトルのなかで、今年ほど厳しい戦いはなかったと思う。だからこそ、ヤマハ、メカニック、チーム、僕を支えてくれたすべての人に感謝の気持ちを伝えたい」 梶川隆(ヤマハ発動機株式会社・代表取締役社長)談: 「二輪ロードレース世界最高峰のMotoGPで、バレンティーノ・ロッシ選手は3年ぶりに世界チャンピオンを獲得することができました。また、さらに最終目標としていたチームおよびコンストラクターを加えた『三冠』を、当社にとってホームグランプリである日本の地で獲得できたことは二重の喜びです。本日これを皆様にご報告できることを大変うれしく思います。 これはチャンピオンを獲得したロッシ選手をはじめ、デビューイヤーで初優勝を獲得したロレンソ選手など、ヤマハマシンを駆ってMotoGPにチャレンジする4人のライダーが年間を通じて活躍してくれたことが今回の大きな成果につながったものと思います。 本日の結果は、世界中のヤマハファンの皆様やスポンサー各社の皆様の熱いご支援と、チーム関係者のご努力の賜物と大変感謝しており、心から御礼を申し上げます。 レースは技術開発の舞台であるだけでなく、人材育成やチャレンジスピリットを育むステージであると私は考えており、ヤマハの企業文化を象徴する活動として今後も積極的に展開する所存です。その挑戦が皆様に『感動』を提供することに繋がると信じております。 これからもご支援とご声援をよろしくお願い申し上げます」 中島雅彦(フィアット・ヤマハ・チーム総監督)談: 「チャンピオンシップに王手をかけた状態で日本GPを迎え、我々にとっては大きなプレッシャーがかかるレースウィークとなりました。コースコンディションやライバル勢の攻勢が激しく、予選段階から厳しい状況が続きましたが、ライダー、チームスタッフの頑張りで、納得のいくレースができたと思います。 マシンのセットアップに終わりはありませんが、限られた時間、状況の中で、昨日から今日にかけてチームとしてやるべきことをやり尽くし、戦闘力を高めたマシンをライダーに託すことができたと思います。そしてロッシ選手らしいライディングでその期待に応えてくれました。 ライダー、メーカー、チーム、3つのチャンピオン奪還を目指して始めた今シーズン。3つの目標を日本で達成できたことで、少し肩の荷が降りた気がします。とはいえ残り3戦、まだまだ気を緩められない状況ですので、新たな気持ちでレースに臨み、今回得たものを次に繋げていきたいと思っております」 バレンティーノ・ロッシ選手プロフィール 氏 名/ Valentino Rossi 国 籍/ イタリア 生年月日/ 1979年2月16日 所属チーム/ FIAT YAMAHA TEAM(フィアット・ヤマハ・チーム) 主な成績 1996年:世界選手権GP125 ランキング 9位 1997年:世界選手権GP125 チャンピオン 1998年:世界選手権GP250 ランキング 2位 1999年:世界選手権GP250 チャンピオン 2000年:世界選手権GP500 ランキング 2位 2001年:世界選手権GP500 チャンピオン 2002年:世界選手権MotoGP チャンピオン 2003年:世界選手権MotoGP チャンピオン 2004年:世界選手権MotoGP チャンピオン 2005年:世界選手権MotoGP チャンピオン 2006年:世界選手権MotoGP ランキング 2位 2007年:世界選手権MotoGP ランキング 3位 2008年:世界選手権MotoGP チャンピオン ロッシ選手 2008年の成績(全18戦中15戦まで) 大会名 開催地 予選 決勝 第1戦 カタール ロサイル 7位 5位 第2戦 スペイン ヘレス 5位 2位 第3戦 ポルトガル エストリル 3位 3位 第4戦 中国 上海 2位 優勝 第5戦 フランス ルマン 4位 優勝 第6戦 イタリア ムジェロ 1位 優勝 第7戦 カタルニア カタルニア 9位 2位 第8戦 イギリス ドニントンパーク 2位 2位 第9戦 オランダ アッセン 3位 11位 第10戦 ドイツ ザクセンリンク 7位 2位 第11戦 アメリカ ラグナセカ 2位 優勝 第12戦 チェコ ブルノ 2位 優勝 第13戦 サンマリノ ミサノ 2位 優勝 第14戦 インディアナポリス インディアナポリス 1位 優勝 第15戦 日本 ツインリンクもてぎ 4位 優勝 2008年、ロッシ選手のレース展開 第1戦カタール・・・・初のナイターは5位 砂漠の日中の暑さを避けGP史上初の午後11時からスタートした決勝。ブリヂストンタイヤでの初レースとなったロッシは、予選で他の3人のヤマハ選手が1~3位としたのに対し7位と出遅れる。決勝は序盤トップを走るが、中盤以降後退して4番手となり、最終周にもひとつ順位を落として5位となった。「冬季テストでは、各サーキットでよく走ってくれたが、ここだけが例外だった」とロッシ。優勝はストーナーで、MotoGPデビューのロレンソが2位に入る健闘を見せた。 第2戦スペイン・・・・ロッシ、ロレンソが2位・3位 ロッシは予選、電気系トラブルで思い通りのタイムアタックができず5位。決勝は6番手で1周目を終えるが、すぐにリズムをつかみ追撃を開始。4周目にはロレンソをとらえて2番手に上がり、トップのペドロサを追う。しかしペドロサのペースは速く、ロッシは2番手をキープすることとなる。その後ロッシは残り1周のゴールライン通過後に、ゴールと勘違いしてペースを落としてしまうが、すぐに気付きペースアップ。3番手のロレンソとの差が十分あったことが幸いし2位でゴール。ブリヂストン&ロッシのコンビにとって初表彰台を獲得した。 第3戦ポルトガル・・・・二人揃っての連続表彰台 MotoGPデビュー3戦目のロレンソが初優勝。ロッシは3位となり二人揃っての連続表彰台となった。予選はロレンソが開幕から3戦連続でポールポジションを獲得。ロッシは3位でフロントロウに並ぶ。決勝でロッシは12周目までトップを走りながら、ロレンソ、ペドロサに先行され3位となったが、「今年初めてパートナーとなったブリヂストンと少しずつ相互の理解を深めていくこの時期に、連続表彰台の獲得は重要な意味がある」と手応えを語った。 第4戦中国GP・・・・今季初優勝で波にのる 今季最高の予選2位で決勝に臨んだロッシは、5周目にトップに立つとコンスタントに好タイムを刻み最終的に2位ペドロサに約4秒、3位ストーナーに約16秒差で今季初優勝。ロッシにとって上海での優勝は2005年以来2度目、前年のエストリル以来8レースぶり、ブリヂストンタイヤでは初優勝となった。 第5戦フランス・・・・2勝目でランキングトップに浮上 ロッシが独走で今季2勝目、2位にロレンソ、3位にはエドワーズが入り、2001年のザクセンリンク(ドイツGP)以来となるGP最高峰クラスでのヤマハ表彰台独占となった。レースは後半、小雨が降り出したため白旗が提示され、マシン交換とウエットタイヤの使用が認められたが、ほとんどのライダーがそのまま続行。ロッシも不安定な路面をものともせずリードを広げてゴール。全クラス通算90勝目となる今季2連勝でランキングトップに立ち、GPでの通算優勝回数ではA・ニエトと並ぶ2位となった。 第6戦イタリアGP・・・・今季3連勝でリードを拡大 約1年ぶりにポールを獲得したロッシ。決勝は4番手で第1コーナーに入り、その後カピロッシを抜いて1周目を3番手で終了する。3周目にペドロサを抜き2番手に上がると、続いてストーナーを抜いてトップに立つ。しばらく3台の接近戦となるが、ロッシは少しずつ後方を引き離し16周目には3秒以上のリードを築いてトップを独走。3戦連続の優勝を飾りランキングのリードを拡大した。 第7戦カタルニアGP・・・・2位獲得でランキング首位をキープ 予選9位からスタートしたロッシは2位となるも連続優勝は3でストップした。レースはペドロサがスタートで飛び出してリードする展開。オープニングラップを8番手としたロッシは、7周目までに7番手とすると、8周目にエドワーズ、9周目にドビツィオーゾとストーナーをパスして2番手とし、約6.5秒先のペドロサを追う。しかしその差は縮まらず、17周目には後方のストーナーに一度かわされてしまうが、24周目に再び抜き返して2位でゴールした。 第8戦イギリス・・・・2位表彰台獲得でリードを拡大 予選2位のロッシは、決勝スタート直後は2番手をキープ。その後はトップのストーナーを追うが、この日のストーナーはコースの幾つかのエリアで速く、ロッシは2番手キープに切り替える。中盤、ペドロサが追い上げてきて1コーナー進入で2度パスされるが、ロッシはそのたびに抜き返し終盤はペドロサを引き離して2位でゴールとなった。ランキングでは、ペドロサとのリードを4点広げ11ポイント差でトップを守った。 第9戦オランダ・・・・11位と振るわずランキング首位を明け渡す 予選3番手発進のロッシはスタートでやや遅れ、さらに1周目に転倒。再スタートして14番手で復帰する。この時点ですでにトップとの差は30秒以上。ロッシはその後の数周を38~39秒台で様子をみると、7周目頃から37秒台にペースアップ、終盤メランドリ、エリアスを抜き11位となった。結果は1位ストーナー、2位ペドロサ、3位エドワーズとなり、ロッシはペドロサにランキング首位を奪われる。 第10戦ドイツ・・・・2位表彰台、ランキング首位奪還 雨となった決勝30周は、好スタートをきったペドロサが序盤をリード。しかし6周目に転倒してリタイヤとなり、ストーナーがトップに浮上する。その頃ロッシは4番手を走行していたが、9周目には2番手まで浮上し先行するストーナーを追う。しかしストーナーとの差は縮まらず、約3.7秒差で2位となったが、ペドロサからランキング首位を奪還した。 第11戦アメリカ USGP・・・・アメリカでの初優勝、ペドロサ欠場でライバル交代 レースは序盤からロッシとストーナーの一騎打ちとなり、互いに首位を奪いあいながら後続を引き離す展開。ときにコースアウトしそうになり、ときにフェアリングを接触させて危うく転倒というほどの接近戦は、24ラップ目、ストーナーがコーナー進入でグラベルに入りフロントをとられ投げ出されて決着。ストーナーは再スタートして2位。ペドロサが怪我で欠場したため、ストーナーがランキング2位となり、ロッシのライバルが交代することになった。 第12戦チェコGP・・・・5勝目を飾る ストーナーのホールショットでスタートした決勝。ロッシは 1コーナーで3番手とするが、まもなく1人抜いて1周目を2番手で終える。1周目を終えストーナーとロッシの差は約1秒。二人の差はその後1.3秒前後に広がるが、ロッシはペースを上げ、その差をコンマ3秒まで短縮し、ストーナーにプレッシャーをかける。そして7周目、ストーナーが転倒してリタイヤ。これで首位に立ったロッシは、1分58秒台のペースで快走し優勝。ランキングでは2位のストーナーに50ポイントの差をつけることとなった。 第13戦サンマリノGP・・・・ロッシ6勝目、ロレンソとワン・ツー・フィニッシュ ロッシはこのレースで最高峰クラスでの自己通算68回目の優勝を飾り、J・アゴスティーニの記録に並んだ。レースはスタートからストーナーが先行。ロッシは2周目にペドロサを抜いて2番手に上がるが、この周を終えた時点でストーナーに3秒のリードを許す。その後も二人の差は約3秒で推移するが、8周目にストーナーが転倒。これでロッシがトップに立ち、3番手を走行していたロレンソも2番手に上がり、二人のワン・ツー・フィニッシュとなった 第14戦インディアナポリスGP・・・・7勝目を飾りポイントリードを拡大 MotoGP初開催となるインディアナポリスで、ロッシは今季7勝目。同時に最高峰クラスの最多優勝回数で単独トップに立った。1周目を4番手としたロッシは、6周目に2番手、14周目にトップに立つと後続を徐々に引き離す。その後ハリケーンの影響で雨が激しくなったため、 21周目に赤旗が出され20周の時点での順位が最終結果となった。ストーナーは4位となり、ロッシはポイントリードを拡大した。 第15戦日本GP・・・・今季8勝目でタイトル決定 3位以内のゴールでチャンピオンが決定するポイント差で迎えた日本GP。予選を4位とし2列目スタートのロッシは、中盤14周目にトップに浮上すると後方につけるライバル、ストーナーとの差を徐々に広げ1.9秒差で今季8勝目。自身8度目、ロードレース最高峰クラスでは6度目のチャンピオンに輝いた。