強風に見舞われたヘレス。フィアット・ヤマハ・チームのルーキー、J・ロレンゾは、モトGP公式テスト最終日、セッション終盤で好タイムを叩き出し総合2位と大健闘。 3日間を通して変わりやすい天候と路面コンディションに悩まされたと自ら認めるように、決勝用タイヤではペースが上がらなかった。しかしミシュラン製予選タイヤを装着すると速さをアピールし、最終日の最終ラップとなった60周目に1分39秒252を記録した。
J・ロレンゾ選手談(2位/1分39秒252/60周):
「今日の午後はミシュランの予選タイヤを履いて、3日間の総合で2位という速いタイムを記録することができた。だから今は本当にハッピーな気分。でもレース・タイヤではあまり調子がよくなくて、課題は多い。もっと速く走れなければならないが、そうするためにはもっとグリップが欲しいし自信も必要だ。ミシュランと話し合って何とかこの問題を解決しなければならないが、これについてはチーム、エンジニア、ミシュランのスタッフを信頼しているので大丈夫。開幕戦が間近に迫ってきていて時間はもうあまりないが、みんな全力で頑張っている。そして、実際にこうして好結果も出ているから満足しているよ。カタールの夜のレースがとても楽しみだ!」
D・ロマニョーリ、チームマネージャー談:
「今日は難しい部分がいくつかあった。とくに午後からのセッション序盤は、路面コンディションがかなりひどかった上に風が強かったので苦労させられた。作業については成果もあったが、依然としてリアグリップの不足とひどいスピンに悩まされている。これを解決することが現時点での最大の目標だ。終盤、予選タイヤを履いたら状況は好転。ホルヘがとても速くなったのを見て、チームのみんなで喜んだ。ホルヘとチームの頑張りに感謝するよ。このあとは開幕までの残された時間を最大限有効に使って、少しでもベストの状態に近づけていきたい」
一方、V・ロッシは総合5位。最終日は、午前中は路面がかなり濡れていたため走行を取りやめて合計79ラップを周回。そのほとんどをセッティングの調整とブリヂストン製タイヤのテストに費やしたが、変わりやすい路面コンディションに悩まされて成果はあまり上がらなかった。セッション終盤になって、他のライダーたちと同様に予選タイヤを装着し、1分39秒568を記録した。チームは10日後、カタールへ移動。3月9日に行なわれる開幕戦に備え、夜間走行のテストを行う予定。
V・ロッシ選手談(5位/1分39秒568/79周):
「終盤になるととても寒くなってきて、難しい状況になっちゃったんだ。今回は3日間ともコンディションが不安定で厳しかったけれど、そのなかでもいい仕事ができたし、リズムもよくて楽しんで走ることができた。今はシーズン開幕が楽しみで仕方がないよ! でも依然として作業は続けていかなければならない。とくにコーナー立ち上がりのスピードについては、路面が濡れていてグリップが不足したせいで、前よりも遅くなってしまった。それでも総合的には悪くないし、マシンのこと、ブリヂストンのことをたくさん勉強できたのはよかった。しかも予選タイヤでもレース・タイヤでも好調に走れたから満足しているよ。今回は一番お気に入りの予選タイヤは使わなかったんだ。だからカタールでそれを使えば、もっと速く走れるはず。テストはあと1回だけ。夜間の走行になるので楽しみだ。開幕までのわずかな時間を大切に、集中していきたい」
D・ブリビオ、チームマネージャー談:
「3日間を振り返ってみれば、総合してとてもよい結果を得られたと思う。初日から速さがあって、昨日はウエットで成果があり、そして今日は新しいものもいくつか試すことができて、開幕に向けてまた大きく前進した。マシンは調子がよく、エンジン自体も素晴らしい。しかし実際のレースで、また異なるコンディションになったときにどんなパフォーマンスを見せてくれるのかは、やってみるまで分からない。開幕戦を楽しみにしているが、その前にやらなければならないことがまだ残っている。テスト日程はあと2日間だけなので全力で臨んでいく」
トーズランドが6位で最終日を終了
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テック3ヤマハのJ・トーズランドは、強風に見舞われたテスト最終日、予選タイヤを履いて6位のタイムを記録。これまでの2日間同様、速さと安定したペースをキープした。この日はミシュラン製決勝用、予選用の多くのタイヤ・テストを予定していたが、走行を開始してわずか2ラップ目の第1コーナーで転倒。右足首を激しくひねって痛みがあったが、午後のセッションで36ラップを走りきり、予選タイヤで1分39秒727という好タイムを記録した。このタイムはディフェンディングチャンピオンのC・ストーナーに0.118秒差、ロッシに0.179秒差と迫るものだった。トーズランドのベストタイムは初日に記録した1分39秒678で3日間の総合では7位。決勝用タイヤでは、モトGPでの走行わずか5回目で6位につける健闘だった。
またチームメイトのC・エドワーズは、前日からの予報で雨と強風が予想されていたため予定を一日早く切り上げて帰国した。
J・トーズランド選手談(6位/1分39秒727/36周):
「ちょっとしたアクシデントだった。いきなりの転倒で自分ではどうすることもできなかったんだ。マシンに追いかけられる形になったが、幸い足首をひねっただけですんだ。ピットから走り出してすぐのことで、気づいたら転んでいた。路面コンディションのせいなのかどうかは分からないが、とにかくマシンが傾いてリアが回り込んだ。何とか走行を続けたが、その結果としてこのようなタイムが出たことは本当にうれしい。悪いイメージを残してテストを終了するのがいやだったから、この怪我を含めて問題もあったなかでも6位という結果を得られてほっとしている。ウエット、ドライと5位をキープしてきて、最終的に14位だったとしたらがっかりだからね。そして何よりも、テストのたびに進歩していると感じられることがうれしかった。今回は安定して速さをキープできた。とくにウエットでの好調は自信につながった。このままの調子で開幕まで頑張っていけば、みんなを驚かすこともできるかもしれないよ。こんなに早くここまでくることができたのは、チームのみんなのおかげ。すべては彼らの豊富な経験からくるものだ。このあとはしばらく足首を休ませて、カタールに準備万端で臨む」
H・ポンシャラル、チームマネージャー談:
「非常に充実したテストができた。初日はジェームスが、バレンティーノに続く2位を長い間キープした。コーリンもまた十分な速さを見せていた。11月のテストのときと比べると格段によくなっていた。とくにジェームスの成長ぶりは目を見張るものがある。ヤマハとミシュランは冬の間に本当にハードに仕事を続けていた。そしてその結果としてジェームスとコーリンがこうしてトップに近づけているのだ。また今回はフルウエットのテストの機会があり、コーリンはミシュラン製レインタイヤの優位性をはっきり確認している。スリックから履き替えたときに、素早く、そして楽に適合できるレインタイヤの重要性を、我々はよく認識している。昨年はフラッグ・トゥ・フラッグのレースが2回あって、日本ではレインタイヤでピットを出たライダーたちが何ラップかにわたって苦労しているのを見た。ミシュランはこの部分をよく研究してくれたようだ。テスト最終日は天気があまりよくなかったし、ジェームスの転倒もあったが、そのなかでもタイヤ・テストを精力的にこなしてやる気と勇敢さを見せてくれた。こうしたことがレースでは非常に重要。痛みをおして頑張ってくれた彼には感謝している。グラベルに投げ出された彼を見たときには本当に心配したけれどね。コーリンのほうは、今日の天候がよくないと分かった時点で、リスクを冒す価値はないと判断した。テストすべき項目もあまり残っていなかったので、開幕に向けて充電するためにも、一足先に帰すことにした」
非公式タイム
順位 |
選手名 |
マシン |
タイム |
1 |
N・ヘイデン |
Honda |
1'38.848 |
2 |
J・ロレンゾ |
Yamaha |
1'39.252 |
3 |
A・ドビツィオーゾ |
Honda |
1'39.313 |
4 |
R・ド・ピュニエ |
Honda |
1'39.351 |
5 |
V・ロッシ |
Yamaha |
1'39.568 |
6 |
J・トーズランド |
Yamaha |
1'39.727 |
7 |
C・スト―ナー |
Ducati |
1'39.845 |
8 |
A・デ・アンジェリス |
Honda |
1'39.932 |
9 |
中野 真矢 |
Honda |
1'40.333 |
10 |
L・カピロッシ |
Suzuki |
1'40.442 |
11 |
C・バーミューレン |
Suzuki |
1'40.576 |
12 |
A・ウエスト |
Kawasaki |
1'41.026 |
13 |
S・ギュントーリ |
Ducati |
1'41.177 |
14 |
M・メランドリ |
Ducati |
1'41.292 |
15 |
T・エリアス |
Ducati |
1'41.311 |
16 |
D・ペドロサ |
Honda |
1'41.699 |
17 |
N・カネパ |
Ducati |
1'42.160 |
18 |
J・ホプキンス |
Kawasaki |
1'42.970 |
19 |
O・ジャック |
Kawasaki |
1'43.496 |
20 |
V・グアレスキ |
Ducati |
1'45.597 |
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