|  今週末、バレンシアにおいて開催されたスーパーバイク世界選手権の公式テストは3月13日、その日程をすべて終了。ヤマハ・モーター・イタリアの芳賀紀行とA・ピットはともに好調でラップタイムではトップ8に入った。
2週間前に行われた開幕戦、カタール大会で既にポテンシャルを披露した2005年仕様のヤマハYZF-R1。今回のテストではさらに総合的な強化を図るべくフロントエンドのジオメトリーを中心に改善に取り組んだ。
 
 
|  |   高温・低湿の絶好の天候に恵まれたにもかかわらず、路面状況が不安定でトラクション不足に悩まされた芳賀とピット。しかし、そうした厳しい条件のなかでもふたりは、最速ラップタイム、レース距離での安定性ともに目覚ましい進歩を見せた。芳賀はこの2日間で115ラップを走行し、ベストラップでは1分36秒347の6位。またピットは合計127ラップで1分36秒766、8位の記録を残した。
一方、ヤマハ・モーター・フランスのS・ジンバートは合計125ラップを走り込んで1分37秒305のタイムで15位。チームメイトの阿部典史は、YZF-R1に慣れようと、140分 x 4回のセッションで参加者中最多の157ラップを走行。ベストラップは1分37秒347、18位となった。またプライベート参戦のL・カルドソは1分36秒443で7位につけた。
 その他のライダーではT・コルサー(スズキ)がトップタイムの1分35秒566を記録。2番手にはコルサーのチームメイト、加賀山就臣がつけた。スーパーバイク世界選手権第2戦は4月3日、オーストラリアはフィリップアイランドで開催される。
 
 
 芳賀紀行選手談:「カタールの時より気分良く走れた。これはとても良いことだと思う。フロントまわりにいくつか変更を行い、これが功を奏したようだ。とくに最終日の最終セッションは収穫が大きく、かなり強気で攻めていけたしタイムも上がった。予選タイヤのフィーリングもとても良かったが、今日は路面コンディションがひどかったので、まだどれかに決めるのは早いようだ」
 
 ベストタイム:1分36秒347 周回数:115Laps
 
 
 A・ピット選手談:「カタールのあと、また大きく一歩、前進した。でもタイムシートを見てみれば、スズキの2台に追いつくためにはまだまだ課題があることがわかる。今回はフロントエンドのフィーリングは良かったが、トラクションに問題があった。とくに今日の午後のセッションでは、まるで今までとはまったく違うバイクに乗っているような感覚だったんだ」
 
 ベストタイム:1分36秒766 周回数:127 Laps
 
 
 
 
|  |  S・ジンバート選手談:「今回はラップタイムを追求することはそれほど重要ではない。代わりにいくつかのトライを行ってみたんだ。その結果とても乗りやすいマシンになり、必要なところでは積極的にプッシュすることもできた。そして最終的には、気になっていたフロント・サスペンションの問題も解決できたんだ。もしもっと早くこれができていたら、もちろんラップタイムも上がっていただろうけど」
 ベストタイム:1分37秒305 周回数:125 Laps
 
 
 
 阿部典史選手談:「18位というのは良くなかったけど、今回はタイム追求が目的じゃなくて次のレースに備えてのマシンテストが重要な課題。実際、初日の午前中はカタールと同じセッティングで走行してフィーリングも良く、タイムでも6番手だった。でも他の3つのセッションでは通常のテストプログラムに入ったので、パーツやセッティングの変更をたくさん試した。そのなかの幾つかは上手くいき、幾つかは上手くいかなかった。この2日間で、またマシンの事がよく分かってきたから成果は大きい」
 ベストタイム:1分37秒347 周回数:157 Laps
 
 
 M・メレガリ、ヤマハ・モーター・イタリアのチーム・コーディネーター談:「収穫は大きかった。今回はいくつかの新しいパーツをテストのために持ち込んでいたが、そのほとんどすべてが期待通りの成果を挙げたからだ。それに今日はノリが初めて、「すごく良くなった」と言ってくれたんだ。ポジティブな気持ちでフィリップアイランドに乗り込める」
 
 
 
 バレンシアテストタイム 
 
| 1 | T・コルサー(Suzuki) | 1:35.566 |  
| 2 | 加賀山就臣 (Suzuki) | 1:35.698 |  
| 3 | C・バーミューレン (Honda) | 1:35.724 |  
| 4 | R・ラコーニ (Ducati) | 1:35.881 |  
| 5 | K・ムゲリッチ(Honda) | 1:36.084 |  
| 6 | 芳賀紀行 (Yamaha) | 1:36.347 |  
| 7 | J・L・カルドソ (Yamaha) | 1:36.443 |  
| 8 | A・ピット (Yamaha) | 1:36.766 |  
| 9 | C・ウォーカー (Kawasaki) | 1:36.793 |  
| 10 | P・キリ (Honda) | 1:36.813 |  
| 15 | S・ジンバート (Yamaha) | 1:37.305 |  
| 18 | 阿部典史 (Yamaha) | 1:37.347 |  
 
 
  なお、ヤマハ・モーター・ジャーマニー・スーパースポーツ・チームのB・パークスとK・カーテンは、今週末、バレンシアで2005年型YZF-R6をテスト。ラップタイムではそれぞれ3位と4位につけ好調をアピールした。開幕戦カタールでは4位と6位の成績を残した同チーム。今回はおもにハンドリング特性に関連するフロントフォークのセッティングをいくつか試してみた。90分 x 4回の走行時間、ふたりはレースペースでコンスタントに走行。パークスは、カタールでは完治していなかった手の怪我も今回はほとんど影響がなく合計104ラップを走って1分38秒804を記録。カーテンは初日に転倒したため、合計82ラップに留まり1分38秒913の記録となった。トップタイムを記録したのはS・シャルペンティエ(ホンダ)。2番手に藤原克昭(ホンダ)が続いた。スーパースポーツ世界選手権第2戦は4月3日、フィリップアイランドで開催予定。 
 
 スーパースポーツ世界選手権 バレンシアテストタイム 
 
| 1 | S・シャルペンティエ (Honda) | 1:37.880 |  
| 2 | 藤原克昭 (Honda) | 1:38.178 |  
| 3 | B・パークス (Yamaha) | 1:38.804 |  
| 4 | K・カーテン (Yamaha) | 1:38.913 |  
 
 
B・パークス選手談:「今回はマシンがいつにも増して良く走り、またカタールでの3日間よりもこの2日間のほうが進歩が大きかった。手の骨折も良くなっている。100%とは言えないけれど、とにかくまた前のように速く走れるというのが嬉しい。ラップタイムは安定していて、フロントタイヤがレース距離を問題なく走ってくれた。午後はもっとタイムを上げられると思っていたが、風が強くなってきてしまって実現できなかった。」
 ベストタイム:1分38秒804 周回数:104Laps
 
 
 
 K・カーテン選手談:「夕べは夜を徹してサスペンションまわりの改善に取り組んだ。そして今日、そのおかげでリアのグリップ感がかなり良くなったんだ。新しいマシンだからサスペンションのテストは非常に重要で、徹底してやらなければならない。ひとつひとつ上ってきて、評価できるところに到達したと思う。クラッシュはかなり激しかった。ピットを離れて数周、5コーナー進入で振り落とされた。火曜日にオーストラリアへ帰り、フィリップアイランドに臨む。地元だからとても楽しみにしている」
 ベストタイム:1分38秒913 周回数:82 Laps
 
 
 T・ティエン、ヤマハ・モーター・ジャーマニー・チーム監督談:「チームの全員が今の状況に満足していると思う。シャシーまわりが改善され、カタールで経験したようなフロントタイヤの摩耗がなかったことが、とくに大きな収穫だ。ブロックの怪我もかなり良くなり、実に18か月ぶりにチームメイトのタイムを上回った。たがいに切磋琢磨できるライダーがいるということは素晴らしい。ふたりともオーストラリア人だから、次のレースが待ち遠しくてしかたがないようだ」
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