第52回日本選手権 第2戦 - 試合日程・結果
第52回日本選手権 第2戦:サントリー戦の結果をご報告します。
試合レポート
ヤマハスタイルを貫き、創部33年目にして初の日本一の栄冠に
今年度のファイナルに勝ち上がってきたのは、スタイルを持った2チーム。プレーを切ることなく攻撃を長く継続するサントリーと、スクラムを軸に決定力あるBKを活かすヤマハによる頂上対決となった。
穏やかな天気に恵まれ、約1万5千人が見守る中、午後2時に日本ラグビーの聖地、秩父宮ラグビー場にて、大田尾選手のキックオフから試合が始まった。
開始早々にスクラムの場面。ヤマハがスクラムにボールが入る前に押した反則となるが、「体を当てた瞬間にいけると思った」(大戸選手)とヤマハFWは手ごたえをつかむ。
サントリーの攻撃を堅いディフェンスで防ぎ、相手が反則。五郎丸選手のタッチキックで相手陣に入ると、ラインアウトからトゥイアリイ選手、日野選手、大戸選手らFWが果敢に突進を繰り返す。7分、相手ディフェンスをFW周辺に引き寄せ、BKに展開。サウ選手が力強い突進をみせてトライ。五郎丸選手のゴールも決まり7-0と先制点を奪う。
13分、スクラムを押し込み、矢富選手が攻撃を仕掛ける。相手の反則を誘い、五郎丸選手が42mのペナルティーゴールを決め、10-0とリードを広げる。
しかし、19分にサントリーが得意の連続攻撃を続け、ヤマハ陣に攻め込む。ヤマハはオフサイドの反則により、ピシ選手にペナルティーゴールを決められ、10-3となる。
サウ選手の突破や、伊東選手が相手ボールを奪い返すなど、相手陣でのゲームを続ける。サントリーゴール正面でペナルティーを得るが、五郎丸選手はタッチキックを選択する。ラインアウトからモールを押し込むがトライは認められなかった。
26分、ヤマハボールのスクラムから再開となり、大田尾選手が大きく展開。五郎丸選手からのパスを受けたウィングの中園選手が左隅に飛び込みトライ。15-3とする。
大田尾選手のキックをサントリーの日本代表・畠山選手にチャージされ、ピンチになる場面もあったが、早い反応で脱出。32分にサントリーのキーマン、デュプレア選手が一時退場となる。好機であったが、攻め急ぎ、ヤマハは相手ゴール前に迫るも、追加点を奪えない。逆にサントリーの松島選手が快足を飛ばし、ヤマハゴールに迫る。五郎丸選手が渾身のタックルで松島選手と止め、前半が終了となる。
後半はサントリーのキックオフで試合が再開される。サントリーの真壁主将がパワフルな突進を見せ、ヤマハ陣に迫る。しかし、堀江選手のビッグタックルで連続攻撃を寸断すると、ヤマハが反撃。五郎丸選手がドロップゴールを狙うがクロスバーならず、得点を追加できない。
後半10分、ヤマハにとって最大のピンチの場面が訪れる。ハイパントのキックを追いかけた五郎丸選手が、空中で相手選手と接触。危険なプレーと判定、10分間の一時退場を余儀なくされる。
1人少ないヤマハに、サントリーが猛攻撃を開始する。ピシ選手らがヤマハゴール1m手前までボールを持ち込むが、三村主将をはじめ、体を張ったディフェンスで対抗する。相手がミスしたボールを大戸選手が拾い、トゥイアリイ選手が突進。矢富選手にボールが渡ると華麗なステップを切って一気にサントリー陣に駆け込む。相手スクラムハーフのデュプレア選手が追いついて懸命のタックル。見ごたえある対決に会場が大いに沸く。
サントリーは自陣からもアタックを展開するが、三村主将のチャージや、日野選手が相手ボールを奪い返すなど、サントリーに決定的なチャンスを与えない。18分に大田尾選手がドロップゴールを狙うが、失敗。しかし、時間を有効に使い、相手陣でのゲームを続けることに成功し、五郎丸選手をピッチに戻した。
ヤマハは11年目のベテラン山村選手、ディフェンス力の池町選手、破壊力あるピウタウ選手とハビリ選手をピッチに送り込む。勢いを増したヤマハはスクラムを押し込み、相手の反則を誘う。五郎丸選手のタッチキックで相手陣に入る。ラインアウトから展開を続け、大田尾選手がクリシュナン選手にキックパスを放つ。惜しくもトライには結びつかない。さらに、34分に相手反則から五郎丸選手がペナルティーゴールを狙うが、失敗。しかし、相手陣でのゲームを続け、優勝の二文字が現実味を帯びていく。
サントリーは最後の力を振り絞り、塚本選手が疾走。伊東選手と大田尾選手が懸命のタックルで追いつく。そのこぼれ球をサントリーのバーガー選手が拾い、ヤマハインゴールにタッチダウン。しかし、麻生レフェリーは、その前の塚本選手のプレーをノックオンと判定。ヤマハボールでのスクラムとなり、残り時間は1分を切る。
そのスクラムでヤマハは圧力をかけると、相手が反則。最後は五郎丸選手がボールを高々とメインスタンドに向かって蹴り込み、感動のノーサイド。ヤマハ発動機ジュビロの歴史にとって、初の日本一が決まった瞬間となった。
試合後、清宮監督は「優勝にふさわしいチームに成長した。そこに至るまでに4シーズンは必要な時間だった。土台を作り、一つ一つ階段を登り、そして、このステージを迎え、自分たちの力で優勝を勝ち取った。積み重ねてきた強みがある。そして、このチームはまだまだ成長するチーム。ここからがスタートだ」と、ヤマハの黄金時代を作る決意を口にした。
三村主将は「積み重ねてきたことが間違っていなかったことを証明できた試合。今シーズンは声をだすことを意識して取り組んできたが、その声を切らさず、特にディフェンスの場面で声を掛け合って対応できたことが勝因の一つ。」と、4年間の積み重ねと春からの取り組みの成果を強調した。
52回を数える日本選手権に新たなチーム名を刻み、スタンドを埋め尽くした応援者と感動の瞬間を存分に味合うことができた最高の今季のファイナルマッチとなった。
※パスを放つ五郎丸選手
三村主将
「積み上げてきたことを出し切ることができた決勝戦になりました。全員がヤマハスタイルを徹底し、それぞれの責任を全うしてくれました。サントリーさんはアタック力がありましたが、最後までディフェンスで集中を切らさず、声を出し続けることができたのが勝因です。たくさんの応援、有難うございました。」
試合詳細・メンバー
ヤマハ発動機ジュビロ | |
1 | 山本幸輝 |
2 | 日野剛志 |
3 | 田村義和 |
4 | 大戸裕矢 |
5 | デューク・クリシュナン |
6 | モセ・トゥイアリイ |
(7) | 三村勇飛丸 |
8 | 堀江恭佑 |
9 | 矢富勇毅 |
10 | 大田尾竜彦 |
11 | 中園真司 |
12 | マレ・サウ |
13 | 宮澤正利 |
14 | 伊東力 |
15 | 五郎丸歩 |
16 | 加藤圭太 |
17 | 岸直弥 |
18 | 山村亮 |
19 | 八木下惠介 |
20 | 山路和希 |
21 | 池町信哉 |
22 | シアレ・ピウタウ |
23 | ハビリロッキー |
交替・入替 | ||
種類 | 時間 | 背番号 |
入替 | 後半25分 | 3→18 |
入替 | 後半29分 | 9→21 |
入替 | 後半29分 | 11→23 |
入替 | 後半29分 | 12→22 |
入替 | 後半39分 | 2→16 |
前半 | ||
2 | T | 0 |
1 | G | 0 |
1 | PG | 1 |
0 | DG | 0 |
15 | 合計 | 3 |
後半 | ||
0 | T | 0 |
0 | G | 0 |
0 | PG | 0 |
0 | DG | 0 |
0 | 合計 | 0 |
15 | 合計 | 3 |
サントリー | |
1 | 金井健雄 |
2 | 青木佑輔 |
3 | 畠山健介 |
4 | 篠塚公史 |
(5) | 真壁伸弥 |
6 | 西川征克 |
7 | 佐々木隆道 |
8 | 竹本隼太郎 |
9 | フーリー・デュプレア |
10 | トゥシ・ピシ |
11 | 村田大志 |
12 | 中村亮土 |
13 | 松島幸太朗 |
14 | 長友泰憲 |
15 | 塚本健太 |
16 | 小澤直輝 |
17 | 石原慎太郎 |
18 | 垣永真之介 |
19 | 辻本雄起 |
20 | スカルク・バーガー |
21 | 日和佐篤 |
22 | ニコラスライアン |
23 | 竹下祥平 |
交替・入替 | ||
種類 | 時間 | 背番号 |
入替 | 後半0分 | 3→18 |
入替 | 後半10分 | 12→22 |
入替 | 後半22分 | 1→17 |
入替 | 後半25分 | 8→20 |
入替 | 後半25分 | 9→21 |
交替 | 後半25分 | 5→19 |
入替 | 後半39分 | 11→23 |
入替 | 後半39分 | 2→16 |
得点経過
前半 | チーム | 選手 | 種類 | 得点 ヤマハ-サントリー |
7分 | ヤマハ発動機 | (12)マレ・サウ | T | 5-0 |
8分 | ヤマハ発動機 | (15)五郎丸歩 | G | 7-0 |
13分 | ヤマハ発動機 | (15)五郎丸歩 | PG | 10-0 |
20分 | サントリー | (10)トゥシ・ピシ | PG | 10-3 |
26分 | ヤマハ発動機 | (11)中園真司 | T | 15-3 |
27分 | ヤマハ発動機 | (15)五郎丸歩 | Gx | 15-3 |
後半 | チーム | 選手 | 種類 | 得点 ヤマハ-サントリー |
3分 | ヤマハ発動機 | (15)五郎丸歩 | DGx | 15-3 |
18分 | ヤマハ発動機 | (10)大田尾竜彦 | DGx | 15-3 |
35分 | ヤマハ発動機 | (15)五郎丸歩 | PGx | 15-3 |
ヤマハ発動機ジュビロ(ラグビー)
清宮監督
「ヤマハラグビーを見事に体現してくれました。素晴らしい選手たちです。今シーズンは一戦一戦で成長することができ、先のトップリーグ決勝で敗れたことも成長の糧にできました。このチームは、まだまだ伸び盛りのチームです。今シーズンも、たくさんの熱き応援に感謝しています。有難うございました。」