関西社会人ラグビーAリーグ戦 第7戦 - 試合日程・結果
関西社会人ラグビーAリーグ戦 第7戦:神戸製鋼戦の結果をご報告します。
関西社会人ラグビーAリーグ戦 第7戦
11/30(土) 14:00
:近鉄花園ラグビー場
ヤマハ発動機 25
前半 22-0
後半 3-21
21神戸製鋼
試合レポート
関西社会人Aリーグ、全勝優勝!!
11月30日(土)関西社会人Aリーグはこの日の1試合を残し全日程を既に終了していた。 そしてこの1戦はここまで無敗のヤマハとそれを追う1敗の2チーム、3チームの優勝争いだとしきりに取り上げられ、周囲の注目を集めていた。キックオフを前に地元磐田を早朝からバスで出発した大応援団、ラグビー部OB、家族らがグラウンドを埋め尽くす。Aリーグに昇格して5年目のヤマハにとって最終戦の対戦相手は過去4年間1度も勝ち星をあげたことのない王者神戸製鋼、このチームに全勝で望む、これぞ最高の舞台。試合前選手達にはどれほどの緊張とプレッシャーがあったのだろう。しかし前節から2週間、その気配を見せた者はひとりとしていなかった。むしろそんな舞台だからこそ「早く試合がしたくてしかたがない」そんな空気が流れていた。
午後2時ヤマハのキックオフで試合は始まった。開始からヤマハは落ち着いていた。ディフェンスではボールをもった選手に対して二人がかりのタックルを決め、神戸製鋼に思うようなボールコントロールをさせず、逆に奪ったボールからはキックや縦突進など多彩 なアタックで相手ディフェンスを切り崩す。まさにヤマハがゲームをコントロールしながら時間が流れた。
そして15分チャンスはやって来た。自陣での相手ボールスクラムからボールを奪う。そしてこの日も冴えるSH村田の左足キックで敵陣へと大きく地域を進めた。さらに敵陣ゴール前22m右位 置での相手ボールラインアウトをも奪いSH村田が、この日はCTBで出場のソトゥトゥへパスを繋いだ。ソトゥトゥの突進に神戸製鋼は堪らずペナルティ。ゴール前中央の位 置でのペナルティキックをSO堀川がなんなく決めて待ち望んだ先制点をあげた。続いて18分敵陣ゴール前5m右位 置でFWがモールをじりじりと押す。SH村田が左へ展開、SO堀川からまたしてもCTBソトゥトゥが豪快に縦突進。できたラックからSH村田が自らゴールポスト横へ持ち込んだ。しかし惜しくもトライならず。であればとその2分後、ゴール前5m中央でのスクラムからNO.8木曽がサイドアタック、ラックからのボールをSH村田が右へ捌いた。待っていたのはやはりこの男ソトゥトゥ。ボールを持つや否や、4人がかりのタックルにも動じず右中間へ飛び込んだ。恐るべし文句なしのトライにゴールキックも決まり10-0とした。 さらに神戸陣内で試合は進む。5分後の26分、ゴール前22m右のラインアウトをしっかりキャッチ、SH村田からSO堀川、CTBソトゥトゥへと繋ぎゴール前中央にラックを形成、右後方からの気配を感じたSH村田が振り向きざまにLOヘンショウへパス、そしてキャプテン久保へと繋ぎ右中間へトライ。この日も正確なSO堀川のゴールキックが決まり17-0。もうヤマハの勢いは止まらない。30分には敵陣10m左ラインアウトからHO浜浦がライン際を突破、FWがモールを作りじわじわと進む。パスをもらったSO堀川はディフェンスに倒されてもなんのその、立ち上がってさらに22m中央へと大きく前進。ラックからのボールをSH村田からもらったのは、またしてもCTBソトゥトゥ。個人技で相手ディフェンスを抜き去りガッツポーズで右中間へトライ。22-0となった。ヤマハの多彩 な攻撃からトライが生まれる度にグラウンドは観客席からの両チームの応援団の歓声とどよめきに包まれた。予想をもしない展開だったのか、予想通 りの展開だったのか・・・。神戸製鋼をシャットアウトして前半を終了した。
ここまでのヤマハラグビーを見て誰もが「この調子でいけば良い」そう思ったに違いない。しかしただ一人、神戸製鋼を破った経験のあるベテラン村田は「前半を忘れよう」きっぱりと言った。王者の力がここで決して留まらないことは全員が知っていた。そんなシーンは何度も見てきた。今から始まる80分、得点は0、もう一度気持ちをリセットしたヤマハフィフティーンはロッカールームを後にした。
後半開始、引き続き落ち着いた崩れないヤマハのディフェンスは神戸のミスを誘う。3分には自陣10mで奪ったボールをFB四宮がスピードにのった巧みなステップで神戸のディフェンスを振り切り、みるみるハーフラインを超えた。ラックから出たボールをFL本間の突破でさらに進め、再びパスを受けたFB四宮はボールを蹴り上げた。インゴールに毀 れたボールをキャプテン久保が押さえるがトライならず。得点こそ動かないがヤマハがボールを支配し続けた。
しかし10分が経過した頃から神戸がヤマハ陣内に攻め込んでくる場面 が増えてきた。そして13分粘るヤマハディフェンスの隙をついて、ゴール左隅にトライを許す。神戸の応援団は待ち続けていた鬱憤をはらすかのように歓声をあげた。このトライを皮切りに王者は反撃を開始した。18分にはモールから、25分にはBKに右隅にトライを許し、気付けばスコアは22-21となっていた。残り15分で1点差、「底力」「自力の差」そうコメントされても仕方がなかったかもしれない。しかし勝つために神戸に得点を許せるのはスコア通 りここまでだった。後にPR中越は、1点差に詰寄られた瞬間ですら「負ける気はしなかった」と語った。周囲がざわめく中、誰よりも冷静だったのはグラウンドに立つ選手だったのだろう。その次の瞬間には途中交代で入ったばかりのHO中林の力強い突進から神戸陣内へ攻め込み、ゴール前中央でペナルティを奪った。30分、SO長谷川がきっちり決めて25-21。さらに神戸ゴールに襲いかかり再びペナルティゴールのチャンス。惜しくも外れるが、もうヤマハは何があっても慌てることはない。これまで見てきた神戸の劇的な結末は、ヤマハには通 用しない。ロスタイムが2分経過、SH村田が敵陣ゴール前タッチラインにボールを蹴りだした瞬間、ノーサイドの笛がなった。「優勝」グラウンドの選手は両手を空高く突き上げた。スタンドの選手は全員がグラウンド駆け込んだ。創部以来の「初優勝」そして無敵の「全勝優勝」この素晴らしい歓喜の瞬間を抱き合い、笑い、涙を流し全員で感じ、たたえあった。スタンドに響く惜しみない拍手、2002年11月30日、ヤマハは新しい歴史を作った。そして「台風の目」そう呼ばれたチームが真の強さ証明した。この日の勝利がさらなる戦いへ向けての大きな自信となり、ヤマハを「勝つ」チームから「勝ち続ける」チームへ向かう扉を開いた。頂点に向かってヤマハラグビー部はまた走り始めた。
試合詳細・メンバー
ヤマハ発動機 | |
1 | 高木重保 |
2 | 浜浦幸光 |
3 | 中越将通 |
4 | ティム・ヘンショウ |
5 | 勝又貴光 |
6 | 久保晃一 |
7 | 本間俊治 |
8 | 木曽 一 |
9 | 村田 亙 |
10 | 堀川隆延 |
11 | 山崎友和 |
12 | ワイサキ・ソトゥトゥ |
13 | 今利貞政 |
14 | 西村 弥 |
15 | 四宮洋平 |
交替・入替 | ||
種類 | 時間 | 背番号 |
出血時一時交代 | 前半2分 | 6→18 中野大介 |
交代 | ハーフタイム | 14→22 奥 亙 |
交代 | 後半10分 | 10→21 長谷川賢 |
交代 | 後半19分 | 2→17 中林正一 |
交代 | 後半24分 | 1→16 宮田博満 |
交代 | 後半28分 | 4→18 中野大介 |
交代 | 後半28分 | 7→19 アリフェレティ・ドビベラタ |
負傷交代 | 後半40分 | 3→1 高木重保 |
前半 | ||
3 | トライ | 0 |
2 | ゴール | 0 |
1 | ペナルティG | 0 |
0 | ドロップG | 0 |
22 | 合計 | 0 |
後半 | ||
0 | トライ | 3 |
0 | ゴール | 3 |
1 | ペナルティG | 0 |
0 | ドロップG | 0 |
3 | 合計 | 21 |
25 | 合計 | 21 |
神戸製鋼 | |
1 | 南條賢太 |
2 | 松原裕司 |
3 | 清水秀司 |
4 | 池上王明 |
5 | 冨岡 洋 |
6 | ディーン・アングレッシィー |
7 | 小村 淳 |
8 | 伊藤剛臣 |
9 | 苑田右二 |
10 | アンドリュー・ミラー |
11 | 増保輝則 |
12 | 元木由記雄 |
13 | 竹下敬介 |
14 | 大門隼人 |
15 | 八ツ橋修身 |
交替・入替 | ||
種類 | 時間 | 背番号 |
出血時一時交代 | 前半11分 | 7→18 野澤武史 |
交代 | 前半28分 | 5→19 ブレア・ラーセン |
交代 | 後半28分 | 6→18 野澤武史 |
交代 | 後半24分 | 7→20 川上利明 |
出血時一時交代 | 後半28分 | 19→21 今村友基 |
交代 | 後半31分 | 3→17 石井良昌 |
ヤマハ発動機ジュビロ(ラグビー)