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ヤマハ発動機と富士通がIoTを活用したセーリング470級の帆走性能向上に向けた実証実験を開始

2019年3月11日発表

 ヤマハ発動機株式会社(本社:静岡県磐田市、代表取締役社長:日髙祥博、以下 ヤマハ発動機)と富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中達也、以下 富士通)は、IoTの活用により470(ヨンナナマル)級と呼ばれるセーリング競技用小型ヨットのパフォーマンス向上に向けた実証実験を2019年3月13日から4月30日の間、静岡県の浜名湖にて実施します。
 本実証実験では、艇体の各部に取り付けた各種センサーや装置にてセンシングしたデータを富士通のクラウドサービスで解析することで、ヨットの傾きや速度、針路のデータなどを可視化します。その結果を基に、ヨットのパフォーマンス向上に必要な調整項目を洗い出し、ヨットの帆走性能および選手のセーリングスキル向上に役立てます。これらを繰り返すことで、艇体構造、マスト(帆柱)、セール(帆)といったヨットのチューニング(以下、チューニング)に加え、選手の動作が艇速へ与える影響をデータとして把握でき、より高いパフォーマンスを実現する最適なチューニングを導き出すことを目的としています。
 今回、本実証実験を含めた活動の名称を「Project 470 Sailing Analysis(プロジェクト 470 セーリング アナリシス)」とし、両社で取り組みを推進していきます。本活動を通じて、より高いパフォーマンスを発揮できるヨットおよびボートの開発基盤を構築し、グローバルにおけるマリン市場のさらなる発展に寄与していきます。


背景

 セーリング470級は、全長470cmの2人乗り小型ヨットを操るセーリング競技です。舵取りとメインセール(主帆)を調節するスキッパーと、船の傾き調整とジブセール(前帆)の操作を担当するクルーにより、海上に設置されたブイを順に回り順位を競います。国内では大学や実業団のヨット部の多くに採用されており、世界でも多くのセーラーが世界選手権をはじめ、国際レースでの上位入賞を目指し活動しているクラスです。
 建造においてはワンデザイン(同一の設計)が基本で、国際470協会の審査によってライセンスを付与された建造者が「International 470 Class Rules」に基づいて建造しており、現在、国内ではヤマハ発動機を含む2社がライセンスを所有し生産しています。
 470級ヨットの設計・建造規格は厳格に定められており、その限られた許容範囲の中で、いかに帆走性能を向上させるか、艇体、セール、マストなどヨットを構成する様々なチューニングが開発上の最重要課題となっています。

実証実験の概要

1. 実験期間

 2019年3月13日(水曜日)から4月30日(火曜日)

2. 実施場所

 静岡県 浜名湖

3. 実証内容

 本実証実験では、チューニングや選手の動作が帆走性能に及ぼす影響を明らかにし、結果としてセーリング時の風速、波浪など海上の状況や選手の体格に応じた最適なチューニングを導き出すことを目的とします。
 1.ヤマハ発動機社製の470級ヨットの艇体に、富士通が開発した艇体の姿勢を計測する9軸センサー(加速度、ジャイロスコープ、地磁気)と艇速や位置・針路を計測するGPSセンサーを搭載した装置を取り付け、帆走中にセンシングしたデータを収集し、富士通のクラウドサービスで解析することで、艇体の速度や針路、姿勢などを可視化します。
 2.ヤマハ発動機によって取り付けられた470級ヨットのラダー(舵板)にかかる力を測定する応力センサーからのデータと、伴走する計測艇に取り付けられた風向風速センサーによって得られた海上の風向きと風速のデータを富士通のクラウドに記録します。
 3.上記1、2のデータを統合し、アプリケーション上に表示された解析結果をもとに、チューニングと選手の動作ごとのセーリングパフォーマンスとの相関関係を分析します。

4. 両社の役割

・ヤマハ発動機
 各種センサーや富士通が開発した分析結果を表示するアプリケーションを用いて、ヨットの帆走性能の計測とチューニングを繰り返し実験します。また、本実証実験を通じて蓄積した知見やノウハウをヨットやボートの開発基盤強化に活用し、470級ヨットの市場投入を皮切りとしてマリン市場のさらなる発展に寄与していきます。

・富士通
 船艇に取り付けた各種センサーから取得したセンシングデータを富士通のクラウド上で解析し、艇体の速度や針路、姿勢として可視化します。それらのデータから分析した様々な結果を、数値やグラフ、海上地図などの形式でパソコンやスマートデバイスに表示するアプリケーションを開発し、ヤマハ発動機へ提供します。これにより、ヤマハ発動機の470級ヨットの開発を支援します。

実証実験のイメージ図

今後について

 今後、両社は、ヨットの挙動のほか、選手によって動かされるセールの動きや選手の身体の動きのデータなども取得していく予定です。また、ヤマハ発動機は、本実証実験により得られた知見やノウハウを活かし、最高の帆走性能を実現する470級ヨットの開発とセーリングパフォーマンスのさらなる向上を目指します。

商標について

 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

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