98年8月1日、琵琶湖東岸の彦根市松原水泳場で「第22回鳥人間コンテスト」が開催され、ヤマハ発動機の人力飛行機同好会「チーム・エアロセプシー」(代表・鈴木正人)の「極楽とんぼ」(パイロット・中山浩典)が、圧倒的な飛行で総合優勝を飾るとともに、大会記録を大幅に更新した。
8月1日午前9時5分、人力プロペラ機部門の8番機としてプラットホームに立った「極楽とんぼ」は、晴れ・北西の風1~2m/S・気温29度という絶好のコンディションのなか、完璧な離陸で琵琶湖の大空へと飛び立った。
機体は正対の風(向かい風)を受け北西に向かうスタートだったが、20分過ぎあたりから風向きが微妙に振れ始め、ルートを変更し北上するかたちとなった。17km地点の竹生島の東を通過したあとも、安定したフライトでぐんぐん飛行距離を伸ばし、午前10時、23km先の琵琶湖最北端に近い西浅井町付近の海岸手前20mの地点に無事着水。飛行時間は54分33秒の大フライトだった。
この結果、これまでの大会記録(9,761.56m)を大幅に上回る23,688.24mという驚異的な大記録を達成し、4度目の総合優勝を果たすとともに、鳥人間たちの長年の夢であった“対岸”に、ついにたどり着いた。
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