ヤマハ発動機株式会社の人力飛行機同好会「チーム・エアロセプシー」(代表・鈴木正人)では、人力飛行機「極楽とんぼ」による長距離飛行日本新記録の更新を目指し、本年5月に記録飛行を行います。
この人力飛行機とは、機体に取り付けられた自転車をこぐことによってプロペラを回転させ、揚力と推進力を生みながら飛行するもので、毎年夏に琵琶湖で開催される「鳥人間コンテスト」は大きな人気を集めています。
これまでの人力飛行機による長距離飛行の日本記録は、1992年(平成4年)5月に、わが「チーム・エアロセプシー」が記録した4、436mですが、今回はこの記録を大幅に上回る12、000mを目標としています。
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日本記録更新への挑戦・計画概要 |
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記録飛行日程 平成10年5月1日(金) |
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人力飛行機の飛行は気象条件に大きく左右されます。そのため当日、雨や風など気象条件が悪く飛行が不可能な場合は順次日程を順延し、平成10年5月31日(日)までの間に再挑戦いたします。 |
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記録飛行コース |
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静岡県浅羽町の同笠(どうり)海岸をスタート、遠州灘に面した海岸線上を飛行し続け、約12km先の静岡県大東町の菊川河口に着陸する予定です。なお、当日の風向きにより、逆のコースに変更することもあります。 |
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当日のスケジュール |
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3:00AM |
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現地集合、機体および資材の移動 |
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海岸にて風速測定。飛行可能コンディションの場合、準備開始 |
4:00AM |
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機体組立て開始 |
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4:30AM |
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組立て完了、待機 |
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コンディション最良となった場合にスタート |
7:00AM |
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この時点でコンディション不良の場合、待機しても風が止む可能性は少なく、当日の挑戦は中止とします。ただし、これ以前に風が強まった場合は、その時点でその日の飛行は中止とします。 |
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目標距離 約12、000m (飛行時間は約40分程度) |
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この12kmは現在の日本記録の約3倍弱の距離となります。
なお、当日は日本航空協会より公式立会人が立会い、後日、同協会より公式記録として認定されます。 |
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ご参考 |
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■ 現在の人力飛行機による飛行距離日本記録 |
・ チーム |
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「チーム・エアロセプシー」 |
・ 記 録 |
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4、436.70m |
・ 月 日 |
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1992年5月22日 |
・ 場 所 |
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静岡県磐田郡福田海岸から磐田市鮫島海岸まで |
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人力飛行機<極楽とんぼ>について |
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仕様諸元 |
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機体 |
「極楽とんぼ」 |
翼長 |
32.0m |
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翼面積 |
28.4㎡ |
全長 |
7.0m |
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プロペラ直径 |
2.7m |
機体重量 |
32.0kg |
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パイロット体重 |
67.0kg |
全備重量 |
99.0kg |
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「極楽とんぼ」の技術的特徴 |
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複合材料(カーボンファイバー)を使用した軽量構造と高剛性
洗練された空力デザインによる高い空力性能と操縦性
コンピュータ解析で設計した高効率可変ピッチプロペラを装備し、適正ピッチの選択によるパワーロスの低減 など |
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その他 |
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今回の機体は、昨年の琵琶湖での「鳥人間コンテスト」が台風の影響で中止になったため、そのまま挑戦機として使用するものです。今回の挑戦に備え、のべ約50回のテスト飛行(静岡県富士市・富士川滑空場)を実施しています。 |
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「チーム・エアロセプシー」について |
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メンバー構成 |
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現在のメンバーは14名、全員がヤマハ発動機(株)の技術系社員で、平均年齢は35歳です。チームは先輩や後輩、寮生、遊び友達などの仲間からスタートしました。なお、チーム名の「エアロセプシー」とは"気流感覚"を意味します。 |
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メンバーの活動 |
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メンバーそれぞれは業務とは別に、あくまでプライベートな時間を活用して活動しています。したがって、組立作業やテスト飛行などは勤務終了後の夜間や休日、各自の有給休暇内などで活動しています。 |
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鳥人間コンテストにおけるチームの主な成績 |
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大 会 |
開催年 |
部 門 |
成 績 |
飛行距離(m) |
パイロット |
10回大会 |
1986年 |
プロペラ機 |
優 勝 |
512.2 |
田中紀彦 |
10回大会 |
1986年 |
プロペラ機 |
第2位 |
286.1 |
鈴木正人 |
12回大会 |
1988年 |
滑 空 機 |
第2位 |
214.9 |
鈴木正人 |
14回大会 |
1990年 |
プロペラ機 |
第3位 |
513.7 |
中山浩典 |
16回大会 |
1992年 |
プロペラ機 |
優 勝 |
2019.7 |
中山浩典 |
16回大会 |
1992年 |
滑 空 機 |
優 勝 |
232.0 |
中村 克 |
19回大会 |
1995年 |
プロペラ機 |
優 勝 |
8764.0 |
中山浩典 |
20回大会 |
1996年 |
プロペラ機 |
第2位 |
7973.1 |
中山浩典 |
チームとしては7回大会(1983年)より参加 |
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