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トップメッセージ 2013年

経営陣からのメッセージです。

2013年1月7日

「らしさ」を極める・常識を変える

2012年の世界経済は、欧州経済危機・歴史的円高が続く中、急成長を続けてきた新興国経済が減速するという踊り場を迎えました。日本経済も、ついに景気後退に入りました。また、グローバル企業経営にとっては、中国との政治的問題や新興国における労働争議問題など、新たな課題も出てきました。

2013年は、相変わらず不透明な世界経済の中、私たちの新しい中期経営計画がスタートします。「1200万台・2兆円」を目指して、「どの市場で・何を武器にして・どう闘う」「どう収益力を上げる」という事業戦略を、社内で議論してまとめてきました。新しい中期経営計画を一言で表現すると、将来への持続的成長を図るために、お客さまの視点に立って「ヤマハらしさを極める・ヤマハの常識を変える」ということです。

「らしさ」を極める

ヤマハ発動機は、多様なビジネスを展開する中、それぞれのビジネスが個性豊かであることを大事にして、お客さまの期待を超えるようなモノ・サービスを提供することを目指してきました。今後も、これを企業経営観の太い幹にします。そして、さらに太い幹にするために、新しい市場・ビジネスを開拓して、ヤマハらしい「きらりと輝く」個性を創ることに挑戦し続けます。
まず、モノ創り面では、それぞれの市場において、攻略ポイントを焦点化・差別化することで競争に勝てるモノをつくります。これは、独創的なコンセプト提案、卓越した機能・性能のつくり込み、洗練された躍動感あふれるデザインなどの総合力によるものです。目標を、明確な技術の言葉・数値に置き換えて、挑戦します。
次に、マーケティング面では、市場現場でお客さまに密着した接点づくり、お客さまと強い絆をつくる接点づくりの工夫を続けて、「ヤマハでよかった・ヤマハにしたい」と共感してもらえるライフタイム・カスタマーを増やしていきます。商品提案・販売網づくり・販売促進活動・新機種導入など、明確なブランドビジョンと数値目標を持って取り組みます。また、今年は、新しいブランドビジョンを発信していきます。

常識を変える

常識というのは、組織で共有すべき知識・意見・判断力などですが、ある時点の社会通念であり、普遍的な真理ということではありません。今、巨大な潜在力を持つ新興国市場やそこでの新しい企業の出現によって、モノ創りが大きく変わろうとしています。また、成熟した先進国市場では、お客さまを囲い込もうとする企業間競争が激しくなっています。私たちは、私たちの仕事の常識がそんな事業環境に合致しているかどうかを見直して、常識を変えることに挑戦します。
1つ目は、コストです。従来、価値を加えて価格を上げるということが通用していましたが、今やそれは通用しなくなりました。新興国・先進国いずれの市場においても、価値を割り切る(市場水準に合わせる)・価値を加えてもコストを下げる、というモノ創りの努力が必須です。例えば、新機種開発の常識では、「新機種コスト=現行機種コスト+新しく加えた価値コスト」ということでコストアップを認めてきました。これでは、競争力がなくなります。「新機種コスト < 現行機種コスト」、つまり価値を加えてもコストを下げることが原則です。そのためには、基本機種のコストダウンを継続する、価値を見極め・置き換える、新しい価値をコストダウンする、などに取り組みます。また、製造の常識では、生産能力・品質向上のために、工程数を増やしていました。サイクルタイムを短縮すると同時に、集約する・置き換えるなど工程数を増やさない問題解決に取り組みます。
2つ目は、時間(リードタイム)です。例えば、新機種開発の常識では、過去の経験に基づく安全・安心な標準プロセスに固執していました。これでは、変化する市場における闘いの中では、スピード感なく競争力がありません。モノ創りのプロセスは、高品質を保証するために精度を高めると同時に、短くする・省く・置き換える・同時並行するなど、もっと工夫します。
3つ目は、組織や仕事です。組織や仕事は、過去の慣習や内向き志向が常識になっていたり、経営課題や社会的要求が複雑になったりして、細分化・分散・重複していることがあります。ムダをつくっています。省く・集約する・大きく括るなど改善を続けて、さらに構造的改革につなげます。わかりやすく、そして活力ある組織にする努力を続けます。

いずれの仕事も、「そこまでやる・そんなことまでやる」と自信を持って語れるくらい徹底したいと思います。それが、「極める・変える」ことにつながります。社員全員で、最大限の知恵を絞り、粘り強く取り組みます。

ヤマハ発動機株式会社
代表取締役社長 社長執行役員
柳 弘之


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