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トップメッセージ 2003年

経営陣からのメッセージです。

2003年1月9日

年頭記者会見
2003年の経営方針と事業計画について

1. 2003年の経営方針について

2003年の日本経済の先行きは依然厳しい状況であり、世界経済も予断を許さない状況です。そのためにも、今年は「利益体質への転換」を「実力として定着」させることが最大の課題と認識しています。
特に、新中期経営計画の2年目がスタートする年であり、4つの新中期経営課題への取組みを加速化させていきます。特定の地域や事業が減少しても、連結で売上・利益が拡大する方向に持っていきたいと思っています。
具体的な施策として、本年は、5つの重点テーマに取り組みます。

(1)「新中期経営課題」への取組み強化

利益体質への転換を確実なものとするために、「コストダウン30%」「アジア二輪車事業の基盤固め」「不採算事業の改革」への取組みを強化します。そして、その成果に応じて、投資にメリハリを付けていきます。
コストダウンにつきましては、新機種比率が高まる中SyS体制によるますますの効果が期待できること、中国部品活用のため、蘇州センターによる調達規模の拡大を目指すことです。
舟艇事業とPAS事業の不採算事業は、今後、新商品投入とともに事業ドメインや事業コスト圧縮に向けた改革を更に加速させていきます。
アジア二輪車事業は、引き続き4サイクル新商品を投入し、商品ラインナップを更に強化します。
また、アジア本部が昨年7月に本格稼動し、短期的にはアジア拠点の品質・コスト・供給の向上、中長期的には生産・開発・調達の地域戦略を実施し、事業競争力をさらに強化していきます。

(2)「成長戦略」の更なる推進

昨年、新動力源における「電動コミューター・パッソル」の製品化、次世代のモノづくりに貢献できる「アルミダイキャスト技術」の開発、小型エンジン戦略における「小型燃料噴射装置」の開発と125ccスクーターへの搭載など、コア技術の領域において当社の独自性溢れる先進的な開発が数多くできました。今年は、さらに次世代に繋がる技術開発に磨きをかけ、既存製品の競争力を強化していきます。

「グループ連結経営体制」への移行推進

新中期経営計画に基づき、グループ連結経営体制への移行を推進していきます。
具体的には、昨年の日本本部・アジア本部の地域本部設立に引き続き、今年より、IMカンパニーに続く、社内カンパニーを新たに設置しました。今後の大競争時代を生き抜くためには、本社の指示待ちではなく、個々の事業や地域の自立、特に意思決定のスピードアップと環境変化への対応力が鍵となります。

(4)「ヤマハバリュー21」の更なる浸透と実践

当社は、一昨年の5月より、全社員が共有する行動指針として、「ヤマハバリュー21」を導入しました。これは社員一人ひとりが具体的に行動できるように21項目の指針や基準でまとめたものであり、これを浸透・実践することで「利益追求志向」や「社会的責任のグローバルな遂行」を徹底させていきます。

(5)将来のヤマハ発動機を担う「市場価値のある人材」の育成

SyS体制による「モノづくり」に対し、将来の当社を担う「人づくり」を経営のミッションとして位置付けます。人の流動性が益々高まるなか人材育成への投資は重要であり、市場価値のある人材を目指しチャレンジする社員に対し、積極的にその「場」と「機会」を設ける人材育成プログラムを新たにスタートします。

2. 2003年の事業計画について

(二輪車)

二輪車事業全体としては、昨年229万台(前年比17%増)で、今年は更に20%増の277万台を計画しています。

(1) 国内は昨年21.9万台(前年比3.4%減)で、今年は前年並みの22万台を計画しています。
昨年の国内総需要は81万台と6年ぶりに前年比増加となり、2003年も微増の82万台を見込んでいます。昨年の当社は、大型スクーター・マジェスティ250や郵政車両分が増加したものの、50ccスクーターが減少し、前年比では微減でした。
今年は1月より10年以上の生産実績のある台湾製スクーターを導入し、高機能のリモコンジョグを皮切りに、高価格と低価格帯の両面から品質とコストをバランスさせたモデルを投入します。
50ccスクーターでは、年内に4モデル・約6万台を導入の計画です。さらに、電動スクーター「パッソル」も今春本格発売し、新たな需要層を開拓し、低下傾向の国内50ccクラスの梃入れを図っていきます。なお、昨年末「高速道路の二人乗り解禁」が先送りされたことは誠に残念です。日本市場はビッグバイクが適正(リーズナブル)に楽しめる欧州型の安定した市場になれば良いと考えており、その意味でも、規制緩和にむけ努力を続けていきます。

(2) 当社の海外出荷は、昨年は207.5万台(前年比19.7%増)で、今年は255万台(前年比2.8%増)を計画しています。うち、海外生産用部品は、昨年は前年比33.2%増の159.8万台、今年は更に同32%増の211万台を計画しています。

米国は、昨年の総需要はテロ後でも10%近い伸長でしたが、今年は3%レベルの伸長に留まる96万台と見込んでいます。昨年当社も、クルーザー・スポーツ・オフ系など各カテゴリーで大幅伸長し、前年比9%増の18.3万台と躍進しました。しかし今年は、需要伸長を下回る前年並みの18.5万台と慎重な計画にしているとともに、今後も、米国の小売り状況を注視していきます。

欧州の総需要は、2002年が185万台、2003年が182万台と微減を見込んでいますが、下げ止まった感じがします。当社出荷は、完成車輸出は減少しますが、フランス・スペインの現地生産は増加し、全体で、前年比3.4%減の35.5万台を計画しています。今年1年、昨年並みに在庫削減や商品投入出来れば、来年は楽しみな市場です。

アジアの総需要は、昨年が前年比7.6%増の2,010万台、今年は更に前年比5%増の2,110万台を見込んでいます。特に伸長が大きいのは、インドネシア(前年比12%増の264万台)、インド(同13%増の567万台)、タイ(同15%増の150万台)の3ヶ国です。なお、中国は大都市でナンバー規制が続き、昨年並の852万台と見込んでいます。
当社は、大きく出遅れており、昨年は前年比28.9%増の134万台と計画どおりの伸長が出来ました。今年はさらに前年比33.8%増の180万台を計画、失地回復を図っていきます。特に、4サイクル新商品の投入や経営権取得による梃入れ等で、インドネシア(前年比17%増の46万台)、インド(同41%増の41万台)、タイ(同22%増の19万台)での更なる伸長を見込んでいます。
また、ベトナムは、政府規制に不明朗な部分はあるものの、新商品が好調なことから、月産能力をこれまでの5,000台から12,000台に引き上げ、今年は前年比67%増の15万台を計画しています。中国は、昨年後半にXC125(9,000元代)、YBR125(6,000元代)など1万元以下の新商品を投入し、評価も高いことから、今年は前年比2.6倍の18万台を見込んでいます。

その他地域では、主に中南米と中近東・アフリカなどで、今年は、前年比16.8%増の21万台を計画しています。特に今年の中南米の総需要は前年比12%増の113万台の見込みであり、当社出荷も、前年比24%増の17万台を計画しています。これは、モーターサイクルの大きな市場であるブラジルにおいて、当社4サイクルモデルのYBR125やXTZ125の市場評価が高く、前年比30%増の約15万台を計画しているためです。

(マリン)

国内舟艇は長引く不況の影響を受け、今年は、前年比10.5%減の1,700隻を計画しています。
しかし、さらなる需要減少のなか、中期目標である「2003年度の黒字化」に向け改革を促進します。特に、(1)開発資源の小型船外機艇への集中(2)ヤマハ蒲郡閉鎖やアウトソーシングによる生産性向上(3)受注生産システムによる在庫減少(4)ヤンマーとの共同開発・共同購買によるコストダウンなどを推進します。

船外機は、総需要が微増傾向ですが、環境対応から先進国を中心に2サイクルから4サイクルモデルにシフトしています。当社は(1)環境規制に対応した2&4の大型モデルのラインナップ強化、(2)ボートビルダービジネスの強化、(3)3社生産体制(三信工業・ヤマハ熊本プロダクツ(熊本)・MBK(フランス))の構築などにより、世界でのリーディングポジションを確保しています。
今年も、前年比微増ながら高水準の32.2万台を計画しています。
なお、2003年1月より、IMカンパニーに続く2つ目の社内カンパニーとして、「MEカンパニー」を設置しました。(詳しくはリリースを参照下さい。)

ウォータービークルの総需要は年間10万台です。
主要な米国需要が今年には底を打ち、来年には回復を見込んでいます。当社は、4サイクルモデルの開発に注力、また、昨年末より工場のある米国に事業統括を移す構造改革に取り組み、事業体質の強化を図っています。なお、今年の出荷計画は、前年並みの4.2万台を計画しています。

(特機他)

ATV需要は、これまで二桁成長でしたが、今年は米国需要の落ち込みで前年比2~3%減少の92万台を見込んでいます。当社は昨年、前年比18%増の26.2万台に拡大しましたが、今年は先行きを慎重に見て、前年比3%減の25.5万台を見込みます。
特に、市場成熟化のなかでの売上・利益の維持拡大に向け、需要拡大が見込まれるオートマチックモデルのラインナップと日米での生産体制の強化に加え、在庫・売掛金の減少に向けたSCM改革を推進します。なお、ゴルフカーは前年並みの40,400台、スノーモビルは4スト新商品で前年比17%増の2.7万台を目指します。

電動ハイブリッド自転車「ヤマハ パス」は、昨年低価格車の投入で高い目標を掲げましたが、景気低迷の影響や市場競争の激化で完成車およびOEMユニットは、前年比3割減の10万台に留まりました。今年は新商品の投入により前年比24.1%増の12.5万台を計画しています。

IM事業は、世界的なIT市況の低迷の影響を受け、2年前の最盛期の半分くらいの売上に減少しました。今年は、昨年より中国・国内で市場回復が見込めそうですが、市場競争はますます激化しています。しかし、重要部品の内製化などコストダウンに努め、利益はしっかり上がる体質になっています。中長期的には同業界はまだまだ成長分野であり、IT市況が回復した時が楽しみでもあります。

以上

ヤマハ発動機株式会社
代表取締役社長
長谷川 至


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