トップメッセージ 2002年
経営陣からのメッセージです。
2002年1月10日
年頭記者会見
2002年の経営方針と事業計画について
1.2002年の経営方針について
2002年の日本経済の先行きは依然不透明であり、世界経済も予断を許さない状況です。その中で当社は、「1ドル100円で安定的に成長する企業体質の構築」を最重要課題として、今年4月から新中期3ヶ年計画に取組む決意です。
その為に、2002年は、現在取組んでいる様々な経営課題に「目処」を付ける年とし、日本経済が低迷しても連結で、売上・利益が拡大する方向に持っていきたいと考えます。具体的な施策として、本年は3つの重点課題に取組んでいきます。
- (1) 事業改革の断行と、全社プロジェクトの推進
- (2) 成果主義を基本とする社内改革の徹底
- (3) 企業価値向上に向けた「コーポレートブランド戦略」の取組み
1つ目の事業改革の断行においては、経営資源の投下をさらにメリハリのあるものとし、次の4つのテーマに重点的に取組んでいきます。
- (1) 基幹事業の競争力強化として、二輪車事業を再構築
モノづくり改革による事業コストの3割削減と中国・インド・タイの再構築 - (2) 不採算事業の改革
- (3) 連結視点での資産効率向上に向けた活動
- (4) 国内販売事業の完全自立化
2つ目の社内改革においては、「年齢ではなく、市場価値のある人を公正に評価・処遇を行うことが、企業成長と人材確保の意味で重要」であることから、当社は、成果主義を基本とする社内改革を推進していきます。
3つ目のコーポレートブランド戦略への取組みは、単なる企業イメージ作りでなく、事業活動をベースとしてブランド価値を高めていきます。具体的には、お客様に対し、他社と差別化できる各事業固有の価値、すなわち「旗印」(戦略軸)を明確化し、それを具現化した製品やサービスを提供して行く事であり、本年は、グループ全体として目指すメッセージを社内外に発信して参ります。
以上、3つの重点課題に加え、「次世代に繋がる成長戦略の構築」にも早急に取組んでいきます。特に、成長戦略を支える新たなビジネスモデルの創造は、新中期経営計画の重点課題の一つとして取上げ、コア技術に加え、コア技術以外も対象とし、その事業化の芽については、開発プロジェクトを立ち上げ、早い時期に収益の柱となるよう育てていきます。
2002年の事業計画について
二輪車事業全体としては、昨年199万台(前年比5.7%減)、今年は228万台(前年比14%増)を計画しています。
(1) 国内は、昨年22.6万台(前年比4.8%減)、今年は前年並みの23万台を計画しています。
総需要は、2001年は78万台、2002年は81万台を見込みます。昨年、当社は、マジェスティーやTMAX等のビックスクーターやXJRやドラッグスターなどのスポーツバイクが好調であり、今後も、ビックバイクの伸長を目指していきます。
また、50ccスクーターの台湾生産移管による低価格・高品質の実現と、二輪車の規制緩和などに注力し、特に、高速道路の二人乗り解禁や料金問題など働きかけ、国内需要の活性化に取組んで参ります。
(2) 全世界の二輪車総需要は、昨年2,600万台(前年比14%増)、今年2,750万台(前年比6%増)を見込みます。当社の海外出荷は、昨年177万台(前年比5.8%減)、今年は205万台(前年比15.8%増)を計画です。
(日本からの完成車出荷は、昨年は前年比7.5%減の51.8万台、今年は前年比微減の51万台)
(海外生産は、昨年は前年比5.1%減の125万台、今年は前年比23%増の154万台)
地域別では、米国の2002年の総需要は約80万台で、前年より3%伸長を見込みます。
当社は、テロ後も好調であり、10月 +40%、11月 +10%、12月+39% と推移し、特に、2002年モデルのアメリカンタイプのウォーリア(1,700cc)やスーパースポーツのYZF-R1などが好評であり、今年は前年比4%増の16.2万台を計画しています。
欧州は、イタリアの50ccスクーター代替時の補助金制度(ロタマチオーネ)の終了などで減少し、2002年の総需要は、前年比6%減の195万台を見込んでいます。その特需による反動減が正常に戻るまでの2~3年の間は、マーケティング力の強化を図っていきます。なお、今年の当社出荷は、前年比8%減の34万台を計画しています。(その内訳は、日本からの完成車出荷は16.6万台、海外生産は17.4万台)
今年、特に伸長を見込むアジア(中国を除く)の総需要は、前年比10%増の1,020万台を見込んでいます。当社は、主にインドネシア(+41%増)、ベトナム(+271%増)に加え、経営権を取得し新商品の効果が見込まれるタイ(+56%増)とインド(+40%増)での出荷増により、前年比25%増の約123万台を計画しています。(その内訳は、日本からの完成車出荷は4万台、海外生産は119万台)
なお、今年の中国総需要は前年比5%増の1,170万台を見込み、当社出荷は、15%増の13万台を計画しています。(海外生産13万台)特に、今年は、現地調達率を向上させたコスト競争力のあるモデル開発に注力。具体的には、昨年、開発・製造・調達から成るプロジェクト(CVET)を上海をベースに立ち上げ、中国の品質の良い部品を、安く供給できる体制に向け、現在、部品メーカーの開拓を実施中です。
国内舟艇は、長引く不況の影響を受け、前年並み(ボート・ヨット1100隻、漁・和船1000隻)を見込みます。当社は、需要が更に減少する中、舟艇事業の2度目の改革を昨年着手し、2003年度中の黒字転換を目指しています。特に生産体制は、主に天草工場と外部委託とし、選択と集中を高め、効率的な経営を目指していきます。
船外機の全世界の総需要は、昨年は73万台、今年はほぼ横ばいの72.6万台を見込む中、当社は、(1)環境規制に対応した2&4の大型モデルのラインナップ強化、(2)ボートビルダービジネスの強化 (3)3社生産体制(三信工業・ヤマハ熊本プロダクツ(熊本)・MBK(フランス))の拡充などにより、前年並みの29.2万台を計画しています。
ウォータービークルの総需要は、前年比6%減の10.7万台を見込みます。当社は、今年3月に、二輪車でベストセラーモデルとなっている4サイクル・1,000ccのスーパースポーツモデル「YZF-R1」のエンジンをベースに開発したマリンジェット「FX140」を発売し、市場の活性化を図っていきます。なお、今年の当社出荷は、前年比12%減の4.3万台を計画しています。(最大市場である米国の総需要は前年比8%減の7.5万台、当社出荷は前年比17%減の3万台を見込みます)
米国のATV需要は、これまでの2桁成長からは鈍化するものの、2002年は前年比4%増の75万台を見込んでいます。テロによる顕著な影響は見当たりませんが、今後も市場動向には注視していきます。当社の今年の出荷は、新商品の投入などにより、需要増並みの22.3万台を計画しています。なお、今年は、米国での現地生産を、昨年の5万台から今年は9万台に引上げ、更に、コスト競争力を強化していきます。
また、ゴルフカーやスノーモビルも北米を中心とした商品ですが、今年は 前年を15%以上上回る計画をしています。
電動ハイブリッド自転車「ヤマハ パス」は、昨年、低価格車の投入で高い目標を掲げましたが、景気低迷の影響とお客様の反応が期待したほどでなく、完成車販売は、前年比1.8倍の8.8万台に留まりました。なお、ユニットのOEM供給は、前年比2.4倍に伸長しました。なお、今年は、低価格モデルの競合激化が見込まれますが、完成車は前年並み、OEM供給は前年比8%減を計画しています。
以上
ヤマハ発動機株式会社
代表取締役社長
長谷川 至