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実績を集約した“GREEN CORE”思想

ヤマハ発動機の技術ストーリーをご紹介します。

1993年の初代電動アシスト自転車「ヤマハPAS」以来、心臓部のドライブユニットは、2014年までで国内外への供給が300万台を突破。国内ではヤマハブランドの完成車として、またOEMにて内外のメーカーに供給しています。その核となるモーターは、基本性能の向上、小型軽量化の進化を続け、約6kgあった初代のドライブユニットは最新型で4kg以下になりました。また、電気の“質”へのこだわりも私たちの身上でした。
初期型は信頼性のあるDCブラシ式でしたが、1999年「パスロイヤル」に搭載のACサーボモーターでは、アシスト感により滑らかさをもたらしました。
さらに2001年には、ネオジウム磁石を採用した小型モーター搭載モデルをラインナップ。リニアで滑らかなアシスト感をもたらしました。
そして2014年、長年の技術蓄積を集約し、次代を担う小型ドライブユニットコンセプトとして“GREEN CORE(グリーンコア)”をヤマハは掲げました。それは<軽量・コンパクト・高性能>による走りの楽しさと環境性能を支えるコンセプト。そのもとに製品化したのが2015年1月発売のPAS「ナチュラ」シリーズ(#1)。ドライブユニットは、容積約16%削減、重量約20%軽量(いずれも従来比)を果たし、従来同等のトルクを発揮、かつレアメタル等の使用を大幅に削減した環境低負荷のパワーユニットで、以後各モデルに織り込んでいます。

非接触磁歪式トルクセンサーで走り軽快

ドライブユニット開発において、人がペダルを踏む力を「トルク」として感知するというアプローチが、ヤマハの着眼点でした。ペダルを踏み込む力を感知する「トルクセンサー」と、速度を感知する「スピードセンサー」を備え、その情報をマイコンで瞬時に演算しコントローラーの指示で補助力を供給します。
このトルクセンサー、初代は機械式ゆえに電源オフなど非アシスト時のペダル操作では一定の負荷が生じていました。これを解決したのが、磁歪(じわい)材料を用いた非接触トルクセンサーでした。2003年(4月発売の「New PAS」#2)から実用化されたこのセンサーは、ロス低減を図り、アシスト走行時以外でも普通の自転車同様の軽やかな漕ぎ心地をもたらしました。
より滑らかなアシスト感を実現したのが2013年モデル(#3)。従来からの2つのセンサーに加えて、クランク(ペダル)が回っている速さを感知する「クランク回転センサー」を加えたトリプルセンサーシステムです。速く漕ぐときも、ペダル回転を突然やめたときも、状況をセンサー感知。センサー情報から、乗る人の乗り方や走行状況を瞬時に解析し、状況に応じた制御マップを抽出してモーター出力を最適化したのです。以後各モデルに「トリプルセンサー」を搭載していきました。

各ギアにあわせた制御を支える「S.P.E.C.」(スペック)

PASのアシストモード設定は、使い易さに貢献する大きなポイントです。エコノミーモードを加えた「2モード」を1998年から織り込み、2006年には、走行距離とアシストを両立させるオートエコモードを加え「3モード」に進化。通常、発進・加速などペダルを強く踏み込んでいるときにアシストが働きますが、ペダルへの負荷が小さくなると、アシストのON/OFF切り替えを自動的かつスムーズに行い、使用状況を反映した走行距離のアップに繋がりました。
アシスト制御の進化は2008年にありました。従来は変速機のトップギアに合せてアシスト力(モーター回転数)を制御していましたが、乗り方によっては効果的にアシスト力を引き出せないケースもありました。例えば3段変速のとき、3速から2速にギアを落とすと、速度は落ちていてもモーター回転数は上がっており、アシスト力が弱まってしまうのです。そこでアシスト可能範囲を有効に活用するため、使用ギアに応じたアシスト制御ができる「S.P.E.C.」と呼ぶシステムを開発、スポーツモデルから搭載していきました。
さらにアシスト比率の基準が1:1(人:アシスト力)から1:2になった2009年モデルからは、低速域でのパワーを強化するため新基準対応の「S.P.E.C.3」を各機種に搭載(#4)。広い範囲にわたってアシストを可能とし発進、加速、巡航時まで全域でなめらか、かつパワフルな走りを可能としました。

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