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電子制御スロットル

ヤマハ発動機の技術ストーリーをご紹介します。

電子制御スロットルを採用する「MJ-VX Cruiser」

電子制御フューエルインジェクションの大きな進化、その節目のモデルといえば2005年に誕生したマリンジェット、「VX110DX/SP」(#1)です。この直列4気筒1,052cm3エンジンにはヤマハ初の電子制御スロットル(FI)を搭載していました。
それまでのFIはライダー操作により直接スロットルバルブを開閉していました。ライダーが供給空気量を決め、そのうえで電子制御によって、その時々のエンジン回転数に見あう燃料供給量と点火タイミングを決めていました。一方、電子制御スロットルは、運転者のアクセル操作をセンサーで検出し、ECUで演算し、それに応じてスロットルバルブをモーターで駆動して吸入空気量を決めます。
従来の機械式ワイヤーケーブルのスロットルでは、アクセル操作とほぼ1:1でスロットルバルブが開閉していましたが、電子制御スロットルでは、各センサーからの情報を反映し吸入空気量を制御できるメリットがあり、エンジンフィーリング、アイドリング安定性、燃費性、環境性能などに貢献。1.8リットルエンジン搭載の「FX」シリーズでは、スロットルの微妙な操作をすることなく、一定の回転数で走り続けることのできる「クルーズアシスト」などの快適装備を備えることが可能になりました。

電子制御スロットルの進化

バイク用の電子制御スロットルは2006年の「YZF-R6」(#2)で実用化しています。「YCC-T」(ヤマハ・チップ・コントロールド・スロットル)と呼ぶ二輪用システムで、小型32ビットCPUを搭載し4連のスロットルバルブ作動を司りました。1,000分の1秒単位で状況判断を行う演算機能があり、ライダーの微妙な感覚にも呼応するレスポンス、最高出力発生14,000rpm以上という高回転型エンジンのイメージを新たにする滑らかな特性です。

これらヤマハの電子制御スロットルは今、エンジンのポテンシャルを引き出す基本フィーチャーの役割を果たしています。2007年誕生の市販最大出力船外機「F350」(#3)(V8エンジン5,330cm3)では、低中速域のトルク性能を大幅に向上させる「可変バルブタイミング機構」や、2機3機掛け時に複数エンジンの回転数を同調させる「シンクロ機構」などのフィーチャーの基盤となっています。2016年モデルのマリンジェットに搭載の3気筒エンジン「TR-1」(#4)にも、最新の電子制御スロットルを採用しています。

バイクでは、YZF-Rシリーズ、「MT-10」(#5)「MT-09」系、「FJR1300」系、「XT1200Z Super Ténéré」など大排気量モデルで「YCC-T」機能を活用、走行モード切り替やトラクションコントロール等のシステムを搭載、大排気量エンジンのポテンシャルを快適な走りに活かしています。

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