技報【バックナンバー】
ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
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| 製品紹介 | 山本 幹雄/水野 孝義/鈴木 仁 『ジョグポシェ』は1992年に初代モデルが誕生し、累計約15万台販売した50ccスクータである。ミセスの日常の買い物ユースでの利便性、快適性、ファッション性に優れた特色を持っており、足付き性の良いシートと軽いボディ、シャッタ付きフロントバスケット、荷物を積んでも隠れないヘッドライト、滑らかな発進特性、可愛いカラーリングなどが支持され、特に30代のヤングミセスに人気モデルとなっている。今回のフルモデルチェンジでは上記機能はそのままに「盗難抑止機能の充実」、「タンク容量のアップ」、「一層の利便性、足付き性の向上」の実現、及びヤマハ初の2サイクル50ccモデルとして「平成10年度国内排出ガス・騒音規制適合」への対応を図り、この4月より市場導入したので、その概要をここに紹介する。 |
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永房 誠 近年、パーソナルウォータークラフト(以下、PWCという)の市場においても二輪・四輪と同様に、排気ガス・騒音の低減という環境対応の波が押し寄せてきている。特に主要市場である米国において、1999年よりPWCの排気ガス規制が始まった。そこで今回、上述の米国排気ガス規制に適合した新3気筒エンジン「66V」を搭載した新スポーティー3人乗り新艇「XL1200Ltd」の開発を行い、1999年より市場導入した。ここでは新エンジンを主に紹介する。 | |
小野 由博/松浦 達也/福田 和孝/影山 裕/山下 輝佳/内田 吉陽/静 亮次 1997年にヤマハ発動機(株)は、ATVでは初めてエンジンブレーキ付オートマチックエンジンを搭載したYFM600FWA「GRIZZLY」を導入し好評を得ることができた。メイン市場であるUSAの市場規模は、US経済の好調、各社のニューモデル投入を背景に、ここ数年で急成長し、1991年は15万台の総需要であったものが、1999年には50万台まで需要が拡大しそうな勢いである。このような需要拡大の中、オートマチックモデルの台頭により需要構造にも変化があらわれ、競争もより激化してきた。そこでヤマハとして、市場の多様な顧客ニーズに応えるため、「GRIZZLY」に続き、エンジンブレーキ付エンジンを搭載したミッドクラスマルチパーパスATV、YFM400FWA「KODIAK」を導入することになった。ここにその概要を紹介する。 | |
梶原 謙一/山田 好武/雄谷 誠祐/吉井 芳徳/佐藤 孝夫 5人乗り電磁誘導ゴルフカー「G17A」は、1996年に初めて市場へ導入され、ゴルフ場経営の合理化やゴルファーのプレースタイルの変化に対応したサービス向上に貢献して、着実にゴルフコースに浸透し、販売も好調に推移しつつある。さらに顧客満足度アップと商品性向上のために、このたび改良を加え、マイナーチェンジとして新発売したので、ここに紹介する。 | |
笠井 弘 フロンによる地球オゾン層破壊が問題となり、オゾン層保護のため地球規模で規制が行われている。空調用冷媒として広く利用されているR22(HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボン)も規制対象物質となっており、1996年より規制が開始され、2004年から段階的に削減され、2020年に全廃の予定である。当社GHP(ガスヒートポンプエアコン)においても、これに対応すべく代替冷媒R407C(HFC:ハイドロフルオロカーボン)を採用したストアーモデル4馬力YCSP112を開発したので、ここにその概要を紹介する。 | |
金丸 恭宏/鈴木 昭彦/田中 紀彦/鈴木 弘人/佐藤 彰/坂本 修/松田 篤志/中村 克 R50は軽量、コンパクトでありながら、地上散布機に比べて圧倒的な散布効率の高さを武器に、累計1000台に近い普及台数に達することができた。R50を導入機と位置付け、さらなる普及を図るため、RMAXを開発した。 | |
大隅 弘/伊藤 健/野々川 賢一/水野 賀之 当社は、スーパースポーツ領域において、YZF-R1およびYZF-R6を導入し、その高次元のバランスはユーザーに新たな感動を提供でき、商品力は世界的に高い評価を受けている。YZF-R7は、Rシリーズエンジンの基本コンセプトを踏襲し、スーパーバイクレース参戦のベースマシンとなるべく、ファクトリレーサーの技術を織り込み、かつ進化させ、Rシリーズの究極として市販化した。以下にその概要を紹介する。 | |
| 技術紹介 | 2サイクルレーシングエンジン用デトネーションコントロールシステム 早崎 良明 近年ロードレースでは、鉛含有量の多い高価なスペシャルガソリンで性能を向上させてきた。しかし、環境への配慮と参加者の金銭的負担軽減の観点から、1997年より全日本選手権では各サーキットで供給されるガソリン(市販無鉛ハイオク)の使用が義務づけられた。また、世界選手権(WGP)でも1998年より無鉛化された。このため、エンジンの異常燃焼(デトネーション)対策が必要となり、性能や燃焼室まわりの耐久性が低下すると共に、点火時期やキャブレタセッティングの要求範囲が狭くなった。そこで、ファクトリーレーサーYZR250では、デトネーションコントロールシステム(以下、DCSという)を制御技術室と共同で開発し、性能と信頼性を向上させることができた。基本的には4輪エンジンではポピュラーなノック制御(KCS)に類似したものだが、ほとんど設計変更なしで燃焼圧力センサを気筒毎に設け、最高回転14000rpm以上の2サイクルエンジン(毎秒230回以上の燃焼)での制御を可能にした。それを実戦投入し、全日本GP250クラスでは1998年チャンピオン(9戦中8勝)と1999年開幕4連勝中(本稿執筆時)と他を圧倒し、また1999年より復帰したWGP250における好成績(第2戦で早くも優勝)に貢献している。以下に本システムの概要ならびに効果を紹介する。 |
大橋 秀幸 近年の電力事情の悪化や地球環境問題への取り組みの中、少電力、クリーンエネルギー、低ランニングコストというメリットにより、対人用の一般空調機として、ガスヒートポンプエアコン(以下、GHPという)の採用が増加している。しかし、対物産業用としての使用は一部の採用に止まっているのが現状である。また、現在使用されている試験用の恒温恒湿設備の多くは、電気式の冷凍機と電気ヒータとの組み合わせでできている。そのため、1つの設備当たりの消費電力はかなり多く、設備導入時には受電設備が必要になる。電力契約においても、デマンド契約になりやすく、ピークカットにより運転ができなくなる心配もある。さらに、試験用設備の場合は設備の稼働率があまり高くないため、実際の使用時間当たりの電力料金も割高になる。このように、恒温恒湿設備はイニシャルコスト、ランニングコストのかかる設備である。GHP事業部でも、新規に試験用として恒温恒湿設備を導入するに当たり、イニシャルコストはもちろん、ランニングコストも下げる必要があった。以上により、GHPを冷凍機として使用することで、GHPの対物産業用としての用途拡大も図り、さらにGHPのエンジン排熱をヒータの熱源として利用することで、省電力性と省エネルギー性を有した恒温恒湿システムを開発した。また、今回の開発においては、受電容量の削減によるイニシャルコストの低減、エネルギー源をガスにすることによるランニングコストの低減も目的とした。 | |
木村 巌 ビジネスのグローバル化が進んでいる。それに伴って、さまざまなシステム基盤の整備が急務となってきた。そのひとつがネットワークインフラの整備である。ネットワークというと、大きく「社内のネットワーク(LAN)」と「国内あるいは海外に点在する工場や関連会社とを結ぶネットワーク(WAN)」に分類される。今回紹介するのは、前者の「磐田本社におけるLAN」についてであるが、情報システム室としては後者についても同時並行的に整備を進めている。 | |
大滝 尚 水冷エンジンの冷却水通路形状は、シリンダヘッドとシリンダブロックの基本的なレイアウトに大きく影響する。その一方で、近年のエンジンは高出力と小型化を同時に求められるようになり、冷却系統を開発の早い段階から最適化する必要性が顕在化してきた。流体数値シミュレーション(以下、CFDという)は、この最適化のための有効なツールのひとつとして従来から注目されてきた。しかしCFDは、最近のコンピュータ性能の飛躍的な向上により解析計算そのものは短縮されたものの、解析モデルの作成は依然として人手に頼らざるを得ず、全体の解析時間の短縮が図れなかった。そのため開発のタイムテーブルに合わず、実用的な解析は行われなかった。そこで、これまで時間がかかっていた解析モデルの作成と計算準備の作業を自動化し、設計者が自分でエンジン冷却水流れの数値解析を行うことができる手続きを開発した。これにより、従来は専任のエンジニアが数週間かかっていた解析を、設計者自身が約24時間で行えるようになり、質の高い冷却性能の検討が可能になった。本報では、自動化されたエンジン冷却水流れ数値解析の手順と、解析格子生成プログラム「HIGHER」について解説し、解析事例を紹介する。 | |
| 技術論文 | 鈴木 孝信 当社では、水冷・空冷の両タイプのモーターサイクル用アルミニウムシリンダーヘッド約70種類を主に低圧鋳造法にて製造している。低圧鋳造法における鋳造欠陥としては、空冷フィン先端部などの薄肉部に発生する湯廻り不良、指向性凝固のくずれにより製品内部に発生する引巣不良および中子不良が、鋳造不良の60%以上を占めている。低圧鋳造の不良低減活動として、これら3大不良項目の対策を行っている。湯廻り不良については、これまでの活動である「ストーク内の介在物除去」や「塗型材質向上」などにより、不良の平均レベルは著しく低下した。しかし、依然として鋳造ロット間のバラツキが見られる。さらに不良低減を図るには、鋳造をシステムとして安定させるために、品質のバラツキ要因の把握と低減が必要である。そこで今回、湯廻り不良に対するバラツキ要因の一つである鋳造金型に施している塗型の作業方法を基本から見直すことにより、塗型性能のバラツキを大幅に改善することができたので、その内容について述べる。 |
桝田 達之/益田 善之/山下 繭子/伊藤 秀明/宮本 鼎徳/宮澤 一夫/小野寺 哲人 熱効率が高く、燃費性能に優れたディーゼルエンジンのエミッション低減に関する基礎研究の中から、最適な選択として、2サイクルディーゼルエンジンの本格的な研究に着手した。エンジン単体での出力、燃費、排気エミッションといった基礎テストの結果から、次のステップとして、自動車用エンジンへの応用を検討することとなった。検討の結果、ターゲットを未来の小型乗用車のエンジンに設定し、実用化の研究を開始した。開発したエンジンは、クランクケース圧縮、反転掃気の2サイクルエンジンで、セミDI型燃焼室を持つディーゼルエンジンである。さらに、可変圧縮比機構、掃気量制御、噴射量と噴射時期を電気制御するVEポンプ、電気制御潤滑システム、SOF(Soluble Organic Fraction)分解触媒を組み合わせることで、低燃費と低エミッションを両立させる結果を得た。次に、本エンジンを小型乗用車に搭載し、1台の車両としての諸評価を行った。その結果、高い動力性能を保ちながら、3L/100kmという低燃費と、欧州第4期排ガス規制(EURO4)レベルに到達するクリーンさを実現するエンジンにまとめることができた。 | |
木村 哲也/高橋 一樹/杉山 滋 レシプロエンジンにおける実働時のピストン挙動を把握・検討するため、シリンダとの接触によるピストンスカート部の弾性変形を考慮した挙動解析プログラムを開発した。本プログラムでは、ピストン、コンロッドおよびクランクを基本的に剛体としてモデル化し、各構成部品はピン結合によって連結している。このため、運動方程式は各剛体の回転自由度のみに縮退される。この縮退した運動方程式を予測修正子法によって数値積分することにより、解析を行なっている。このプログラムの検証として、オートバイ用の2ストロークエンジンおよび自動車用4ストロークエンジンのピストン挙動について、実測データとの比較を行ない良好な結果が得られた。 |
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