技報【バックナンバー】
ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
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| 巻頭言 | 長谷川 武彦 この度、技術会技報が装いも新たに、ヤマハ発動機株式会社の技報として発行されることになりました。技術会という友好の士の集まりで始まった技報が、早や10年を数えるまでになり、内容も年々充実し、社内の技術情報を社会の内外に伝える役割から、社内外に成果を問うという段階に発展して参りました。ここに改めて育て上げてきた技術会の皆さんの熱意と努力に敬意を表するとともに、お礼を申し上げます。思えばこの10年間は、世界的な規模であらゆる分野に、激動ともいえる変化が起こりました。改めて、世界秩序の重大さと自然破壊やエネルギー消費の意味の重さを痛感致します。このような変化の中で、ヤマハ発動機は一貫して、世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供するため、本物のモノづくりを目指して、努力してきました。この方針はこれからも変わることはありません。 |
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| 製品紹介 | 明田 久稔/大平 優/照井 敏泰/山本 熱夫/林 一宏/西形 隆司 電動ハイブリッド自転車ヤマハ「PAS」は、世界新商品として、1993年11月に発売されて以来、好評のうちに販売台数を伸ばしてきた。初期モデル「XA1」と、それに続く「4TS」は、一般の自転車に近いスタイルと扱いやすさを持つ電動補助自転車として、市場にスムーズに受け入れられた。しかし、重量、乗降性、価格などの点で課題もあり、改良が望まれていた。今回、20インチタイヤをベースに、これらの問題を改良した新しいスタイルのPAS新商品を開発したので、以下にその概要を紹介する。 |
船外機 Electronic Fuel Injection 225F/250B 寒川 雅史 大型船外機の主要マーケットである米国市場は、ここ数年、景気回復と共に需要が伸びており、特に燃料噴射モデルについては、「低燃費」「スムーズ性」「良好な始動性」を特徴に、指定買いが出るほどの好評を博している。ヤマハ発動機㈱の大型船外機は、市場において特に信頼性の高さが評価され、外洋でのオフショア艇のシェアを確保している。こういった市場背景のもと、現行キャブレタ225/250PSモデルのモデルチェンジとして、当社独自の制御での2サイクルガソリン燃料噴射モデルを初めて開発することになった。 | |
大庭 恭二/永富 忠良/木村 嘉浩 アルミ漁船「第88ところ丸」は、ヤマハ発動機㈱(以下、当社という)として初めてのアルミ合金製漁船である。近年、漁船の分野でもアルミ船の台頭が著しく、特に北海道においては、このクラスの建造隻数はFRP製をしのぐほどで、当社FRP製漁船のオーナーの中にも、代替として他社アルミ製漁船に乗り換える例も見られるようになった。このような漁船市場の背景から、当社としてもぜひこの時期にアルミ漁船を、しかも北海道に納入しなければならないとの気運が高まっていた。過去に納入実績のあるサロマ湖近くの常呂漁協殿において、調査指導船を建造するとの話があり、当社が建造することとなった。 | |
森岡 利充/藤原 正道 業務用の舶用主機エンジンは、漁業資源の保護を目的とする法規制により、ボア径およびシリンダ数でクラス分けされているが、今回紹介するエンジン「MD980」は、ボア径120mm未満の「漁船法馬力数90(以下、法90という)」のエンジンに該当する。法90のエンジンは、ヤマハ発動機㈱(以下、当社という)のディーゼルエンジン事業の中において、売り上げと付加価値ともに貢献度が大きく、1989年に市場投入した前任の「MD859」シリーズは、当時、業界トップの出力により高い評価を頂いた。しかし、近年法90クラスのエンジンは高出力化の傾向が著しく、競合他社より相次いで発売された500馬力以上の出力を持つ商品の出現により、当社のエンジンの競争力が低下してきたことから、高出力化を主とした商品力の強化を図ることとした。 | |
マリンジェット MJ-760RZ WAVE BLASTER-Ⅱ 服部 敏幸/山田 久人/太田 延治/中村 光孝 1987年、ヤマハ発動機㈱(以下、当社という)では、世界に先駆けてタンデムタイプのウォータービークル(以下、WVという)「MJ-500T」を市場導入し、これが人と海とを近づける乗り物として爆発的な好評を博し、以後現在に至るまで市場は拡大を続けている。しかし、現在ではライバルメーカーも数多く参入し、さながら戦国時代の観もある。そこで、当社は業界のパイオニアとして、この市場をさらに拡大するため、新たなコンセプトの商品「MJ-760RZ」を導入することとなった。ここに、その概要を紹介する。 | |
清水 八洲男 200海里制定後、「獲る漁業」から「育てる漁業」への転換が順調に進み、魚の種苗生産が全国的に展開されている。しかしながら、日本の漁業を取り巻く環境は極めて厳しく、魚価の低迷や餌代の高騰に加え、後継者問題も深刻である。高齢化が急速に進み、人手不足に悩む養殖業者の省力化を計り、少しでも経営改善に貢献するための機器として、魚の稚魚を数えるフィッシュカウンターを開発したので、ここにその概要を紹介する。 | |
安井 敏裕/竹内 均/中野 太久仁/福田 和孝/大辻 克彦/天野 正彦 1980年代半ばから比較的安定した市場となったスノーモビルは、年率5%前後の成長により、現在では年間20万台を越える市場規模となった。ヤマハ発動機㈱(以下、当社という)においては、1980年代の堅実な販売の拡大の後、急激な円高による価格競争力の低下や競合他社の新車攻勢により、シェアダウンを余儀なくされた。こうした状況下において、市場の主流を占めるスポーツ系モデルのラインナップを一新し、商品力を大幅に向上した新「Vmax」シリーズを開発したので、ここに紹介する。 | |
伊藤 平一/鈴木 康芳 昨年実施された自動車補修部品の規制緩和により、ショックアブソーバは保安基準対象部品から除外され、これを機にサスペンション関連部品のアフターマーケットの拡大が見込まれる。創輝㈱では、アフターマーケット用に高級志向が強いユーザー層をターゲットとした「オーリンス」ブランドの単筒ガスタイプショックアブソーバを供給しているが、より幅広いユーザーを対象としたショックアブソーバを新規に開発・商品化したので、ここで紹介する。 | |
生熊 宏行/金原 璋 製品開発における実験・計測の効率や精度向上が求められる一方、昨今のパーソナルコンピュータの飛躍的な進化と低価格化に伴い、計測装置と一体となったコンピュータ援用計測・解析システムのニーズが高まっている。㈱ワイ・イー・シーでは、ヤマハ発動機㈱が開発・保有する実験解析技術のノウハウをもとに、米国PEMTECH社との共同開発を通して「Personal CAT」を製品化するに至った。本システムは発売後、2年を経過した。実用性、低価格、そして小型可搬性を追求し、耐振性パソコンと組み合わせて自動車に搭載することも可能にした。これらは、高い市場評価を得ることにつながった。本稿では、これまでの経緯とシステムの概要を紹介する。 | |
溝口 鎮雄/佐藤 和生 ロータリエンコーダは、FA分野でのNC工作機械や産業用ロボットを中心として市場が形成されている。1980年代後半から、ヤマハ㈱において新事業開拓の一環としてロータリエンコーダが検討され、製品化への見通しを得た。その後、1993年に森山工業㈱(以下、当社という)がこの業務を引き継ぎ、商品としての開発を進め、今日に至っている。ここでは、耐環境性に優れることを特徴とする当社製磁気式ロータリエンコーダ商品群について、その概要を紹介する。 | |
| 技術紹介 | 矢代 善伸/時藤 満徳/楢館 悟 シフトフィーリングは、マニュアルミッション車において重要な項目である。また、シフト操作は、モーターサイクルに乗る楽しみの一つでもある。今回は、シフト操作時の各種荷重変化と、各荷重の変動要因について紹介する。 |
新村 修三郎 我が国においては、高い経済力に見合う「ゆとりと豊かさ」に満ちた国民生活の実現が緊急の課題となっている。この中で、生活の基盤となる住環境の向上を図ることが最も重要であり、今後は、個性化・高度化している住まい手ニーズや家庭用エネルギー消費の増大などの住宅を取り巻く諸問題に対応できる質の高い住宅が望まれている。このため、通産省では、来るべき21世紀の新しい住宅に向け、住生活の向上とエネルギー消費の抑制を目的として、研究開発事業「21世紀住宅開発プロジェクト」を推進してきた。このプロジェクトには、ヤマハ発動機㈱(以下、当社という)のほかに36社が参加(当社は、住宅用エネルギー総合利用システムの分野に参加)し、平成元年度から7か年計画で研究開発に取り組んできた。このたび、予定通り、住宅用の高効率GHP多機能システムの研究開発を終了したので、その概要を紹介する。 | |
末森 勝 淡路島では1,000隻近くの小型底曳船が操業しており、ヤマハ発動機株式会社でも600隻以上販売を行ってきた。今回、ヤマハ志度製造㈱開発課(当時)において、従来艇(DT-50C)のモデルチェンジ(DT-51)の開発が始まり、スピード性能に関し、技術開発グループが性能開発を行ったので、その中の船型開発を中心に報告する。 | |
吉川 保至 ヤマハ発動機㈱(以下、当社という)豊岡工場は、当社開発商品の主要部品の試作加工を行い、開発の一翼を担っている。常に納期・品質は、要求に応えられるようチャレンジ精神で取り組んでいる。通常、エンジンのシリンダ内径加工時、特にホーニング時には、初品のシリンダの真円度や円筒度を測定室の真円度測定器などで測定するが、これは利用頻度が高いために待ち時間が発生し、納期に影響を及ぼすという問題があった。今回紹介する本測定器は、インラインでの測定を可能にして、これらの問題を解決するものである。 | |
森谷 隆 産業用無人ヘリコプタ「ヤマハR-50」(以下、無人ヘリという)が、平成3年に薬剤散布用として実用化されて5年が経過した。この間、日本農業を取り巻く環境は、輸入自由化や新食糧法施行などで大きく変化しており、様々な分野で省力・低コスト・生産性向上を目指した新しい農業技術へシフトしはじめた。ハイテク技術を駆使して登場した無人ヘリは、姿勢制御装置などの搭載により、次世代農業の先駆けとして、特に若手の農業後継者から温かく迎えられ、水稲防除を中心に年々事業規模が広がっている。また、水稲から果樹・畑作への適用拡大も進められており、今後利用範囲も増えるものと期待される。ここでは、定着した無人ヘリ農業の紹介、事業実施状況、今後の課題などについて述べる。 | |
井坂 義治 排気ガス規制対策を始めとして、今後一層厳しさを増してくると考えられるモーターサイクル(MC)の環境対応について、一般的には四輪技術の応用というとらえ方をされやすいが、小型・高性能エンジンとしての特性から、必ずしもそのまま適用できるわけではない。また、騒音規制などについては現状でも四輪より厳しい規制値となっており、今後も継続されるなど、中期的に見ても技術開発への努力は継続拡大が必要となっている。当社では全社的な環境行動計画を策定しているが、その中でMCについての一部の行動計画である排ガス、騒音、燃費について対応技術を紹介する。 | |
| 技術論文 | 土屋 光生/山田 典男/三邊 和治 近年、各社でダウンサイジングが進められている中、当社においても設計~製造の同一プラットフォーム化により、コンカレントエンジニアリングを実現すべく、統合CAD/CAM/CAEシステム「ESPRi」を自社開発してきた。CAMシステムにおいては、効率的な加工手法の提供と「ESPRi」との親和性を考慮し、CL計算ソルバーとしてUNISYS社製の「SCULPTOR」を用い、プリ/ポストは「ESPRi」上で自社開発とした。その結果、等高線加工、隅取り加工、そして筋彫り加工といった効率的加工方法を利用して、試作品の削り出しと金型加工時間の50%短縮を実現した。 |
本山 雄/加藤 隆輔 2サイクルエンジンを搭載した二輪車で発生するサージに関し、車体の挙動と燃焼とを同時計測し、その発生機構と評価法を検討した。その結果、サージは不整燃焼を加震源とし、タイヤをバネとする車体のピッチングであることがわかった。動力伝達系にガタを多く含むため、燃焼との相関は明確には取りにくい、サージの評価指導として、ピッチングレートのオーバーオールdB値が体感と良く合うことがわかった。 | |
鈴木 隆光/岩田 敏雄/木村 孝 品質・コストが重要視される今日、生産設備の再生は重要な課題である。当社でも、積極的に設備の再生を展開しているが、すべての設備を社内で厳密な管理の下で行うことはできず、外部専門業者に委託する場合も多い。今回、精密スピンドルのオーバーホールを外部に委託したが、結果として予期しない初期異常故障が多発した。同様の故障を起こさないために、故障の解析を行い、リニューアル計画保全の仕組みを作り、推進した。さらに、刃具磨耗検知に使われているモーターの有効電力状態監視をスピンドル軸受の異常予知にも適用し、無負荷運転時のしきい値管理による予知保全を進めている。 | |
土田 直樹/梶原 謙一 並列2気筒エンジンを持つ二輪車の加速感に関して、スロットルon・off時の瞬時トルクの変化を基に考慮し、加速感改善を試みた。その結果、加速感とクランク位相角変更による瞬時トルク変更には相関があること、並列2気筒で一般的な180°や360°位相に対して、270°位相クランクでは加速感が改善できることがわかった。 |
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