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技報【バックナンバー】

ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW
技報No.2 表紙

ヤマハ発動機 技報 No.2(1986年7月)

巻頭言

巻頭言 PDF

田中 俊二

ヤマハ技術会が発足して二年目となりました。この間会員の皆様や、世話をして頂いている大勢の方々のお骨折で、いろんな活動が着実に進められて来ています。会員の皆様の積極的な御支援をお願いいたします。この一年を振り返ってみると、何と言っても円高の急速な進展があげられます。輸出を中心とした当社にとっては、まったく厳しい状況であります。しかし、これから先ずっとこのような円高が続くとすると、当社としてどうするかを考えなければなりません。円高の直接的な影響は、まず人件費が国際水準の中でいきなり30%も40%も高騰したことにあらわれます。私達の収入は、実感としては一銭もふえていないのに、ドル換算した国際比較では、いきなり30〜40%もふえたということになります。今後日本で何かをやるにつけて、この人件費の高さは、大きな制約条件となることでしょう。
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特集
技報No.2 特集1 説明画像

あるボート・デザイナーの軌跡 PDF

堀内 浩太郎

昭和35年の春、ヤマハはカタマラン21(CAT-21)とランナバウト13(R-13)を20数隻揃えて、芦の湖で盛大な発表会を行なった。かねがね楽器の量産技術を駆使して木製のボートも量産してみたいと考えられておられた川上社長は、その後の米国視察で、FRPの材質としての魅力やFRPボートの隆盛に強い刺激を受けられたようである。そしてヤマハでは、FRPの洋弓、スキーの開発とともに、FRPボートの開発が続けられていた。私は、この発表会のおり1ヶ月前にボート開発要員として入社したばかりで、いきなり昼夜兼行の展示艇仕上げに参加して、ヤマハという会社の激しさにびっくりしたものであった。当時のFRPボート界は、すでに日本飛行機がズーマランと称する新船型の15吸盤を開発して販売に入っていたし、また日東紡は米国のベルボーイトと技術提携して、ベルボーイ・シリーズのFRP型を導入し生産を開始していて、ヤマハは第三勢力であった。
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技術紹介
技報No.2 技術紹介1 説明画像

5バルブエンジン技術の開発 PDF

青井 和男

二輪車の特徴として、エンジン重量が車輌重量に占める割合が大きいために、エンジン性能が車輌の動力性能、操縦安定性などに大きく影響している。小型・軽量かつ高出力エンジンの開発は、いつの時代においても最大の特徴とされ、発展してきたが、排気ガス規制を克服する技術が確立された現在、本来のガソリンエンジンの姿である高性能化・低燃費化が見直されてきた。また、ユーザーのニーズも多様化し、実用的な買物車から走りを楽しむスポーツ車まで、それぞれに適応したエンジン開発が行われている。特にスポーツ車における高性能化の要求は、著しく増大し、ガソリンエンジンの多バルブ化は、ここ1~2年の大きな特徴となっている。エンジンの多バルブ化は、エンジントルクの向上と許容回転数の増大によるエンジンの比出力を高める手段として有効であり、数多く研究されてきている。しかしながら多バルブ化にあたっては、燃焼室形状やストロークボア比等の基本要素を含めた上での最適設計が重要であり、たとえばバルブ面積増加を狙ってシリンダボア径を拡大すると、燃焼室形状の扁平化等による燃焼面での効率低下を招きやすくなるといわれている。我々は、多バルブエンジンの最適化をめざし、巾広い角度から検討した結果、広い回転域にわたって高トルクを実現する5バルブエンジン技術を開発した。本報告では、5バルブ方式による体積効率の向上、燃焼改善、高回転化の効果について、4バルブ方式と対比して述べる。
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技報No.2 技術紹介2 説明画像

クルーズコントロール PDF

鈴木 俊夫/橋本 茂喜

クルーズコントロール装置とは、定速走行装置のことであり、ドライバーの代わりに機械がアクセルをコントロールし、車速を一定に保つという機能を持つものである。その目的とするところは、長距離ドライブ等におけるドライバーの疲労軽減であり、最初に4輪車用に開発され世に出た。2輪車用としては、ライダーの右手の疲労軽減、快適性向上を目的とし、米国でアフターマーケット商品として販売されている。クルーズコントロールの基本機能は、上記の通り、自動車を一定速度で走行させる制御であるが、最近では付加機能として、増速、減速、復帰(リジューム)等の機能が追加され、便利さが向上している。ヤマハでは、1981年から装置開発の検討を始め、1983年にZ開発、X開発を行ない、84モデルXVZ1200TDに搭載した。その後、86モデルXVZ1300DSには、上記のような増速、減速、復帰等の機能を追加したシステムを開発・搭載し、市場より高い評価を頂いている。本文では、84モデルのシステムを中心にヤマハのクルーズコントロール装置の基本的な部分について説明する。
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技報No.2 技術紹介3 説明画像

材料技術における最近の話題(Ⅱ)-鉄鋼材料編- PDF

平口 與志継

前号で、材料技術の持つ2つの側面として、技術革新の核としての材料技術と、材料の運用利用技術としての材料技術があることを述べた。今回は、最近の経済情勢に鑑みて、後者の立場から鉄鋼材料について話題を提供したい。本稿では、材料の強度を尺度として軸方向同一強度の価格を比較した表(材料の強度は通常「引張り強さ」で表され、引張り負荷を受けている材料が引き裂かれることなく耐え得る最大応力のことで、単位断面積当たりの力(kg/mm²)で示される。)を示しており、他材料に比べ鉄鋼材料の強度コストの優位性が明らかである。セメントや材料も安価であるが、強度が低いため体積が大きくならざるを得ず、セメントの場合は重量もかなり増えることになる。ガラス繊維は最も安価ではあるが、そのままでは構造材料としては使えず、GFRPの形にする必要があり、その結果、高価な材料となってしまう。もちろん、材料は強さだけで使用されるものではなく、耐食性、耐熱性あるいは軽量性など、多様な機能を要求されて使われるものであるから、多面的な比較の必要があることは言うまでもない。いずれにしても、ユーザーとしては、安価な材料を有効利用するに越したことはない。本稿では、材料の製造エネルギーコストを示してあるが、これからも鋼材の経済性が理解される。鉄鋼材料について有効で経済的な利用技術について紹介したい。
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技術論文
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二輪車の操安性について PDF

鈴木 雅美

「操安性」には、内容的に「操縦性」と「安定性」という二つの意味がある。「操縦性」とは、さまざまな走行条件における取り廻しやすさ、走行ライン取りのしやすさなどを言うもので、M/C自身の特性と、ライダー側の乗り方、技量、好みなどが絡み合い、巾広く、深い意味を持っている。「安定性」は、高速での直進走行、コーナリング走行や、中速〜低速での手放し時の「振れ」など、異常挙動の発生しやすさ、収束性の良否などを言う。両者ともライダーの快適性、安全性などの面から、商品性の重要なポイントの一つとなっている。ここでは、実験により行った安定性に関する挙動解析、安定性レベルの定量把握、操縦性の定量把握などの試みについて述べる。
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