本文へ進みます

デザイナーのキャリアとしごと 長田 愛華

デザイナーが語る、キャリアのこれまでとこれから。

人と乗り物の関係性にデザインで寄与する 新卒採用 2014年 入社 スタイリングデザイナー 長田 愛華

海外駐在で再認識した、
製品を取り巻く環境の重要性

人と乗り物の関係性って、ちょっと特別な感じがしませんか? 道具のようでありながら、パートナーのようでもある。工業製品のなかでも少し独特な存在感に惹かれて、就職活動ではモビリティメーカーを志望するようになりました。そのなかでもヤマハ発動機は、モーターサイクルやマリン製品など幅広い領域でモビリティを展開していたので、いろんなお仕事ができるんじゃないかと興味が湧いたんです。もう入社して10年以上が経ちましたが、その期待どおり、いや想像していた以上に幅広い業務を経験させてもらっています。

入社後、1年目の冬から中国市場向けのスクーターを担当しました。その後3年間で2機種のフルモデルチェンジに携わり、4年目からは海外駐在することになりました。というのも、ヤマハ発動機では若い社員にグローバルな環境を体験する機会を積極的に提供してくれているのです。私が駐在した台湾は非常にバイクが浸透している国で、都市部でも駐輪場がいたるところに整備されています。通勤途中にちょっとバイクを停めて朝食を買う。そんなことがメインターミナルの駅前でも日常的に行われていて、日本とはバイクを取り巻く環境が大きく違っていることに驚きました。デザインをしていると、プロダクトに集中するあまり忘れてしまいがちなのですが、むしろ環境そのものがプロダクトを成り立たせているんですよね。1年間の駐在期間では実際にスクーターを使った生活も経験し、改めてそういう感覚を身につけられたことは大きな収穫でした。

「プロダクト以外の仕事」が
デザイナーの守備範囲を広げてくれた

帰国してからは担当する事業が変わり、除雪機や発電機のデザインを手がけました。同時にそれらと並行して、事業のビジョンを整理したり、ファシリテーションで事業部内のコミュニケーションを手伝ったりと、プロダクトデザイン以外の業務に携わることになったんです。そこではプロダクトを担当するデザイナーではなく、カテゴリーを担当するデザイナーとして、事業を俯瞰する立場を経験しました。ヤマハ発動機は「若い人にどんどんやらせてみよう」という社風ですし、私自身も勉強になるから何事もこだわらないで「やってみよう」と思うタイプ。与えられた仕事に応えていくうちにいろんな経験を積み重ねたことで、最初はプロダクトだけを見ていたのが、それを取り巻く環境を見たり、ものごとを俯瞰して概念的に見たりと、デザイナーとして視野を広げることができたように思います。
いま現在は、自分から希望して主にマリン製品のデザインを担当しています。最初は内装のファブリックを選んだりグラフィックを作るところからスタートしましたが、3年経ったいまではエクステリアまで一貫して手掛けるようになりました。ボートのデザインをやりたいと思ったのは、ヤマハ発動機のカテゴリーのなかで唯一「モノ」ではなく「空間」のデザインができるから。船上でゆったりと快適な時間を過ごすための船もあれば、実用性を重視したシンプルなフィッシングボートもあったりと、プロダクトのバラエティも非常に豊富です。お客さまの層も用途もまったく異なっていて、そんな振れ幅の広さも面白いなと思います。

使い手に寄り添ったプロダクト
日本の漁業に貢献したい

いまメインで手掛けているのは、国内の漁業で使用される漁船です。じつは漁船と一口に言っても、その実態はオーダーメイドに近い作りをしていて多様です。というのも船は使う海域によって適した船型が異なりますし、出漁するのか養殖するのか、対象は魚なのか貝なのか、漁の時間帯は朝なのか夜なのか、使用環境や用途によってエンジンのレイアウトやスペース配分もまったく異なるからです。漁業という特殊な用途であり、自分が経験したことのない領域にどんなデザインと価値を提供していくのか、ものすごく想像力を働かせる必要があるので毎日が勉強と挑戦の連続です。 もちろん想像だけではなく、お客さまへのヒアリングやご提案で日本各地の漁港に出張する機会も多く、時には実際に漁船に乗ってお仕事の様子を見学させていただくこともあります。「この装備はこのタイミングで使うのか」「こんな景色を見ながら働いているのか」など毎回さまざまな発見があるだけでなく、「船は漁師さんにとって道具でありながら、大事なパートナーである」ということを強く実感しますね。それが作る側としてもすごくうれしいですし、やりがいにつながっています。

ここまでのキャリアを振り返ってみると、経験してきた業務の多くが事業部からの依頼に応えて提案する、というものでした。引き続き一艇一艇と丁寧に関わりながら、今後はこちら側から事業部に対して提案する機会も増やしていきたいですね。いまもプロダクトに関することだけでなく、お客さまへのアプローチなど、他にも関わってみたい領域がいろいろあります。事業部と緊密に連携しながらそれらを実現していくことで、より良い製品づくりにつなげていければ、と思います。

ページ
先頭へ