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デザイナーのキャリアとしごと 岩井 隆哲

デザイナーが語る、キャリアのこれまでとこれから。

一人ひとりの創造性が輝くデザイン組織を描きたい キャリア採用 2022年入社 デザインマネージャー 岩井 隆哲

「ん?」「おや?」「えっ?」
入社して感じた デザインに関わる文化と土壌

私はこれまで、日本とアメリカのいくつかのデザイン現場で働いてきました。
2年ほど前に帰国して、縁あってヤマハ発動機で働くようになりましたが、入社してすぐに、「ん?」「おや?」「えっ?」と感じたことがいくつかあります。
その一つが、この会社がもつ、デザインに対する感性や関心の高さ、それからその奥行きのようなものです。 たとえば、私が初めて出席したあるモーターサイクル製品のデザインを審議する場での出来事です。そこには デザインはもちろん、企画や開発、製造に至るまで、社内のさまざまな部門の担当者が集まっていました。その審議が終わりに近づいている頃、今まさに現場から駆けつけてきたという感じの製造職場の方が、工場の帽子を被ったまま、当該製品の造形や「美しさ」についてご自身の意見を語り始めたんです。その見解には耳を傾けるべき深みや説得力があって、発言された方の美意識の高さにちょっと驚かされました。
私はそれまで、こういう文化や土壌をもつ会社で働いたことはありません。“デザインはデザイナーの領域”という会社組織の機能分担に疑問を抱いたことも、他部門からデザインに関する指摘や助言を受けたこともあまりなかったので、この日のことは今でも鮮明に覚えています。

経験・知見を活かして、デザイナーの個が輝く
「組織の姿」を描き出す

私はこれまで、プロダクトデザインを基軸にキャリアを歩んできました。
父が自動車整備の町工場をやっていて、現在もクラシックカーのレストアなどを手掛けています。腕時計のデザイナーとしてそのキャリアをスタートしたのは、今振り返ればそうした父の姿に影響されて嗜好品に惹かれたのかもしれないし、質感のある金属のパーツ類や、魅力的なサーフェースを持つクラシックカーを身近に育った影響もあるかもしれません。
一方で、夢中になって仕事をする中で、漠然とした危機感や課題感から新たな目標が浮かび、それを転機にキャリアをつなげてきたという経緯があります。2社目を選択する際に趣味材(腕時計)から日用品(スマートフォン)に意識が向いたのは、それまで無縁だった情報端末や樹脂素材と向き合って、「デザイナーとしての幅を拡げたい」という思いからでした。
また、その後アメリカに渡る決意をしたのは、日本の製造業の在り方に危機感を抱いたからです。当時、日本のスマホ市場がとてつもないスピードで海外メーカーに席巻されていく状況を目の当たりにして、「敵を知るには敵の懐に入るべし」という意気込みで、9年間、アメリカのデザイン現場で働きました。さらに、「モノ」を通して地場産業の復興に貢献したいという思いから、アメリカ国内での転職も経験しました。
ヤマハ発動機への転職は、デザイナーが個々の力を発揮するために、「組織をデザインする」という大きなテーマを得たことが動機です。ダイバーシティが根づいているアメリカでの経験は、組織の中で個の力をどう活かしていくのか、という新たな視点を与えてくれました。

もともと私自身、ヤマハ発動機のプロダクトが持つ美意識や思想にも魅力を感じていました。たとえば「YZF-R1」のスタイリングに宿る色気などもそうですし、プロダクトだけでなく、企業ドキュメンタリームービー 「Moving Younew window」 に見られるように、人や社会と一緒に価値創造をしていく独特のアプローチにも以前から強く共感していました。
そうした魅力をもつ会社の中で、デザイナーが個々の力を発揮する「環境/組織をデザインする」――。とてもチャレンジングなテーマだと感じています。

自分の道を拓くために、
「今しかできないこと」を全力でやり抜く

先ほどもお話ししたように、私は、プロダクトデザインを軸足に仕事のフィールドを拡げているうちに、自分の中に、ある職業観のようなものができました。もし、その経験が皆さんの役に立つのであれば、私なりのアドバイスをさせていただきたいと思います。
まず、デザイナーを目指す学生の皆さんへのアドバイスです。私は学生時代、多くの時間をヒップホップダンスに費やし、仲間とともにコンテストやイベントに出演するなど情熱を注ぎました。振付や構成、衣装、曲を自分たちで考えて練習に打ち込んで、関東学生チャンピオンになることもできました。結果的にダンスの道には進みませんでしたが、あの時、持てる時間とエネルギーを使いきって全力で挑戦し、自分の持ち味をより深く知れたことが、その後の進むべき道を明確にしたと考えています。「今しかできないことを全力でやり切る」。その先に見えたものは、次の自分への確かな道標になるはずです。頑張ってください。
それから、すでにデザイナーとして活躍し、次のステージに進もうとされている皆さん。もしその身の振り方に後ろ向きな要素が含まれていたとしたら、私は今の環境でやり切ることをおすすめします。そうではなく、人生をもっと愉快なものにしたいと感じている方には、ヤマハ発動機はとても働きがいのある会社だと思います。デザイナーとしての個を発揮しながら、その個性がより活かされる組織づくりにも挑戦したい――。そんな方には特におすすめです。私たちと一緒に人生を楽しむことに挑戦し、一人ひとりのクリエイティビティがより輝ける環境をつくっていきましょう。

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