本文へ進みます

ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

サイト内検索

JMX IA1シーズンレビュー

JMX IA1の2013年シーズンをご紹介します。

[ 上のボタンから他のカテゴリのレビューをご覧いただけます ]

JMX IA1 TOP PAGEに戻る

さらなる飛躍へ向けて新生YSPレーシング躍動
新加入の平田がランキング3位を獲得!

今シーズン、チャンピオン獲得をめざし新たな体制を整えたヤマハ・YSP・レーシング・チーム。新加入の平田優は惜しくもチャンピオン獲得ならず、また田中教世はケガによりシーズン後半欠場と、目標達成はならなかった。それでも2013年、チームは2人の選手を支え続け、ライダーもそれに応えるかのように、平田は2度のヒート優勝でランキング3位、田中は昨年を上回る3度表彰台に立ち、それぞれが前進を果たした。その飛躍に向けたチーム、ライダーの足跡を振り返る。

2013年、ヤマハは平田優(左)、田中教世の2人にファクトリーマシンYZ450FMを託し、IA1チャンピオン奪取を狙った

新生ヤマハ・YSP・レーシング・チーム
平田を加えてファクトリー体制を構築

 ヤマハ・YSP・レーシング・チームは、2013年全日本選手権モトクロス・IA1クラス参戦にあたり、2つの大きな変革を行った。ひとつがチームのファクトリー化であり、マシンは市販型YZ450FからファクトリーマシンYZ450FMに進化。さらにライダーも2012年IA1クラスランキング3位の平田優を加え、田中教世との2名体制に強化。チャンピオン奪還に向けて着々と準備を整えた。
 この新しいチーム体制は、ライダー個々のモチベーションを大きく刺激。新加入の平田は、第一印象を「一体感のあるチーム」と評し、「本当に頼りになるチームスタッフがそろっているので、そのサポートに応えられるライダーにならないといけない。自分自身、さらに強くなることが必要だね」と意欲をみなぎらせた。
 一方、モトクロスをはじめて30年目、国際A級昇格から20年目を迎えたベテラン田中も「本当にすばらしいチーム。僕はこれまでチャンピオンになるためにやってきたが、昨年を上回る最高の環境が整った。夢の実現に向けて、今シーズンがラストチャンスかもしれないという覚悟で、もう一度本気でチャレンジしたい。長年の思いを爆発させたい」と、力強く決意を語った。
 そして彼らの言葉は、開幕戦・九州大会でさっそく成績に表れた。その第1ヒート、平田がチームの初レースを2位表彰台で飾ると、昨年ケガに泣いた田中も第2ヒートで同じく2位を獲得し、2012年の開幕戦以来となる表彰台に登場。新生YSPレーシングの実力をモトクロスファンやライバルたちに知らしめる、幸先の良いスタートを切った。

このページの先頭へ

念願の初優勝、そしてチャンピオン争い
新しい経験を糧に飛躍を見せた平田

 平田には、2010年のIA1昇格以来、どうしても越えることのできない壁があった。ランキング7位、6位、3位と順調に成績を伸ばしていながら、不思議なことに、まだヒート優勝の経験がなかったのだ。しかし2013年、ついにその壁を突破する時がやってくる。
 雨となった第2戦・関東大会、厳しいコンディションのなかで総合5位と健闘を見せた平田は「コンスタントに表彰台に乗れるようがんばる」と決意を新たにし、第3戦・中国大会に乗り込んだ。そして第1ヒート、表彰台までもう一歩の4位でフィニッシュすると、第2ヒートでは好スタートを見せて1周目から飛び出し4番手に浮上。さらに成田亮(ホンダ)、新井宏彰(カワサキ)といった上位の常連たちをかわし、3周目には待望のトップに躍り出た。
 これまでのレースと違っていたのはそこから。後続をまったく寄せ付けない圧巻の走りでグイグイとリードを広げ、6秒以上も引き離す独走で初優勝を達成したのだ。「優勝を意識したのはラスト1周。ゴールした瞬間はやっぱりうれしかった」と平田。しかし、「まだひとつ勝ったというだけで、ここがスタートライン。本当の戦いはこれから」とすぐに表情を引き締めた。
 こうした平田の姿勢は、第4戦・SUGO大会に結果として表れた。第1ヒートからトップ争いに絡み、惜しくも4位で終えると、第2ヒートではその反省を生かしたホールショットを決め、トップに浮上。後続が激しい2位争いを展開する間、平田は自分のペースを守りきって2度目のヒート優勝を飾り、2戦連続の総合2位を手にした。さらに第5戦・北海道大会の第1ヒートでも3位表彰台を獲得。ひと皮むけた平田の存在感が、強い輝きを放ち始めた。
 今シーズンは、ディフェンディングチャンピオンの成田や小島庸平(スズキ)、小方誠(ホンダ)、熱田孝高(スズキ)をはじめとするライバルたちの力が拮抗。シリーズランキングの争いも混戦となっており、第5戦を終えた時点で199ポイントの小島がトップに立っているが、5位の成田までわずか25ポイント差。そのなかで平田は13ポイント差の3位と、初のチャンピオンが十分に狙えるポジションにつけていた。千載一遇のチャンス到来である。
 その後第6戦・東北大会、第7戦・近畿大会で1回ずつ2位表彰台に立ち、再び雨に見舞われた第8戦・関東大会でも総合5位として着実にポイントを積み重ねた平田は、いよいよSUGOでの最終戦・MFJ GPを迎えた。チャンピオン争いは小島以下、小方、平田、成田の4人に絞られ、その差はわずか12ポイント。誰がタイトルを取ってもおかしくない状況だった。
 「いつもと変わらず、テストと練習を重ねてきた。自分には失うものはなく、これまで通りベストを尽くすだけ」と、平田に特別な気負いは見えない。この言葉どおり、雨の第1ヒートでホールショットを奪うと、その後スポット参戦のGPライダーに先行を許したが、成田と3位争いを演じて4位。一方、小島が12位、小方は5位に終わり、4人の差は4ポイント差に縮まった。しかし勝負の第2ヒート、スタートで出遅れた平田は、さらにミスを取り返そうとして転倒。8位でチェッカーを受け、無念のランキング3位でシーズンを終了した。
 「あと一歩だったけれど、この一歩が大きい。後悔しないよう攻めた結果なので、仕方がない」と悔しさを滲ませたが、自らの殻を破る大きな成長を遂げたことは、確かな自信として次の飛躍につながるに違いない。

このページの先頭へ

再び転倒・負傷に泣かされた田中
不完全燃焼のランキング11位で終了

 開幕戦第2ヒートで2位に入った田中は、昨年のケガから完全復活を印象づけた。しかし、第2戦・関東大会では5位/7位の総合6位とやや低迷。それでも第3戦・中国大会では、第1ヒート5位に続く第2ヒート、スタートで11番手と大きく出遅れながら驚異的な追い上げを披露。次々にライバルたちを抜き去って、終盤3位までポジションを挽回。今シーズン2度目の表彰台に立ち、総合4位を獲得。苦しんだ末に身につけた強さ、本来の輝きを改めてアピールした。
 この時点でのランキングは、トップから28ポイント差の6位。チャンピオンを狙う位置からは一歩遅れているものの、シーズンはまだ序盤。中盤、後半の巻き返しに期待がかかった。
 しかしそうした思いとは裏腹に、第4戦・SUGOの第1ヒートで転倒、12位。第5戦・北海道の第2ヒートでは今季3度目となる3位表彰台を獲得したものの、第6戦・東北大会の第1ヒートで再び転倒を喫するなど安定した成績を残すことができず、徐々にランキング上位陣との差が開いていった。
 そして第7戦・近畿大会、田中にとって最悪のアクシデントが発生した。公式練習に転倒し、負傷してしまったのだ。これにより、決勝をキャンセルする結果となったばかりか、続く関東大会、最終戦MFJGPにも出場することができず、ランキング11位でシーズンを終えることとなった。
 体制を一新したチームで、自らの集大成となるチャンピオン獲得をめざした田中。その熱い思いはまたしてもケガに阻まれてしまったが、3度の表彰台を獲得するなど、トップライダーとしての実力を疑う余地はない。必ずリベンジのチャンスはやってくる、と信じたい。

このページの先頭へ

ページ
先頭へ