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若手ライダーたちの自己研鑽の場、岡山国際サーキットで「bLU cRU 走行会」を開催
2022年7月29日
全日本ロードレース選手権にフル参戦する全ヤマハチームを対象とした「bLU cRU 走行会」を7月21−22日、第7戦の舞台となる岡山国際サーキットで開催し、ST1000、ST600に参戦する21人のライダーが参加しました。
ヤマハ発動機は従来から、全日本で活躍する中須賀克行選手や、スーパーバイク世界選手権に参戦する野左根航汰選手に続く人材の育成を目指し、全日本に参戦するヤマハチームやそこに所属するライダーを対象にさまざまなサポートを行う「bLU cRU活動」を行ってきました。
2022年には、昨年までST1000に参戦していた岡本裕生選手がファクトリーチームに加入し、JSB1000にステップアップして大活躍を遂げるなどの成果をあげています。
一方、ロードレースは他のカテゴリと比較し、レース用の車両を使用して走行する機会が少なく、各チームは、大会前に設定される事前テストと、ウィーク中のフリー走行という限られた時間の中で、決勝に向けて準備を行っているのが現実です。こうしたことからヤマハ発動機は、各チームがレース車両を使って全日本に向けてしっかりと準備するための場所と時間を提供しながら、電子制御のセッティング講習会なども併催してチームとライダーのサポートを行っています。
このように、さまざまな狙いを持って開催している「bLU cRU 走行会」ですが、参加したライダーたちもまた、独自の視点や目標を持って参加しているようです。
南本宗一郎選手:ST1000
「ライバルの戦力や過去のレース結果などを鑑みて、自分の課題を少しでも克服していくことを目的に参加しました。その中で特にトップスピードの向上を狙い、仕様の異なるマフラーを準備してテストを行いました。また電子制御についても、立ち上がりの加速を重視したセッティングをいろいろと試すことができ、よい感触を掴むことができました。事前やウィークではタイム重視でさまざまな可能性を試すことができないので、どっしりと地に足をつけて取り組むことができる機会を作っていただき、本当にありがたいです」
豊島怜選手:ST1000
「現在、使用しているブレーキパットに2種類を加え、3種類のテストとともに、全日本で使える2種類のフロントタイヤの乗り比べをしました。1セッションが90分、目の前のタイムを気にすることなく、本当にいろんなことを試すことができました。この走行会だけでなく、毎週、フラットダートの走行会にも参加させてもらっていますが、ヤマハには多くのサポートをしてもらい充実した時間を過ごすことができており、本当にありがたく思います」
菅原陸選手:ST600
「二日目が雨だったこともり、やりたいこと全部ができたわけではありませんが、乗り方を変更しているところを起点にして、サスのセッティングなど、いろいろなことを試す機会になりました。最終的にタイムには反映できていませんが、バイクというよりも、新しい乗り方を自分のものにできていないところが原因だと思います。それでも、今後に向けて伸びしろを感じたので、さらに追い込んでいきたいと思います。同時に今回は6時間もの走行ができ、岡山大会に向けての準備も大きく進み、有意義な時間となりました」
横山尚太選手:ST600
「走行会があることで、実際のウィークに入った時に、ある程度セットが詰められた状態からスタートできるというのがとても助かっています。今回は岡山大会を見据え、ブレーキパッドのテストや仕様変更を行ったサスペンションの確認とセットアップを中心に行い、手応えを掴むことができました。このように走行会はレースに向けた準備の時間としても大切ですが、ヤマハのライダーが一堂に集まることで、ライバル意識を持ち、刺激をもらえる機会としてとても助かっています」
松岡玲選手:ST600
「地元でもある岡山国際でしっかりと成績を残すために参加しました。今回はサスペンションのセッティングが中心となりましたが、着実に前進を果たすことができました。この走行会は僕にとって、事前テストに向けた事前テストみたいな感じですが、時間が長いために普段は意識しなことや、試さないことにもチャレンジできます。今回の場合は、ガラッと違うリアサスを使ってみましたし、意図的に大きく振ったところから思わぬ収穫が得られる機会となっています」
井手翔太選手:ST600
「9月の岡山大会を意識するのではなく、今回はライディングスキルを伸ばすことを念頭に参加しました。自分の理想の走りを求めるなかで、今回は特にブレーキングの向上を意識し、握り方、握り始めるポイントなど、さまざまな変化をおり混ぜながらトライ&エラーを繰り返しました。事前テストやウィークでは、転倒もしたくないのでどうしても慎重になってしまいますが、こうした機会では存分にチャレンジができるので、本当にありがたく思います」
阿部真生騎選手:ST600
「岡山自体あまり走ったことがないため、サーキットに慣れながら、セッティングの方向性を定めていくことに取り組みました。最初はかなり苦戦しましたが、時間があるため車高やサスなどいろんなことを試していくことができ、方向も見えてきました。中でも曖昧だったラインについてはいろいろと試して、その中で自分なりの答えが得られたことは良かったし、最後にはタイムも上がってきて手応えを感じています。やはり集中して自分とバイクを見つめる時間をとれることが本当にありがたく思います」
阿部恵斗選手:ST600
「タイムを出すというのもありますが、前回のSUGO大会から車体を細かく変更したところがあり、それを一つ一つ確認、テストする時間として使いました。事前テストやウィークに入ると、ST600は参加台数が多いこともあり、3周続けてハイペースで走ることが困難です。しかし今回はアッタクしながら確認ができ、セッティングを研ぎ澄ます濃密な時間を過ごすことができました」
このように各ライダーは、全日本を意識しながらもそれぞれが独自のテーマをもって「bLU cRU 走行会」を自己研鑽の機会として活動していることがわかります。またライダーたちからは、「走行会の回数を増やしてほしい」、「フィジカルトレーニングを行う合宿を実施してほしい」など、さまざまな意見が聞かれました。こうしたライダーたちの意見にも耳を傾けながら、今後も中須賀選手、野左根選手、岡本選手に続く人材が育っていくような活動を実施していきたいと思います。