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「若手育成」を目指したbLU cRU活動 全日本モトクロスに参戦するジェイ選手が世界レベルの視点でライディングスクールを実施

2022年6月17日

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 ヤマハ発動機は2022年シーズン、オーストラリアとニュージーランドのモトクロスやスーパークロスで活躍するジェイ・ウィルソン選手を「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」に迎えました。その目的は当社のレース活動の基本方針、「ブランド価値の向上」、「市販車への技術フィードバック」、「モーターサイクルレースの健全なる普及」を、日本のモトクロス活動の中で力強く推進するためです。



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 具体的には、ジェイ選手の経験と技術に基づき、先進技術となる「EPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)」の開発やIA1で戦うファクトリーライダーのサポート、レース普及に繋がる全日本モトクロスの活性化などです。そして今回はジェイ選手をコーチとし、bLU cRU活動の一環として全日本に参戦する若手ヤマハライダーの育成を目的としたライディングスクールを、6月3-4日にわたって宮城県のスポーツランドSUGOで開催しました。

 この若手育成は基本的に、ジェイ選手が全日本選手権に参戦すること自体で行っています。ファクトリーライダーであり、世界レベルのライダーでもあるジェイ選手と若手ライダーが同じ土俵に立って競う中で、ライディング技術をはじめ様々なことを学び取ってもらいたいと考えているのです。そして今回のスクールでは、レースだけでは伝えきれない細かな技術や、レースに向けての取り組みを言語化して伝え、実際に体験し吸収してもらう機会と位置付けました。



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 ジェイ選手は来日にあたって、「オーストラリアではbLU cRUのコーチを務めているので、この経験を使って、ぜひ日本の若いライダーたちをサポートしたい」と話すほどの情熱とともに、AMAスーパークロスへの参戦経験もあるように、今まさに世界のトップライダーが実践するルーティーンや、ライディング技術などの旬な情報を持っていることが最大の強みです。実際、スクール中には世界的ライダーの名前を出しながら解説するシーンがあり、ライダーたちも目の色を変えて、参加してくれました。

 ところが初日の6月3日は土砂降りとなりコース走行をキャンセル。そこで予定を変更し、初日は座学でのコーチングとパドックエリアを使い、ブレーキングやポジション、フォームなどを確認。それを2日目、実際に走って確認しながら身につけていくこととしました。

 2日目は一部マディが残るものの好天に恵まれ、ジュニア・レディースと国際A・B級の2つのグループを編成し、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの渡辺祐介選手、アドバイザーを務める三原拓也さんも加わり、充実のコーチ陣で実施しました。



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 メニューは短いセクションをいくつも設定し、実際に走行しながらライン取りやフォーム、アクセルコントロール、ブレーキングポイントなどを指導していくスタイル。ジェイ選手や渡辺選手がお手本を見せてから、各々が注意点を意識し、それを体に染み込ませるように反復練習を行うというものです。この狙いについてジェイ選手は「私が伝えたポジションやフォームに違和感を覚えていると思います。みんなの走りが間違っているわけではありませんが、より良い走りのため、改めて基礎を徹底し身につけてもらうよう努めました」と言います。


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 この言葉の通り、IBオープンクラスに参戦する阿部仁選手は「ジェイ選手が最初に話したのが爪先の向き。これまでは開き気味だったところを閉めるというものです。これにより下半身に安定感が生まれ、上半身はリラックスできる。世界の基準であるならば取り入れたいと素直に思いました。反復練習についてもこれまではやらなかったこと。ポジションなど明確に意識を集中して取り組むことを練習に取り入れていきます。とにかく楽しく、多くの気づきを与えてもらいました」



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 レディースクラスに参戦する穂苅愛香選手、川上真花選手もフットポジションやフォームについて印象に残っていると話します。「これまでは踵で乗っていたのですが、それを爪先で乗るようにとの話がありました。慣れないため難しく、意識しないとすぐに忘れてしまいます。でも、爪先で乗ることで、バイクが振られた時にニーグリップが効いて安定感が違います。ワダチを走る際にも足が引っかかることなく、スムーズに走ることができるもの大きな利点。ぜひ自分のものにしたい」と阿部選手と同様に収穫があったようです。

 スクール中もジェイ選手から細かな指示が飛びます。ラインを変える時に気をつけるべきこと。グリップを得るための最善の方法。ワダチを走るときに意識すべきこと。スムーズなコーナリングなど上げればキリがありません。



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 「ジェイ選手、渡辺選手に教えてもらえるということで、とにかく緊張しました」というのは、ジュニアクラスに参戦する遠西礼都選手。「フロントブレーキの使い方とその時の姿勢は、自分ではきていると思っていましたが、指摘を受けて直すことができました。またこれまではただ立っているだけでしたが、スタンディング時のフォームを教えてもらったことで、腰や足の位置などを意識するようになりました。次のSUGO大会ではその成果を少しでも見せたい」と嬉しそうに話してくれました。



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 スクールの最後にはスタート練習を行い、全セッションを終了。集中力を要することから、疲労の色が見えましたが、IA2ルーキーの田中淳也選手も「これまで意識していなかったことがたくさんありました」と収穫を実感した一人です。「例えばワダチがあるコーナーではタイヤのどこを使うのがベストかという話がありました。これまでは感覚的にしか走っていなかったので、じっくり考えたことはありませんでした。小さなことですが、そこまで踏み込んで考えないとジェイ選手のようには走れないんだと、だからこそ考える癖をつけたいと思います」



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 IA2クラスに参戦する浅井亮太選手は、「レベルの高い海外で勝利を目指すライダーの持っている知識の量は、日本しか経験のないライダーと比較すると遥かに違います」と、世界レベルの指導を実感。「今回の内容は海外のトップカテゴリーで走ってきたからこそのものでした。基本を反復するメニューでしたが、レース中は一生懸命であるため基本を忘れがちですが、冷静に考え基本に戻る時間を持つことが必要で、プッシュする時とのバランスが大切であるというメッセージを受け取った感じです。とても高度なことですが意識していきたいですね」と、スクールに大きな価値を見出してくれたようです。



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 ジェイ選手のサポート役として参加した渡辺選手は「ジェイ選手は、自分も含め、若いライダーたちにとって最高のターゲットです。世界レベルの技術や取り組みを間近で感じることができるチャンスであり、今回はさらに近い距離で見て、聞いていろいろなことを吸収できるとても良い機会になったと思います。私にも世界を知るダグ・デュバックさんという師匠がいますが、教える内容は同じで、基本を大切にした指導でした。スピードは基本があってこそ。それを実感することができたのではないかと思いまます。とにかく、ジェイ選手の存在を意識し、全員がレベルアップして欲しいですね」



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 一方ジェイ選手は、ライダーたちの感想にはなかったメッセージを込めてスクールに取り組んでいました。「正しいライディング技術を身につけて、自信を持ち、強く速いライダーになってほしいということが目的です。しかし私が大切にしているのが、若いライダーにモトクロスを長く続けてもらいたということ。正しいライディング技術の習得は、速く走ることと同時に安全に走ることにもつながります。オーストラリアのモトクロスでは他のスポーツと同様、コーチの存在がポピュラーです。それは、ライダーを育てることとだけでなく、練習環境を整えるという意味でコーチの存在が大切なのです。今回のスクールはライダーの成長を促しながら、長くモトクロスを続けていってもらうための取り組みでもあると考えています」



 次回の全日本モロクロス選手権は7月14-15日、スポーツランドSUGOが舞台となります。今回のスクールで身につけたものを成績につなげていくのは、ライダー自身の取り組みにかかっていますが、今後もジェイ選手も参加する走行会などを実施するなど、ライダーたちに寄り添いながらサポートを続けていきます。



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